不動産(まちづくり)ビジネス手法
一般定期借地権 契約形態別 実務の要点
※借地借家法第22条「一般定期借地権」には、建物の所有を目的とする地上権および賃借権の2つがあります。
賃料方式
01.継続賃料方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に月極賃料を決め、支払方法は、月払い・半年払い・年払いなどとし、3年に一度、公式により地代を自動的に改定します。※毎年の公租公課は、貸主が負担します。 |
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要点 | 平成4年の「借地借家法」の施行以来、全国に普及した「一般定期借地権設定契約」は、この方式によるもので、最も一般的な契約形態です。 |
02.前払賃料・継続賃料併用方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の一部(例:50%)を前払いとし、残余(例:50%)を継続払い(月払い・半年払い・年払い)とします。※毎年の公租公課は、貸主が負担します。 |
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要点 | 契約当初に貸主が相当額の一時金を取得したい場合、資金力のある借り主が相当額を前払いして、将来の地代負担を軽くしたい場合に取引される新しい契約形態です。 |
03.準一括前払方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の全部を一括して前払いする。毎年の公租公課の実額分を貸主の請求により借主が支払います。 |
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要点 | 契約当初に全期間の地代総額を決め、それを全額一括前払いするが、固定資産税・都市計画税の実額分だけを借主が貸主に支払う方法で、当事者の認識には本来の地代については、受取済・支払済となります。 |
04.完全一括前払方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の全部を一括して前払いする。※毎年の公租公課は、貸主が負担する。 |
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要点 | 契約当初に全期間の地代総額を決め、それを全額一括前払いをするが、固定資産税・都市計画税の実額分の支払を借主に求めないので、全期間にわたって当事者間の一切のやり取りが不要となります。 |
権利金・賃料併用方式
05.権利金・継続賃料併用方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の一部(例:50%)を権利金(賃貸権設定の対価)として支払い、残余(例:50%)を継続払い(月払い・半年払い・年払い)とします。※毎年の公租公課は、貸主の負担とします。 |
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要点 | 契約の当初に貸主が相当額の一時金の取得を望む場合、資金力のある借主が相当額を前払いして、将来の地代負担を軽くしたい場合に想定される取引です。 |
06.権利金・前払賃料併用方式【賃借権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の一部(例:50%)を権利金(賃借権設定の対価)として支払い、残余(例:50%)を前払賃料として一括して支払います。 |
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要点 | 契約の当初に貸主が全期間の賃料総額の一括取得を望み、借主も将来の地代負担をなくしたい場合に想定される取引です。本来の地代については受領済・支払済となります。 |
権利金一本一括支払方式
07.確定方式【地上権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の全部相当額を地上権(期間50年)設定の対価(権利金)として支払います。毎年の公租公課の実額分を貸主の請求により借主が支払います。 |
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要点 | 契約当初に賃料の前払ではなく、50年間の地上権設定の対価として権利金の支払を受けるもので、契約の全期間に本来の賃料は発生しません。唯一固定資産税・都市計画税の実額分だけを借主が貸主に支払う方法です。 |
