民法とはお金と男女関係のルールのこと
民法の基礎知識を理解して入れば、不動産に関連する法律の理解も容易になります。
民法とは、私法における、原理原則であり本質だからです。
大体、一番最初の条文には、一番大切なことが書かれています。民法第1条には、なんと書かれているでしょうか。
(基本原則)
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
【信義則】とは、
相手の信頼を不当に裏切らないように行動すべしという原則
【権利濫用】とは、
形の上ではちゃんとした権利行使でも、よく考えてみると不当な場合を言います。権利があるからといって好き勝手にできるわけではないのです。
大きく分けると民法は、財産法と家族法に分けることができます。
膨大な数の条文に、難しそうな言い回し。
ですが、民法とは言ってしまえば単なる、お金と男女関係のルールのことです。
まずは全体を見て、大きな流れをつかむ。
そうすれば楽しくなります。
細かい部分は後回し。
暗記なんてもってのほか。
暗記なんかより、イメージを膨らましましょ。
- 「価値判断と法律構成」という発想
- 「原則修正パターン」という発想
- 「効果から考える」という発想
- 「常に民法全体を視野に入れる」という発想
はじめての民法の勉強のしかた
「正確性・完全性」を無視しましょう。
無視するためには努力が必要です。
いままでの学校教育では「正確性・完全性」が求められ、教えてこまれてきましたから。
そして、民法全体を概観し、具体的に考えましょう。
暗記は必要ありません。
当然、条文1044条を、すべて覚える必要なんてありません。
法律を学ぶのに大事なのは、「イメージ」です。
「イメージ」の習得です。
外国語を学ぶときのような感じです。
民法のテーマ
静的安全と動的安全の調和を図るのが民法のテーマ。
静的安全とは、
「人は自らの意思に基づいてのみ拘束される(義務を負う)」という、意思自治の原則(私的自治の原則)から派生したもの
動的安全とは、
取引の安全。
経済が発展して取引が頻繁に行われるようになるにつれ、もともとの権利者の権利を犠牲にしても(静的安全を犠牲にしても)取引によって権利を取得しようとするもの保護(動的安全)に重きを置くべきだという考え方
民法の基本原則
- 私的自治の原則
- 所有権絶対の法則
- 過失責任の原
私的自治の原則
- 当事者の自由な意思で自由に法律関係を作れる。
- 私的自治の原則が成立する前提 封建的身分拘束からの解放
- 人は生まれながらに法的に平等であり、出生と同時に死亡にいたるまで平等に権力を付与され、その自由な行使を保障される法的担保がなければならない。
所有権絶対の法則
- 物を所有する権利はなんら制限を受けない完全円満な支配権である
- 所有権とは、客体である物を使用・収益・処分等の手段によって、全面的・排他的に支配できる権利
- これらの権利を国や公共団体といえども侵すことができない権利。それが、所有権絶対の法則(所有権は不可侵の権利である)
過失責任の原則
- 何の落ち度もなければ責任を問われることはない
- 個人は、自己の過失ある行為のみに責任を負い他人の行為には責任を負わない意味で「自己責任の原則」ともいわれる。
民法の三大要素
- 人
- 物
- 権利義務
※その主体は? 「権利者はだれか」
《人》(自然人と法人)
※その客体は? 「権利の対象となる利益は何か」
《人の行為》(作為と不作為)
《その他》(名誉・自由・プライバシーなど)
これら権利義務を結びつけ動かしていくための中心的手段が『契約』
契約という手段によって、物に対する権利の移転、および、人に対する権利の発生という法的な変動が起こっている、と分析してみせるのが法律学としての民法の特徴。
単なる物と金のやりとりの中に法的な枠組みが出来上がっているのです。
一般法と特別法
- 【一般法】基本的ルールブック『民法』※民法は私法の一般法
- 【特別法】企業に関する特別ルール*『商法』他に労働基準法、借地借家法、消費者契約法、etc…
*これらの特別ルールは、いずれも民法の原則に修正を加える例外です。民法の全体像が把握できるまでこれらの特別ルールには細かく入り込まないようにしましょう。特に、民法の学習を始めたばかりのときは、インプットを制限する必要があります。
権利能力とは
自己の名で権利者・義務者となれる能力=「権利義務の貴族主体となれる能力」を権利能力といいます。
権利能力のあるものは、自然人と法人。
公法と私法
01. 公法
「国家 vs 国民」(縦の関係)
公法上の責任が『刑事責任』です。
02. 私法
「私人 vs 私人」(横の関係)
※権利義務の形でどのように規律されているのでしょうか?
