CHIOU / 株式会社地央

インフラ調査 ── ガス・水道・電力の引込みを確かめる

この記事の要点
  • 調べるのは引込みの有無・口径・埋設位置・私設か公設かの四点。「来ているかどうか」だけでは足りない
  • 引込みがなければ、数十万円から百万円単位の工事費が発生する。誰の負担かを早く決める
  • 水道は口径が効く。13ミリでは二世帯や店舗に足りないことがあり、増径には別途費用がかかる
  • 送電線が上空を通る場合、地役権が設定され建築が制限される。登記の乙区で確認する

「水道は来ていますか」と聞かれて、「来ています」と答える。これだけでは足りません。

口径がいくつか、どこまで来ているか、公設管か私設管か。この四つが揃わないと、いくらかかるかが分かりません。そして費用が分からなければ、誰が負担するかも決められません。

この記事では、ガス・水道・電気・下水の四つについて、何をどこで調べるのか、引込みがない場合に何が起きるのかを扱います。

四つを、同じ枠で調べる

インフラは種類が違っても、確認する項目は共通しています。

確認項目 なぜ要るか
引込みの有無 ないと工事が必要。費用と工期が発生する
口径・容量 足りないと増径工事が必要。用途によって必要量が変わる
埋設位置・深さ 工事の際に損傷させないため。他人地を通っていないか
公設か私設か 私設なら、所有者の承諾と維持費の負担が問題になる
他人の敷地を通っていないか

給排水管が隣地の下を通っているケースは珍しくありません。分譲時の名残であることが多く、登記にも図面にも現れません。

この状態だと、管の更新工事に隣地所有者の承諾が要ります。関係が悪ければ、工事ができません。水道局の管網図と、敷地内の桝の位置を照らして、管がどこを通っているかを確認してください。

水道

どこで調べるか

水道局(自治体によっては上下水道局、水道課)。管網図の写しを取得します。地番または住居表示で照会できます。

何を見るか

項目 実務上の意味
前面道路の本管の口径 細ければ、引込み可能な口径にも上限が出る
引込み管の口径 13ミリ・20ミリ・25ミリなど。ここが最も効く
引込みの位置と深さ 敷地のどこまで来ているか。メーターと止水栓の位置
公設管か私設管か 私設管なら維持管理の負担者と承諾が問題になる
水栓番号 照会の際に必要
口径13ミリは要注意

古い住宅では引込みが13ミリのことがあります。単身や少人数なら足りますが、同時に複数箇所で使うと水圧が落ちます。二世帯住宅、店舗、賃貸への転用では足りません。

20ミリ以上への増径には、道路の掘削を伴う工事と、自治体への手数料(加入金・分担金)がかかります。自治体によって金額が大きく違うため、必ず金額を確認してください。数十万円になることがあります。

水圧

分譲や大規模開発では、水圧が問題になります。新しく戸数が増えれば、既存の住宅の水圧が下がる可能性があるためです。複数区画の分譲を計画する場合、水道局との事前協議が必要です。本管の増径を求められることもあります。

下水・排水

どこで調べるか

下水道課。整備区域図と本管の位置図を確認します。

何を見るか

  • 下水道整備区域か 区域外なら浄化槽が必要です。整備の予定時期も聞きます
  • 処理方式 汚水と雨水を分ける分流式か、一緒に流す合流式か
  • 本管の位置・口径・深さ 深さによっては、宅内配管に勾配が取れないことがあります
  • 受益者負担金 納付済みか未納か。未納なら、その負担が買主に移ります
  • 放流先 側溝、水路、河川。水路への放流には管理者の承諾が要る場合があります

浄化槽の場合

整備区域外では浄化槽になります。確認するのは次の点です。

  • 設置年と人槽(5人槽・7人槽など)
  • 単独処理浄化槽か合併処理浄化槽か。単独処理は現在新設できず、更新の際は合併処理になります
  • 保守点検・清掃・法定検査の実施状況
  • 放流先の確保

維持管理には年間で数万円かかります。買主にとっては継続的な負担なので、説明すべき事項です。

ガス

どこで調べるか

都市ガスであればガス会社。多くの会社が埋設管の照会窓口を設けており、オンラインで申し込めることもあります。図面の交付には数日かかることがあるため、早めに動きます。