08.完結方式【地上権】
契約原則 | 契約当初に契約全期間の賃料総額の全部相当額を地上権(期間50年)設定の対価(権利金)として支払います。毎年の公租公課は、貸主が負担します。 |
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要点 | 07.と同じ地上権設定対価方式ですが、固定資産税・都市計画税の実額分の支払を借主に求めないので、全期間にわたって当事者間のやり取りが一切なく、契約当初に全てが確定し、完結します。 |
09.完全方式【地上権】
契約原則 | 契約期間を100超とし、全期間の賃料総額の全部を契約当初に地上権設定の対価(権利金)として支払います。毎年の公租公課の納税義務者は地上権者となります。(地方税法343条) |
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要点 | 08.と同じ地上権設定対価方式ですが、契約期間を100年超とすることにより、地方税法の規定によって固定資産税の納税義務者は地上権者(借主)になるので、貸主の負担とならず、08.と同じ意味で契約の当初に完全に完結することになります。 |
土地区画整理事業
区画整理と聞いてもあまり実感がわかないかもしれません。「自分の土地が減歩する」「手続きが面倒」「時間がかかる」といったような漠然とした印象を持っている人が多いのではないでしょうか。
区画整理は、接道条件が悪かったり、様々な諸問題を周辺の土地と集約したり入れ替えたりすることで解決できるような場合に威力を発揮します。
土地の交換・分合のルールがハッキリとしているからです。
さらに税制優遇を含むいろいろな支援も受けられます。
区画整理の目的
土地区画整理法第2条第1項では、区画整理の目的は「公共施設の整備改善」と「宅地の利用の増進」であるとされています。
これまで全国の人口集中地区の約3分の1に相当する面積の約40万ヘクタールの市街地が区画整理の手法を使って整備されてきました。
区画整理の施行者区分
施工者主体による区分
個人施行 | 地権者又は地権者の同意を得たものが、その土地について1人でまたは数人協同して施行 |
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組合施行 | 地権者が7人以上で土地区画整理組合を設立して施行 |
会社施行 | 地権者と民間事業者が共同で設立する株式会社(区画整理会社)が施行 |
公共団体施行 | 都道府県または市町村が施行 |
大臣施行 | 国土交通大臣が施行 |
機構・公社施行 | 都市機構または地方住宅供給公社が施行 |
個人施行の区画整理とは
一番なじみがあり、今後、事業として参画しやすい個人施行区画整理について少しみていきましょう。
個人施行の区画整理は大きく分けて「一人施行」と「共同施行」とに分かれます。
一人施行とは
1人の地権者(法人も含みます)が権利を有する土地についてもしくは地権者から同意を得た者1人が当該地権者の土地について区画整理を施行することをいいます。
共同施行とは
複数の地権者または地権者から同意を得た者が地権者と共同して、自分たちが権利を有する土地または同意を与えた地権者の土地について区画整理を施行するものです。
実務の構成
区画整理事業の実務は大きく分けて3つに大別されます。
- 事業本来の目的を遂行する業務
- 業務を運営していく上で必要な管理的な業務
- 事業を経営するマネージメント的な業務
個人施行区画整理の主な流れ
準備段階
- 土地活用の発意
- 調査・計画の実施
- 規準・規約案および事業計画案の作成/建築計画との調整
- 換地設計/事業計画等の事前協議/建築設計との調整
- 関係権利者等の同意取得
- 施行認可申請・許可・公告
- 仮換地指定
- 従前の建物等の移転・除却
- 工事の施行
- 出来高確定測量
- 換地計画案の作成
- 換地計画に関する関係権利者の同意取得
- 換地計画認可申請・認可
- 換地処分通知・公告
- 換地処分登記の申請/精算の実施
- 終了認可申請・認可
実施段階
優良建築物等整備事業
優良建築物等整備事業とは、一定の要件を満たす良好な建築物に対して、その事業費の一部を国や地方公共団体が補助することにより、「市街地環境の向上」「良質な市街地住宅の供給促進」を実現する事業です。
補助の対象となるのは、初動期に要する調査設計計画費、土地整理等の費用、共同施設整備等の費用などです。
7つの種類
優良開発型
- 共同化タイプ
- 市街地環境形成タイプ
- マンション建替タイプ
- 中心市街地共同住宅供給タイプ
- 住宅複合利用タイプ
- 既存ストック活用型