- 不法行為責任(709条)
- 債務不履行責任(415条)
刑事事件に対するものとして『民事責任』と呼ばれている。
私法の領域におけるルールを定めているのが民法です。
「成立要件」「有効要件」について
法律行為の効果
- 法律行為
- 成立要件
- 有効要件
- 効果帰属要件
- 効力発生要件
- 完全に法律効果を生じる
成立要件
法律行為が成立するために必要な要件が、法律行為の成立要件
有効要件
成立要件が満たされて法律要件が成立した以上は、意思表示通りに法律効果が発生するのが原則
「成立要件」と「有効要件」を区別することの意味
成立要件と有効要件を分けて考えることは、法律行為の存在や効力について紛争が生じた場合に意味がある
成立要件
法律効果の発生を積極的に根拠づける要件(積極的要件)
有効要件
消極的に効果を否定するための要件(消極的要件)
効果帰属要件
法律行為の効果が人に帰属するための要件
- 代理権・代表権の存在
- 権利能力の存在
この存在を欠く場合、本人に効果が帰属しない。(広義でこの場合も「無効」ということがある)
効力発生要件
有効に成立すれば、、直ちに効力(法律行為が法律要件として法律効果を生み出す力)を発生するのが原則
- 法定条件(法律効果を生じるための要件が、法律で定められている場合)
- 条件・期限
効力の発生・消滅、その時期が左右される。
法律行為の分類
法律要件は、さまざまな法律事実から構成される。
法律事実
- 意思表示
- 不法行為
- 人の生死
- その他
意思表示という法律事実を要素とする法律要件を法律行為という。
法律行為
- 単独行為
- 契約
- 合同行為
- 協議
- 協約
- 法律行為は、意思表示をその不可欠な要素(部品)とし、原則として意思表示の内容通りに法律効果が定まる。
- 「人は自らの意思に基づいてのみ拘束される(義務を負う)」という意思自治の原則の下で、最も重要な機能を営む。
民法にとっての焦点は「権利義務」
1.【要件】何によって
中心的手段は契約
- 債務整理
- 不法行為 ペナルティーは損害の金銭による賠償(民法はすべてお金で解決するドライな世界)
2.【権利義務】だれがどのような権利を有し義務を負うのか
民法という競技に参加できるのは、自然人と法人
参加方法として、本人による参加と代理人による参加
3.【効果】どのように変動(発生・変更・消滅)するのか
民法:総則
権利の主体
- 権利能力
- 意思能力
- 行為能力
権利能力とは
権利(または義務)の主体となることのできる地位または資格のこと
意思能力とは
自己の行為の結果を判断することのできる精神能力をいい、正常な認識力と予期力とを含むものと解されている。
行為能力とは
権利義務をもつための行為を単独で完全にできる能力をいう。(民法は未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人を制限能力者としている)
人・行為能力
成年被後見人
精神上の障害によって『事理を弁識する能力を欠く常況にある者』であって、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者
被保佐人
精神上の障害によって『事理を弁識する能力が著しく不十分な者』であって、家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者
被補助人
精神上の障害によって『事理を弁識する能力が不十分な者』であって、家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者
制限能力者の相手方の保護
制限能力者制度は制限能力者を保護するためにあるのであるが、その相手方の保護もあわせて考慮しなければいけない。
その相手方の保護の制度として次のようなものがある。
- 催告権(20条)
- 制限能力者の詐術による取消権否定(21条)
- 法定追認(125条)
- 取消権の短期消滅時効(126条)
