土地家屋調査士行政書士 村上事務所
不動産売買

売却スキーム

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任意売却

任意売却は、通常の売買のように「売主」と「買主」との調整の他に、抵当権や差し押さえなどを設定した「債権者」をも巻き込み、関係者全員を調整しまとめあげなければならないものです。

通常の売買の仲介業に必要な知識に加え、民法や民事執行法、破産法などの法律の知識も必要となってくるでしょう。
知っておかなければならないことはかなりの広範囲にわたります。利害関係人を調整することが最大のポイントでもあるため、知識を知っているだけでなく、高いモラルも必要です。

通常よりは駆け引きも必要となってくる場面も多いでしょう。不動産業務の中でも専門性の高い分野といえますね。
売買金額よりも残債債務の方が多く、抵当権者(金融機関のような債権者)や利害の関係する人に不動産売却代金を配分することを条件に債権(抵当権や差押登記)等を解除し、売買を成立させること。
これが、任意売却の狭義の意味です。

任意売却のメリット

  1. 競売より高く売れる可能性がある
  2. 競売より短期間での売買が可能
  3. 引っ越し代が浮くかもしれない
  4. 残債務の交渉について話し合いに応じてもらいやすくなる
  5. 公にならず売却することが出来る
  6. 精神的にも負担が軽くなる(競売よりも自発的に家を売ったという意識になれるため)

任意売却のフローチャート

  1. 事前相談
  2. 不動産価格査定
  3. 媒介契約締結
  4. 債権者との売出価格交渉
  5. 販売活動
  6. 配当案作成、抵当権等抹消承認
  7. 売買契約
  8. 引っ越し
  9. 決済

物件の査定

通常、不動産売買の場合、希望する売買金額を決めるのは主に売り主です。それが任意売却となると、主導権は抵当権者(金融機関のような債権者)にあります。抵当権等の抹消に応じる金額を決めるのは債権者だからです。

いわゆる「ハンコ代」の目安

任意売却の最大の特徴である「ハンコ代」は一体どのくらいになるのでしょうか?
住宅金融支援機構は、必ず第一順位で抵当権を設定しています。第一順位であっても売却代金で回収金額に満たない場合は、住宅金融支援機構は後順位の抵当権者に対しての抵当権等の担保権解除費用(これがいわゆる「ハンコ代」)の目安になる金額を下記のように定めてます。

第2順位 30万円または残元金の1割のいずれか低い額
第3順位 20万円または残元金の1割のいずれか低い額
第4順位 10万円または残元金の1割のいずれか低い額

これよりも上乗せされたハンコ代が認められることもあります。上記はあくまで「目安」ですので。
債権者にとって手取金額がいくらになるかは重大なポイントです。

ここを間違えると債権者を調整することが出来なくなり任意売却が成立しなくなる可能性もありますので十分な注意が必要です。

競売との比較

今現在(平成22年)においての競売の申し立て件数は減少傾向に転じています。
それに対して任意売却の件数は増加傾向。

理由として中小企業等金融円滑化法の影響を受けていることがあげられますね。
中小企業金融円滑化法とは中小企業といった法人だけではなく、勤務先の倒産などで住宅ローンの返済が困難になっている個人も対象になります。

住宅ローンを受けている個人から融資編再条件の変更に関する申出があった場合、金融機関は融資返済における期間延長等の貸し付け条件変更に出来るだけ応じるように努力義務が課せらています。
よって、金融機関の方針としては担保としている不動産を差し押さえることによって債権を回収するという従来の考え方から、債務者の延命措置を行うといった考え方に方針が変わりつつあります。

任意売却は急増しているようですね。
住宅ローンに苦しんでいらっしゃる方が思っている以上に多いような気がします。

任意売却促進法案のゆくえ

平成21年頃に「任意売却促進法案」が話題になっていました。

複数の担保権者がいる不動産において、債務者である所有者と第一担保権者である債権者が売却に合意したときは、当該担保権者は裁判所に対して、当該不動産についている全ての担保権等を消滅させる許可の申立てを請求できることとする。
仮に売却金額に不服のある後順位の担保権者は、上記請求後、1ヶ月以内に競売の申し立てを行うか、もしくは売却金額の5%以上上乗せした金額での購入希望者を見つけなければならないとする。
もし、売却金額に不服のある後順位の担保権者が競売等の申し立てをしなかった場合、裁判所は全ての抵当検討の担保権の抹消を認める。