- アスベスト改修型
市街地住宅供給型
共同化タイプ
建替えを行いたくても、敷地の接道している道路幅が狭いため十分に容積が使えなかったり、敷地の地型が悪く、満足な建物が建てられないことがあります。
単独では思い通りの建物が建てられない場合に、複数の権利者で建替えるのが、「共同化」タイプです。
敷地を共同化することにより、土地の有効活用が期待できます。
エレベーターや廊下といった共同化施設の効率的な配置、利用ができ、敷地の共同化を通して、公開空地や駐車場などの屋外空間の確保が容易になります。
市街地環境形成タイプ
整備される建築物やそれにより生み出される空地などにより、良好な市街地環境の形成を図るのが、「市街地環境形成タイプ」です。
ルールに従い、壁の位置や色彩などを制限し、施設建物と公共駐車場を一体的に整備します。敷地内に安全で快適な歩行者の空間の整備も行います。
協調的な設計によって、より良好な「まちなみ」を形成することを目的としています。
マンション建替えタイプ
時間が経てば、どんなマンションでも劣化していきます。
新築当時は快適だったマンションも、時とともに老朽化していくものです。建築後30年も経つと屋根の防水や外装、設備配管のやり直しなどの大規模な修繕が必要になります。大規模修繕は多額な費用が必要となりますので、このタイミングで建替えを希望する区分所有者(マンションの住民)もいらっしゃるのです。
市街地総合再生計画等の区域内で、10人以上の区分所有者がいる、建替え決議が分譲マンションの建替えに適用されます。
中心市街地共同住宅供給タイプ
使用されていないオフィスビルなどを住宅に転用し、整備するのが「中心市街地共同住宅供給タイプ」です。
既存の建築物の有効活用を図りつつ、良好な市街地環境の創出を目指しています。
住宅複合利用タイプ
市街地で利便性の高い地区において、賃貸住宅経営を行いたいと思っても、住宅一戸に対する地価の負担が大きくなり、経営が成り立たないことがあります。
住宅供給が困難な状態にある地価の高い市街地において、住宅と店舗を併せて建設することにより、住宅の地価負担を軽くしようとするのが、「住宅複合タイプ」です。
15戸以上の住宅を供給する事業であることが条件になっています。
既存ストック活用型
既存のオフィスビルなどを活用して、住宅を整備するのが「既存ストック活用型」です。
選定された地域において、優良な共同住宅の供給を支援し、まちなか居住の推進を図ります。
アスベスト改修型
たくさんの人が共同で利用する建築物において、吹付けアスベストの調査や除去などを行う事業に対し、補助を行います。
事業のフローチャート
01.権利者の合意
- まちづくりの話し合い、準備組織の結成
- 基本計画の作成、施工者の決定、融資等の相談
- 補助金の予算化、補助金交付申請
02.権利者の合意
- 補助金交付決定
03.土地・建物の持ち分決定
- 融資等の手続き。移転・仮店舗などの工事、建物の解体・工事の着手、工事の完了
- 登記、精算
04.新しいビルの運営・管理
「まちづくり」するための方法
多くの人が営業・居住している市街地で、人々が集う元気な「まちづくり」をすすめていくためには、地元の住民同士が十分に話し合い、その地区に適した「まちづくり」の方法を決めていくことが必要です。
- まちづくりルールを決める
- 使いやすい敷地にする
- 共同ビルに建替える
「まちづくり」には、様々な方法があります。その代表的な方法として、優良建築物等整備事業があるのです。
まちづくり~総合設計制度・高度利用地区・特定街区~
総合設計制度
総合設計制度による容積率と高さ制限の緩和の許可を受けるためには、建ぺい率に応じた一定規模以上の空地があるとともに用途地域に応じて敷地面積が一定規模以上であるなどいくつかの要件を満たさなければなりません。
特定行政庁の許可を受けるための要件
- 建ぺい率に応じた一定規模以上の空地
- 用途地域に応じた一定規模以上の敷地面積
- 交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないこと
- 建ぺい率、容積率、各部分の高さについて総合的な配慮がされていることにより、市街地の環境の整備改善に役立つもの
- 建築審査会の同意を得たもの
緩和される規定
- 容積率の限度
- 第1種、第2種低層住居専用地域内の高さの限度
- 道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限 (日影規制は緩和されません)
フローチャート
- 基本設計
- 実施設計
- 許可申請
- 建築審査会の同意
- 詳細設計
- 建築確認申請
- 工事着手