予備知識
追認は、制限能力者は単独ではできず、その者が能力者と なった後にするか、その者の法定代理人がしなければならない。(124条)
意思の不存在による無効となるもの
心裡留保(93条)
表意者が表示行為に対応する意思がないことを知りながらする意思表示
通謀虚偽表示(94条)
相手方と通謀して作り出す真意ではない意思表示
錯誤(95条)
表示に対応する意思が存在せず、しかもそのことを表意者自身が気づかずにする意思表示である。
瑕疵ある意思表示によって取り消しうるもの
詐欺による意思表示(96条)
詐欺とは、欺罔によって人を錯誤に陥れること
強迫による意思表示(96条)
強迫とは相手方に不法に害悪を告知し、相手方がこれに畏怖し、それによって意思を決定させ、その意思を表示させる行為
法律行為の無効及び取消
法律行為の発生要件
- 当事者が能力を有すること
- 目的が適法で、社会的妥当性を有すること
- 意思表示につき、意思と表示が一致し、瑕疵がないこと
無効とされる法律行為
- 意思無能力
- 公序良俗違反
- 強行規定違反
- 心裡留保(但書)
- 通謀虚偽表示
- 錯誤
取り消しうべき法律行為
- 制限能力者が単独でした財産行為
- 詐欺または強迫によってなされた法律行為
公益法人
公益法人となりうるのは、《社団法人》と《財団法人》である。
社団法人とは、一定の目的のために結合した「人」の結合体のこと。
財団法人とは、一定の目的のためにささげられた「財産」の集合体のこと。
法人を設立するためには、社団法人にあっては『定款』を、財団法人にあっては『寄付行為』を作成する必要がある。(37条・39条を確認!!)
定款・寄付行為とは
それぞれの法人の根本原則またはそれを定めた書面のこと。
代理の種類
01. 任意代理と法定代理
任意代理 本人の信任を受けて代理人となるもの
法定代理 本人の信任によらずして代理人となるもの
02. 能動代理と受動代理
能動代理 | 代理人が意思表示をする場合の代理 |
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受動代理 | 代理人が相手方の意思表示を受ける場合の代理 |
03. 本代理と復代理
本代理 | 復代理のもとの代理 |
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復代理 | 代理人が自己名義でさらに代理人を選任して本人を代理させること |
04. 有権代理と無権代理
有権代理 | 代理権限のある代理 |
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無権代理 | 代理権限のない代理 |
復代理
意義
復代理とは、代理人がその名において選任した者(復代理人)が直接に本人を代理して法律行為をする場合をいう。
- 任意代理の場合
- 法定代理の場合
※原則として復任権はない
※選任・監督について、原代理人は本人に対して責任を負う(105条Ⅰ)
※いつでも自由に復代理人を選任できる
※復代理人の行為について、全責任を負うのが原則(106条)
代理権の消滅原因
- 本人の死亡
- 代理人の死亡
- 委任による代理権については委任の終了
代理人が破産手続開始の決定または後見開始の審判を受けたこと
※民法111条2
代理制度は本人の私的自治の補充(主として法定代理の場合)あるいは私的自治の拡充(主として任意代理の場合)を主目的とするので本人が死亡すれば、代理人に代理権を与えておく意味はなくなり当然に消滅することとなる。
無権代理
無権代理行為は絶対無効ではなく、不確定無効である。(民法113条)
本人が無権代理行為を追認すれば、契約のときに遡って有効となる。
本人が無権代理行為が自己にとって無益なものと考えれば追認を拒絶することが出来る。(民法116条)
相手方保護の制度
- 表見代理(民法109、110、112条)
- 取消権(民法115条)
- 無権代理人の責任追及(民法117条)