といったような内容の法案でした。
いまだに政治的な動きは見られませんが、今後の動向を見守っていきたいと思っています。

買い替えスキーム

買い替えは、タイミングが全てです。
買い替えには大きく分けて、二つの方法が考えられます。

  1. 今現在の住居の売却を行い(資金計画を確定させ)、新しい物件を探す方法
  2. はじめに購入物件を決めてから今の住居を売却する方法

どちらもメリット・デメリットがあります。
1の場合は、売却金額が決まることで購入物件の資金計画がたてやすいですが、売却が決まれば買主に物件を引き渡すまでに新しい住居を探さなければいけない、という時間的な制約があります。

2の場合は、条件に合う新しい住居をじっくり探すことができるメリットがある反面、新しい住居が決まったにもかかわらず、今現在の住居がなかなか売れなかった場合は二重ローンとなる可能性があります。

原則は「先に売る」こと。
1の方法ですね。

自己資金が十分にある場合は別ですが、そうでなければ、「先に売ってから買う」のがセオリーです。
不動産会社の担当者が「ローン残高以上で売れますよ」という言葉を鵜呑みにし、先に新しい住居を買ってしまった場合、それがもしローン残高以上で売れなかった場合、住んでもいない以前の住居にローン残債分を払い続けなければならないのです。

先に買ってしまうとこのようなリスクが潜んでいます。

買い替えを成功させるためのポイント

  • 「買取」よりも「仲介」ほうが高く売れる
  • 「スピード」と「価格」のどちらを優先するのか
  • 売り出し価格
  • 需要と供給のバランス
  • 査定金額

買い替えのためのフローチャート

01.新しい住居の希望条件を整理

資金面、住環境面、そして買い替えをする動機はなにか。動機としては、今の住居に対する不満が多いようです。「子供の誕生、成長にあわせて広い家に住みたいから」「以前の家に不満があったから」「より良い環境のエリアに住みたかったから」といった動機があるようですよ。

02.査定

いくらで今現在の住居が売れるのかがわかり、はじめて資金計画を立てることができます。査定に関しては、ある程度はインターネットや住宅情報誌で調べることは可能です。基本的には不動産会社に査定を依頼した方が良いのですが、自分で調べることによって、不動産会社を選ぶ際の材料にもなりますし、相場観がわかれば査定金額に振り回されず冷静な判断ができるようになるからです。査定は複数の不動産会社に依頼しましょう。

03.売却を不動産会社に依頼する

媒介契約を結びます。「売却を依頼するなら、知っておきたい不動産会社の役割・特徴」を参照してください。
「先に売るのか」「先に買うのか」をここで明確にしておきましょう。

04.売り出し価格を決定

早く売却しなければならなければ、ある程度低めの価格でスタートします。この辺りは不動産会社の担当者と綿密に打ち合わせをする必要があります。

05.引き渡し

契約を結んで、決済します。
受け取った代金で残っていた住宅ローンを返済します。このとき抵当権の登記も抹消する登記も行います。

ローン残債が多い場合

売却したにもかかわらず、ローンが残ってしまう場合、そのままでは売却ができません。
売却時には抵当権の抹消をする必要があるからです。不足分は自分で用意し、残債を抹消すれば買い替えは可能となります。

ただし、金融機関によってはローン残債と新しい住居のローンをあわせて借り入れる「買い替えローン」を扱っているところもあります。
当然、審査対象はあります。金融機関との十分な打ち合わせが必要です。

「買い替えローン」は売る住居と買う住居との抵当権の抹消・新規設定を同じタイミングで行わなければなりませんので、売却・購入の手続きをスムーズに行う必要があります。
そういった意味では、不動産会社、各お取り引き相手とも十分な打ち合わせ、調整が重要です。

このローンは、確実に返さなければならないローが増えるということであり、それだけリスクも高い、ということです。決して安易に「買い替えローン」を利用しないほうが良いでしょう。