容積率を緩和させる手法において、総合設計制度は、特定行政庁の許可という比較的簡易な手続きにより敷地単位で適用されるものです。
一定規模以上の空地(公開空地)について
総合設計制度における公開空地は、用途や形状などに応じて係数が設けられいてます。
係数の高い公開空地を多く設けることに応じて容積率緩和を受けられます。
ただし、容積率緩和には上限も設けられており、公開空地の分類や係数については各特定行政庁により異なりますので確認が必要です。
効果
容積率の緩和の効果は、商業地域においては、総合設計制度実施建築物付近の公示地価は、容積率が増加するほど地価が増加するようです。
住宅地域についても同様、総合設計制度実施建築物付近の公示地価は、上昇する傾向にあるようです。
それに対し、公開空地の効果は、商業地域、住宅地域いずれも周辺地価に対してあまり効果がないようです。
高度利用地区
都市再開発法第3条より、市街地再開発事業の施行区域は高度利用地区内でなければならないとされています。
高度利用地区に指定されると、簡易な建築物(主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であって、階数が2階以下で、かつ地階を有しない建築物で容易に移転または除却できるもの)以外は、高度利用地区に定められた内容に適合する建築物しか建てられません。
高度利用地区は都市計画法第8条に規定されている地域地区の一つで、都市再開発法が制定されたときに設けられたものです。
用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るための地区です。(都市計画法第9条)
高度利用地区で定めるもの
- 容積率の最高限度と最低限度
- 建ぺい率の最高限度
- 建築面積の最低限度
- 壁面の位置の制限
高度利用地区とは、文字通り、土地の「高度利用」のために指定される地区です。
「1容積率の最高限度と最低限度」や「3建築面積の最低限度」のように定めるのは、それ以上大きいあるいは高い建物を建ててもらうことが目的です。
また、いわゆるペンシルビルと言われる縦に細長いビルを防止するためのものでもあります。
「2建ぺい率の最高限度」「4壁面の位置の制限」は、建築物周辺のオープンスペースの確保、市街地の環境の向上が図られます。
高度利用地区内の緩和
- 道路斜線制限の緩和
- 既存不適格建築物の緩和
敷地内に道路に接して有効な空地がある建築物で、特定行政庁が認め、建築審査会の同意を得て許可したものは道路斜線制限を超えて建築することができます。隣地斜線制限・北側斜線制限は緩和されずに適用されますので注意しましょう。
高度利用地区が指定される前から建築されており、現行の建築基準法の規定に適合しない既存不適格建築物は、適合しない建築物の部分を残したままでも、一定の条件を満たせば増改築することができます。
確認事項
都市再開発法による市街地再開発事業は、この「高度利用地区」などで行われます。具体的な制限の基準や内容は各自治体や地区によって異なりますので、確認が必要です。
特定街区
特定地区とは、都市計画法の地域地区の1つであり、都市計画法第9条第18項に規定されています。
「市街地の整備改善を図るため街区の整備または造成が行われる地区について、その街区内での容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定める街区」のことをいいます。
都市計画法、建築基準法の制限を適用せずに街区単位で都市計画を定め、民間の建築等を個々に承認する制度です。
総合設計制度と似ていますが、総合設計制度は適用条件がより汎用的であり、都市計画としての全体的視点が弱いために近隣とのトラブルに発展する場合もあります。
イメージは、総合設計制度は、住宅密集地、民間主体、超高層マンション。
特定街区は、ある程度整った街区、超高層オフィスビル、商業ビル。といったところでしょうか。
特例街区の事例としては、霞ヶ関ビル、新宿の超高層ビル街、池袋のサンシャイン60などがあります。
特定街区の指定による建築規制
特定街区の指定により都市計画で定められているもの
- 容積率
- 高さの最高限度
- 壁面の位置の制限
特定街区の指定により建築基準法の一般的規定が適用されないもの
- 容積率
- 建ぺい率
- 低層住宅専用地域内の外壁の後退距離、高さの限度
- 低層住宅専用地域内の敷地面積
- 建築物の高さの斜線制限
- 日影規制
- 総合設計
- 高度地区
- 高度利用地区
特定地区と総合設計制度との相違点
特定地区 | 街区単位で、都市計画地方審議会の議決などを経て、都市計画の一環として決定されます。 |
