建物メンテナンス(建物の保全・維持管理)
メンテナンスの程度の良い物件は資産価値が上がります。それはイコール高い商品力を有することを意味します。
一つの建物を長く活用していこうという世の中の流れがあり、建物のメンテナンスが物件の資産価値に大きく影響しています。
保全とは
保全とは、竣工時点の建築物の持つ機能・性能を維持するだけでなく建物が有用に存続する期間内において、その全体または部分の機能及び性能を使用目的に適合するよう維持または改良する諸行為のことをいいます。
事故や不具合が生じてから、修繕を行うことを「事後保全」といい、点検や保守により前兆を捉え、故障する前に適切な処置を施すことを「予防保全」といいます。
応急措置の積み重ねとなる事後保全より予防保全のほうが経済的です。建物の現状を正確に把握した上で予防保全を実施し、適正な維持保全を行うことが重要です。
維持管理
建築・設備及び諸施設・外構等を常時適切な状態に維持する管理のことを維持管理といいます。
建物は、建築躯体(建物そのものの構造部分)・建築設備(給水・排水設備、電気設備)・その他(昇降機、消防設備…)などが組み合わされています。
維持管理には、「清掃管理」「設備管理」「警備」「巡回」などの日常の業務全般 と、定期的に管理状況を把握するための点検と、保守・修繕行為とがあります。
安全・安心、衛生的で快適な環境を維持し、同時に経済性も確保することが維持管理の目的です。
維持管理業務をもれなく効果的に実施するためには、維持管理計画を立てることが重要です。
計画には、「日常的なもの」と「定期的なもの」、「修繕に関するもの」があります。
これらの管理計画を年間計画、月間計画に整理し、効果的に実施、管理していきましょう。
法定点検は、毎月1回のもの、半年に1回のもの1年に1回のものなど、建物や設備によって点検業務の回数が異なるので経費的にも業務の立会等の人員は位置に重複がないように注意しなければなりません。
法定点検
大規模な建築物(建築基準法の特殊建築物等)には、定期的な点検項目が法律で定められ、適正な管理が求められています。
対象建築物は用途と規模によってそれぞれの法令で規定されています。
多くの法定点検は、建築物の所有者、管理者もしくは占有者で管理の権原を有する者に対して実施を求めています。
資格者による点検や不具合箇所の私道や命令が出されることもあり(消防設備点検等)、是正に従わなければ建物の使用停止命令が出されることもあります。
巡回点検
巡回点検は、周期を決めて継続的に行うものです。
汚れ、損傷、変色、色あせ、錆、亀裂、はがれ、詰まり、ぐらつき・・・などをチェックします。
要するに「なにか異常はないか?いつもと変わったところがないか?」を確認することです。
外構
(アパートプレート・ブロック、塀・ゴミ置き場・マンホール・自転車置場・土間コンクリート・土間タイル・散水栓・敷地周り 等)
本体
(外壁・屋根・エントランス・階段・手すり・通路天井・集合ポスト・掲示板・各室玄関ドア・給湯器扉(PS)・ルームプレート 等)
設備・施設
共用灯・共用ブレーカー・火災報知器・非常ベル・消化器・貯水槽・浄化槽・浄化槽ポンプ・エレベーター・テレビアンテナ 等
駐車場
駐車場出入口・駐車場区割・車止設置
その他
チラシ入れ・共用コンセント・エアコン室外機
修繕項目と修繕周期例
建築・外観
部位・工事項目 | 修繕周期 |
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屋根防水改修工事 | 露出12年~ 押さえ18年~ |
外壁塗装工事 | 12~18年 |
バルコニー等防水改修工事 | 12~18年 |
シーリング改修工事 | 8~16年 |
鉄部改修・塗装工事 | 4~6年 |
金物類改修工事 | 使用頻度・損耗による |
アルミ部改修工事 | 24~36年 |
舗装改修工事 | 24~36年 |
外構工作物補修・取り替え工事 | 24~36年 |
屋外排水設備取り替え工事 | 24~36年 |
設備
部位・工事項目 | 修繕周期 |
---|---|
給水設備更生・更新工事 | 18~24年 |
消火設備取替え工事 | 18~24年 |
雑排水設備取替え工事 | 18~24年 |
汚水設備取替え工事 | 24~36年 |
ガス設備取替え工事 | 12~36年 |
電灯・電力幹線・盤取替え工事 | 24~32年 |
照明器具・配線盤取替え工事 | 12~32年 |
電話設備取替え工事 | 30年 |
TV共聴設備取替え工事 | 12~32年 |
自動火災報知設備取替え工事 | 12~32年 |
避雷針設備取替え工事 | 24~32年 |
エレベーター設備取替え工事 | 24~32年 |