表見代理の種類
- 代理権授与の表示による表見代理(民法109条)
- 代理権踰越による表見代理(民法110条)
- 代理権消滅後の表見代理(民法112条)
時効
147条
- 請求
- 差押、仮差押または仮処分
- 承認
時効の中断事由たる「請求」には、以下のものがある。
- 裁判上の請求(149条)
- 支払督促の申立(150条)
- 和解するためにする呼出し、任意出頭(151条)
- 破産手続き参加(152条)
- 催告(153条)
時効が中断すると、過去の時効期間は無意味となる。
中断事由とともに改めて時効が進行する。(157条)
時効制度の存在理由
- 長期にわたって継続した事実関係を尊重し、社会の法律関係全体の安定を図ることが必要
- 長く権利を行使しないと権利関係の立証が困難となる。継続したという事実を法廷の証拠として裁判することがベターである。
- 権利の上に眠っている者は、法の保護を受けるに値しない。
取得時効と消滅時効
取得時効
一定期間の占有を要件として権利取得の効果を生ずるもの
消滅時効
一定期間の権利不行使を要件として当該権利の消滅の効果を生ずるもの
民法:物権債権
物権と債権
物権
物に対する権利(物を直接に支配する権利)
権利者 → → → → → → → → → → → 物
排他的・直接支配
(例:使用・収益・処分)
債権
人に対する権利(人に対して「一定の給付」を請求する権利)
債権者 → → → → → → → → → → → 債務者
一定の給付を要求
(例:金を払え、芸をしろ)
同内容の債権も複数成立可 イコール 排他性なし
物権とは
『特定のものを直接支配して利益を受ける排他的権利』
物に対する支配権。他人の行為の介在を禁止すること。
排他性
1つの物件が存する物には、同じ内容の物件は物権は両立しないということ
※これに対して、債権は一定の人に対して一定の行為を要求しうる権利
物件的請求権
物権的請求権には3種類の具体的請求権が存在します。
返還請求権 | 持っていかれたものを「返してくれ」という権利 |
---|---|
妨害排除請求権 | 「出ていけ」というように妨害を排除するもの |
妨害予防請求権 | 将来、妨害されそうなのでそれをあらかじめ予防するもの> |
所有権
所有権 | 物を全面的に支配しうる物権 |
---|---|
共有 | 数人が1つの物を所有すること |
共有
数人が別個独立に所有権をもつ。持分という割合の上で制約されているに過ぎない
総有
各個人の持分は潜在的にも存在しない。各自、目的物に対する使用収益機能を有するのみ
所有権の限界
相隣関係
相隣関係は隣接する不動産の所有者相互の利用の調整を図るもの(209条~238条)
- 立入、通行に関する相隣関係(209条~213条)
- 水に関する相隣関係(214条~222条)
- 境界に関する相隣関係(223条~232条)
- 境界付近の工作物築造等に関する相隣関係(233条~238条)
占有訴権
占有保持の訴え(198条)
- 占有を侵害されること
- 占有者がなお占有を有しているが、その占有が部分的に侵害されていること
占有保全の訴え(199条)
- 占有を妨害されるおそれがあること
占有回収の訴え(200条)
- 占有を侵奪せされたこと
- 他人に欺かれて物を交付した場合は、「侵奪」ではない。
即時取得
前主の占有に公信力を与え、前主を真の所有者と誤信した者の信頼を保護しようとする制度
要件
- 動産であること
- 取引によって占有を取得すること
- 無権利者または無権限者からの取得であること
- 取得者が占有を取得すること
- 平穏・公然・善意・無過失に占有を取得すること
動産は不動産に比べると取引は頻繁である。
そのため、占有しているものを信頼して取引に入った者を保護する必要がある。静的安全を犠牲にしてでも、動産の占有に公信力を認め、動的安全を保障する。
民法177条にいう「第三者」とは
登記なくして不動産物権を主張できる第三者とは?