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総合設計制度 | 敷地単位で、建築審査会の同意を得て特定行政庁に許可されます。 |
まちづくり三法(都市計画法・大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法)
いわゆる「まちづくり三法」とは
大規模小売店舗の出店にあたり地元中小小売業者との商業調整を行ってきた「大規模小売店鋪における小売業の事業活動の調整に関する法律(大店法)」を規制緩和の一環として平成12年に廃止し、かわって『まちづくり三法』が制定されました。
『まちづくり三法』は、平成10年に「都市計画法」「大規模小売店舗立地法」(以下「大店立地法」という)『中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律』(以下「中心市街地活性化法」という)からなります。
「都市計画法」の改正によるゾーニング(土地利用規制)(H10~)
大規模集客施設(床面積1万㎡超の店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等)の立地可能な用途地域は、商業地域・近隣商業地域・準工業地域の3つに限定されることになりました。
準工業地域では、特別用途地区(大規模集客施設の立地制限となる都市計画決定)の活用が、国による中心市街地活性化基本計画認定の条件となります。
非線引き都市計画区域、準都市計画区域内の白地地域では、大規模集客施設は原則立地不可です。
開発整備促進区が創設されました。大規模集客施設の計画立地誘導を目的とした地区計画区域内のゾーニングです。
たとえば、立地が制限されている地域で大規模集客施設を立地しようとする場合、
- 公共施設が既に十分整備されている地域→都市全体における用途の適正な配分を考慮→用途地域の決定等により対応することが可能となります。
- 土地の利用状況の変化が著しく、十分な公共施設が整っていない地域→開発整備促進区を定める地区計画により対応可能となります。(準都市計画区域内を除く)
他には、「準都市計画区域制度の見直し」「都市計画手続きの円滑化、広域調整手続きの充実」「開発許可制度の見直し」がありました。
開発許可制度の見直しでは、市街化調整区域内の大規模開発を許可できる基準が廃止されるという大きな改正がありました。
病院、福祉施設、学校、庁舎等の公共公益施設は開発許可の対象となったのです。
中心市街地活性化法(H10~)
中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進するために内閣に「中心市街地活性化本部」を設置。
市町村が作成する基本計画の内閣総理大臣による認定制度を創設。
地域が一体的にまちづくりを推進するための「中心市街地活性化協議会」の法制化等の措置を講じられました。
中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案
- 「中心市街地の活性化に関する法律」へ題名変更
- 基本理念・責務規定の創設
- 中心市街地活性化についての基本法的性格を踏まえ基本理念を創設
- 国、地方公共団体及び事業者の責務規定を創設
- 国による「選択と集中」の仕組みの導入
- 中心市街地活性化本部(本部長:内閣総理大臣)の創設
- 基本計画の内閣総理大臣の認定制度
- 多様な関係者の参画を得た取り組みの推進
- 市町村が作成する基本計画、認定基本計画の実施等について市町村に意見を述べることができる
- 市町村が基本計画を作成する際の意見聴取ができる
- 民間事業者が事業計画を作成する際に協議に参加できる
- 支援措置の大幅な拡充(認定基本計画への深掘り支援)
少子高齢化、消費生活等の状況変化に対応し、中心市街地における都市機能の増進及び経済の活力の向上を総合的かつ一体的に推進することを目的として、快適で魅力のある生活環境の形成、都市機能の集積、創造的な事業活動の促進を基本とし、地域の関係者が主体的に取り組み、それに対し国が集中的に支援を行うことと基本理念は定められています。
基本方針案の作成、施策の総合調整、事業の実施状況のチェック&レビュー等
法律、税制の特例、補助事業の重点実施等
認定基本計画への支援措置としては、
市街地の整備改善 | 路外駐車場の特例 / 中心市街地公共空地等に係る樹木保存法の特例(新設) / 事業用地適正化計画の認定の特例 |
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都市福利施設の整備・まちなか居住の推進 | 土地区画整理事業の保留地の特例(拡充) / 共同住宅供給事業に対する支援制度(新設) / 地方住宅供給公社の設立、業務の特例(新設) |