何を見るか

  • 都市ガスかプロパンか。プロパンならボンベの設置場所と供給業者
  • 本管の位置と口径
  • 引込みの有無と位置
  • 敷地内の埋設状況
赤い杭とマーキング

ガス管の位置には、赤い杭や路面のマーキングが設けられていることがあります。敷地内や前面道路にこれがあれば、その下にガス管が通っています。

掘削工事でガス管を損傷させると、漏洩・引火の危険があるだけでなく、修理費用と工期の遅れ、場合によっては法的責任が発生します。事前照会を怠っていた場合、過失を問われます。着工前の照会は省略できません。

プロパンの場合の注意

プロパンガスでは、供給業者が給湯器やコンロを無償貸与し、ガス料金に上乗せして回収している場合があります。この契約が残っていると、業者の変更に違約金が発生することがあります。契約内容と残存期間を確認してください。

電気

何を見るか

  • 引込みの有無。電柱からの距離
  • 敷地内または前面に電柱があるか。電柱番号を控えます
  • 上空に送電線・配電線が通っていないか
  • 支線(電柱を支える斜めのワイヤー)が敷地内に入っていないか

送電線が上空を通る場合

高圧の送電線が上空を通る場合、電力会社によって地役権が設定されていることがあります。登記事項証明書の乙区で確認できます。

地役権が設定されていれば、建物の高さや構造に制限がかかります。「送電線の下だから安いのだろう」で済ませず、制限の内容を必ず確認してください。建てられる建物が変わります。

電柱の移設

敷地の前や敷地内の電柱が、出入口や建物の配置の邪魔になることがあります。移設は電力会社に相談できますが、移設先の確保が条件になります。近隣の同意が要ることもあり、時間がかかります。

費用は状況によります。電力会社の都合で設置されているものは無償のこともありますが、依頼者負担になることも多いため、見積もりを早めに取ってください。

引込みがないときの見積もり

調査の結論として最も重要なのが、引込みがない場合にいくらかかり、どれだけ時間がかかるかです。

確認すること
水道 本管からの距離、道路の舗装種別(掘削費に影響)、加入金・分担金の額、掘削制限の有無
下水 本管からの距離、深さ、受益者負担金、区域外なら浄化槽の設置費
ガス 本管からの距離、ガス会社の負担区分
電気 電柱からの距離、新設が必要かどうか

道路の舗装が新しい場合、一定期間は掘削が制限されます。この期間に当たると、引込み工事そのものができません。道路管理課で確認する項目です。

金額は自治体と現場の状況で大きく変わります。「だいたい○万円」と伝えず、根拠を示せる数字を取ってから伝えてください。

実務チェックリスト
  • (水道)管網図を取得した本管口径・引込み口径・位置・深さ
  • (水道)引込み口径を確認した13ミリなら用途に足りるか要検討
  • (水道)公設管か私設管か確認した
  • (水道)増径が必要な場合、加入金・分担金の額を確認した
  • (水道)複数区画の分譲なら、水圧について事前協議した
  • (下水)整備区域か確認した区域外なら浄化槽。整備予定時期も
  • (下水)受益者負担金の納付状況を確認した未納なら買主に移る
  • (下水)本管の深さを確認した宅内配管の勾配が取れるか
  • (浄化槽)人槽・単独/合併の別・保守点検の実施状況を確認した
  • (ガス)事前照会を行い、埋設図を取得した着工前の照会は省略できない
  • (ガス)赤い杭・路面マーキングの有無を現地で確認した
  • (プロパン)無償貸与契約の有無と残存期間を確認した
  • (電気)電柱番号を控え、支線が敷地に入っていないか確認した
  • (電気)上空の送電線と、乙区の地役権を確認した
  • 給排水管が他人地を通っていないか確認した管網図と桝の位置を照らす
  • 引込みがない場合の費用と工期を、根拠のある数字で確認した
  • 道路の掘削制限期間に当たらないか確認した

まとめ

  • 「来ているかどうか」では足りない。引込みの有無・口径・位置・公設か私設かの四点を揃える。
  • 水道は口径が効く。13ミリは用途によって足りず、増径には工事費と加入金がかかる。
  • 下水の受益者負担金が未納なら、その負担は買主に移る。必ず確認する。
  • ガスの事前照会は省略できない。怠って損傷させれば、過失を問われる。
  • 給排水管が他人地を通っていることがある。更新工事に承諾が要るため、早く見つける。
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