- 不法行為者
- 不法占拠者
- 無権利者
- 詐欺または強迫によって登記の申請を妨げた者(不動産登記法5条1項)
- 他人のために登記を申請する義務を負う者(不動産登記法5条1項)
- 背信的悪意者(単なる悪意者に対しては、登記がなければ対抗できない)
先取特権
一般の先取特権の目的となるもの | 債務者の総財産(306条) |
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一般の先取特権の優先順位(306条、329条) |
|
留置権
- 他人の物を占有している占有者が、その物に関して生じた債権を有するとき、その債権の弁済を受けるまでその物を留置できる権利
- 当事者の設定契約によって発生する質権、抵当権(約定担保物件)とは、異なり、当事者の意思に基づかず、法律上当然に生ずる法定担保物件である。
成立要件
- 他人の物を占有していること
- その物に関して生じた債権を有すること(目的物と債権の牽連性)
- 債権が弁済期にあること
- 占有が不法行為によって始まったものではないこと
地上権と賃借権
地上権
- 譲渡は自由
- 地上権者は地上権設定者に対して当然に登記請求権を有する。
- 地代の支払義務は当然あるものではない。
賃借権
- 債権である賃借権は、譲渡禁止の特約をすることはできるが、それは債権的効力しか有せず、登記をすることもできない。
- 賃借人は賃貸人に対して賃貸借の本登記請求権のみならず、仮登記請求権も有しない。
- 借賃は契約の要素。当然に借賃の支払義務がある。
法定地上権
法定地上権の要件
- 抵当権設定当時→土地の上に建物があること
- 土地と建物が同一の所有者であること
- 土地と建物の片方、または両方に抵当権が設定されたこと
- 競売で、土地と建物の所有者が異なることになったこと
競売で土地と建物の所有者が異なることとなった場合、建物所有者に土地利用権がないばかりに、建物の収去を余儀なくされるのであると国民経済上の損失となる。
建物には潜在的に「土地利用権」が付着している。
質権
- 債権者が債権の担保として、債務者・第三者から受け取った「モノ」を弁済がされるまで留置
- 債務の弁済を間接的に強制
- 弁済されないとき、その「モノ」の価額により、優先弁済を受ける。
性質
- 約定担保物権
- 不従性
- 随伴性
- 不可分性
- 物上代位性
- 留置的効果
質権は譲り渡すことができないものをその目的とすることはできない。
質権の効力発生要件 目的物の引渡し(344条:要物契約性)
抵当権
債権担保は、物を担保する「物的担保」と、人を担保する「人的担保」に大きく分けられます。
物を債権の担保として、その物に関して他の債権者に優先して弁済を受けることができる仕組みを、物による担保ということから「物的担保」といいます。
債権者は平等であることが原則ではあるが、担保物権(抵当権など)を持つことによって原則を打ち破り担保物権の対象となるものについて優先弁済を受けることが可能になります。
家を新築したりするとき、新築する費用を銀行から借りるときに土地に抵当権を設定し、所有者にはそのまま土地は自由に土地を使わせておきます。
そして、貸したお金の返済が滞ったときに、土地を抵当権を実行し競売して、その売却代金から満足を受ける、という仕組みです。
抵当権の性質
- 約定担保物権
- 優先弁済権がある
- 不従性がある
- 随伴性がある
- 不可分性がある
- 物上代位性がある
根抵当権
根抵当権とは、「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する」抵当権である。
通常、会社は銀行から継続的に融資を受けており、会社の銀行に対する借金額は常に変動しているものです。
なのでひとつひとつの借金の発生、消滅ごとに抵当権の設定、抹消を行うのは手間がかかり面倒だ、ということで、あらかじめ決めた借金の限度額の範囲で抵当権を設定しよう、となり、この抵当権が「根抵当権」というわけです。
根抵当権の被担保債権となりうるもの
- 債務者との特定の継続的取引契約から生ずる債権
- 債務者との一定の種類の取引から生ずる債権