商業の活性化 | 大店立地法の特例(新設) / 中小企業基盤整備機構業務特例 |
などが、あります。
多様な民間主体が参画する中心市街地活性化協議会の法制化
「中心市街地活性化協議会」とは、基本計画の作成時に民意を反映して、実施において協議・調整するための組織として、地元関係者、中心市街地活性化機構、まちづくり会社、商工会等で組織されています。
協議会の役割としては、
都市機能の集積促進
暮らし・にぎわい再生事業の創設、まちづくり交付金の拡充
「暮らし・にぎわい再生事業」とは、都市機能のまちなか立地及び空きビル再生を支援し、これらに関連するにぎわい空間施設整備や計画作成・コーディネイトに要する費用について総合的に支援するものです。
「まちづくり交付金」とは、平成22年に社会資本整備総合交付金に統合され、同交付金の基幹事業である都市再生整備計画事業として位置づけられています。
中心市街地内への事業用資産の買換え特例の創設(所得税・法人税)
特例の内容は、中心市街地の外から内に事業を資産を買換えた場合に、所得税を80%課税繰延等行うというものです。
非営利法人を指定対象に加える等中心市街地整備推進機構の拡充
「中心市街地整備推進機構」とは、公益法人その他営利を目的としない法人を市町村が指定します。
街なか居住の推進
中心市街地共同住宅供給事業の創設
「中心市街地の活性化に関する法律」に基づき、中心市街地における優良な共同住宅供給を支援することによって、街なか居住の推進を図り、中心市街地の活性に寄与するものです。
中心市街地共同住宅供給事業(市町村長による事業計画認定)
事業要件は、「優良な住宅を10戸以上供給(延床面積の2分の1以上が住宅)」「敷地面積が概ね500㎡以上」「地階を除く階数が3階以上」「耐火建築物または準耐火建築物」等です。
補助対象は、「調査設計計画費」「土地整備費」「共同施設整備」となっています。
街なか居住再生ファンドの拡充
「街なか居住再生ファンド」とは、中心市街地等で行われる民間の多様な住宅等の整備事業を対象とし、それらの事業を主な目的として設立される会社に対し出資を行うことにより支援を行うものです。
支援制度は不動産証券化の仕組みを用いたプロジェクトに対して行われます。
商業等の活性化
中心市街地における空き店舗への大型小売店鋪出店時の規制緩和
戦略的中心市街地商業等活性化支援事業の拡充
商業活性化空き店舗活用事業に対する税制等の拡充
その他
公共空地等の管理制度、共通乗車船券の特例の創設 等
大規模小売店舗立地法(大店立地法)
大規模小売店舗立地法(大店立地法)は、大規模小売店鋪の設置者が配慮すべき事項として、大規模小売店鋪の立地に伴う、交通渋滞、騒音、廃棄物等に関する事項を定めて、大型店舗と地域社会との融和を図ることを目的としています。
大型店舗に出店に対する政策は、大店立地法を含むいわゆるまちづくり三法により対応することとなっています。
運営主体は、都道府県・政令指定都市です。
届出者は、建物もしくは床の設置者又は所有者で、届出日は、開業・変更予定日の8ヶ月前となっています。
手続きに要する期間は、概ね1年以内です。
適用対象規模 | 店舗面積1,000㎡超(基準面積) ※都道府県・政令指定都市は、上記の基準面積を超えて定めることができます。 |
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規制基準 | 交通渋滞 / 駐車 / 駐輪 / 交通安全 / 騒音等の環境への影響 |
届出項目 |
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フローチャート
- 届出
- 説明会の開催
- 地元市町村・住民等の意見
- 都道府県・政令指定都市による勧告
- 開店
都道府県・政令指定都市によって届出事項の概要等を公告、4ヶ月間縦覧されます。
届出の日から2ヶ月以内に、大規模小売店舗の所在地の市町村内において地元住民等への説明を行わなければなりません。
公告日から4ヶ月以内に大規模小売店舗周辺の生活環境保持の観点から意見を聴取しなければなりません。
勧告がなければ手続きは終了となり開業となります。
既存店舗の届出
大店立地法で規定されている施設の配置や運営方法に変更がある場合は届出が必要です。
基本的に施設の配置の変更届では変更しようとする日の8ヶ月前に行わなければなりません。
また、運営方法の変更届出は、変更しようとする日の前日までに行う必要があります。事前届出ですので、注意しましょう。