買い替えのときの税金

買い替えの際には、「買った」ときの税金に加えて、「売った」ときの税金も考えておかなければいけません。

リフォーム

空室がある。なかなか埋まらない。今後さらに空室ができそうだ・・・。
「売ってしまおう!」という前にリフォームを検討してみるのも一つの得策です。

リフォームとはいっても費用もかかるだろうし、なんとかこのままの状態で部屋が埋まらないだろうか。
とほとんどの建物の所有者は考えるでしょう。

しかし、なかなか思う通りにいかないのが現実です。
空室を埋めるために賃料を下げて対応しなければならなくなり、そのうち賃料を下げて続けていくうちに不良資産家のスパイラルに陥ってしますのです。

不動産会社に「リフォームしなければ入居者は見つかりませんよ」と言われ、言われるがままにリフォームするのではなく、自ら理解し、戦略的にリフォームを捉えてみてはいかがでしょうか。

賃貸住宅が借り手市場であることを忘れてはいけません。
ただ所有さえしていれば、入居者が決まる者でもありません。建物所有者(オーナー)として「不動産を所有しているという意識」から「不動産を経営する意識」の意識改革が重要な時代となってきています。

リフォーム費用の基準

予算が賃料の6ヶ月~1年の場合

水回りの場所は変更せずにポイントを絞ってデザインする

予算が賃料の1~2年分

入居者のニーズを考慮し、和室を洋室に変更したり収納を充実させたりして機能をアップさせる。

予算は賃料の2~3年分

よりハイグレードの内装材を使用して高級感のある空間を実現する。

リフォームの費用を借入した場合の返済額

リフォームの費用を借入金によった場合、例えば、年利5%10年返済で1000万円を借入してリフォームした場合、以下の返済額表から毎月の返済額がわかります。
毎月の返済額は、10.61万円となります。
15年返済であれば、7.91万円。
20年返済であれば、6.6万円となることがわかります。

借入期間 6年 8年 10年 12年 15年 20年
年率4.8% 16.01 12.56 10.51 6.94 7.80 6.49
年率5.0% 16.10 12.66 10.61 6.94 7.91 6.60
年率5.2% 16.20 12.76 10.70 6.94 8.01 6.71

※月利計算(千円)

賃料アップしても良いと答えた方の賃料アップ可能額

シングルタイプ

エアコン 5,065円
居住部分8帖 4,889円
ペット可 4,340円
楽器演奏可 4,238円
ジェットバス 4,223円
バス・トイレ別 3,877円
電話2回線 3,821円
床暖房 3,483円
オートロック 3,415円
浴室乾燥機設置 3,261円

※住環境研究会調査
ここでいう賃料アップ額は、1~10の項目にある設備を単体で追加した場合の数字です。

シングルタイプでは、浴室乾燥機があれば、3,261円まで賃料値上げしても良い、というアンケート結果から、浴室乾燥機の設置をシュミレーションしたとしましょう。

浴室乾燥機は、工事代込みで15万円かかるとします。
15年間使用できるとしましょう。『リフォームの費用を借入した場合の返済額(1000万円借入した場合)』の表も参考にします。

15万円 / 1000万円 × 7.91 = 1,186円

毎月1,186円が返済額となります。
賃料値上げしても良いという金額3,261円との差額は、2,075円となりますね。

リフォームの収支計算

リフォームの収支計算を行うには、リフォーム前の賃貸建物の収支計算をベースに、リフォーム後の内容を加えて計算する必要があります。
事業収支計算は、「会計ベースの損益計算」と「キャッシュフローベースの資金計算」があります。

「会計ベースの損益計算」とは、会計上、利益が出たかどうかということであり、税金を考える上で必要なものです。
「キャッシュフローベースの資金計算」とは、いくら収入があり、どのくらいの出費があり、どれだけの税金がかかって最終的にいくら残るのかといったキャッシュベースの計算のことをいいます。

損益計算

収入-経常支出-借入金金利-減価償却費=経常利益
経常利益-税金=税引後利益

資金計算

税引後利益+減価償却費戻し高=償却引当前利益
償却引当前利益-借入金元金=剰余金

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第1248号

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(般-5)第20080号

住所
〒860-0088
熊本県熊本市北区津浦町44−5

電話番号
096−200−9695

ファックス番号
096−200−9752

創業
2004年6月

保有資格
行政書士
宅地建物取引主任士
土地家屋調査士
ビル経営管理士
不動産コンサルティングマスター
マンション管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
2級土木施工管理技士
測量士
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