- 特定の原因に基づき、債務者との間に継続して生ずる債権
- 債務者との直接の取引によらず取得する手形上もしくは小切手上の債権
- 特定債権
債権編の全体図
債権総論
- 債権の目的
- 債権の効力
- 多数当事者の債権
- 債権の譲渡
- 債権の消滅
債権各論
- 契約
- 契約総論
- 契約各論
- 事務管理
- 不当利得
- 不法行為
債権の学習しているときは、常に今どの項目のところを学習しているのかを確認しながら進めるべきです。
頭の中が整理されていないと混乱をきたしします。
順番的に債権総論を先に学習すると思いますが、債権各論を学んだ後のほうが理解しやすいこところもあり、まずは、わからなくても気にせず学習を続け、債権各論まで一通り学習してから、また債権総論の学習を繰り返してもいいと思います。
債権各論の野中では、「契約」に関する項目のところが重要です。
人に関する権利「債権」
債権は、人に対して「一定の給付」を請求する権利。
債権に対応する義務が『債務』です。
債権と債務は対応関係にある。
債権を有する人が『債権者』
債務を負う人が『債務者』
債権と債務が対応する関係を『債権債務関係』という。
債権
【債権者】→ → → → → → → → → → →【債務者】
← ← ← ← ← ← ← ← ← ← ←
債務
『債権債務関係』
債権債務が発生するまで
4つのレベルを検討する必要があります。
01. 成立要件
契約で考えると、申し込みの意思表示に対して承諾の意思表示が合致しているかどうか
02. 有効要件
法的保護に値するか(無効、取消原因の有無)
契約内容の有効性
- 確実性
- 実現可能性
- 適法性
- 社会的妥当性
契約の有効性
心裡留保 | 原則:有効(第93条本文)/ 例外:無効(第93条但書) |
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虚偽表示 | 無効(第94条) |
錯誤 | 無効(第95条) |
詐欺 | 取り消しうる(第96条) |
強迫 | 取り消しうる(第96条) |
行為無能力 | 取り消しうる(第4・9・12条) |
効果帰属要件
効果が本人に帰属しているのかどうか(代理行為の場合、有効に行われたどうか)
効力発生要件
条件、期限を満たしているかどうか(条件、期限がついていた場合のみ問題となる)
諾成契約と要物契約
※契約は、意思表示の合致(合意)だけで成立するのが原則
諾成契約
申し込みに対する承「諾」だけで「成」立する契約
<人> → → → → ← ← ← ← <人>
1.申込 2.承諾
[意思表示の合致]
(1+2)だけで契約成立
要物契約
意思表示の合致に加えて、目的物(契約の対象のもの)の引渡があることを成立要件とする契約(消費貸借契約等・・・)
<人> → → → → ← ← ← ← <人>
1.申込 2.承諾
⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒
3.物の引渡
(1+2)+3 で契約成立
債務不履行による損害賠償請求権と不法行為による損害賠償請求権
債務不履行
故意・過失の立証責任 | 債務者 |
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過失相殺 | 考慮する |
相殺の制約 | なし |
時効 | 10年 |
胎児の権利能力 | なし |
不法行為
故意・過失の立証責任 | 債権者(被害者) |
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過失相殺 | 考慮することができる |
相殺の制約 | あり(加害者から) |
時効 | 3年(損害及び加害者を知ったときから) 20年(行為のときから) |
胎児の権利能力 | あり(生まれたものとみなす) |
債権者代位権
債権者が、自己の債権を保全するために必要な場合に、債務者が行使を怠っている財産上の権利を自己の名で代わって行使する権利を 「債権者代位権」という。
債権者代位権行使の要件
- 債権者の債権を保全する必要があること
- 債務者が自らその権利を行使しないこと
- 債権が原則として履行期にあること