コインパーキング投資 ── 手軽さの裏にあるもの
- 方式が二つある。土地を貸すのか、自分で運営するのかで、費用も収入も別物
- 住宅を解体して駐車場にすると、固定資産税・都市計画税が上がる
- 「空室リスクがない」わけではない。地代の減額も、売上の変動もある
- 建物がなくても賠償責任の保険は要る。車両の破損、利用者の負傷
使い道の決まっていない土地、建物を解体した跡地。駐車場は、転用しやすい使い方の一つです。
ただ、「手軽で安定している」という説明をそのまま受け取ると、想定していなかった費用や制約が出てきます。
この記事では、方式の違い、税負担の変化、確認すべき法令を整理します。
方式が二つある
| 一括借上げ(土地を貸す) | 自主運営(管理を委託) | |
|---|---|---|
| 機器の設置 | 業者が行う。オーナーの負担はない | オーナーが負担する |
| オーナーの収入 | 固定の地代 | 売上に応じて変動 |
| 売上が伸びたとき | 収入は変わらない | 収入が増える |
| 売上が落ちたとき | 地代の減額を求められうる | 収入が減る |
| 機器の修繕 | 業者 | オーナー |
一括借上げなら、精算機やフラップ板の費用はかかりません。設備を自分で買うのは自主運営の場合です。
「業者に貸して、なおかつ設備も自分で揃える」という説明は、二つの方式が混ざっています。どちらの話なのかを、必ず確認してください。
固定資産税が上がる
住宅が建っている土地には、固定資産税・都市計画税の課税標準を軽減する特例があります。200平方メートル以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1です。
住宅を解体して駐車場にすると、この特例が適用されなくなります。
つまり、収入は増えても、税負担も増えます。解体費用と合わせて、この点を計算に入れてください。
また、アスファルト舗装や機器の設置は、償却資産として課税の対象になる場合があります。市町村の資産税担当課で確認してください。
収支に入れる項目
| 項目 | 備考 |
|---|---|
| 解体費 | 建物がある場合 |
| 整地・舗装費 | 方式によって負担者が異なる |
| 固定資産税・都市計画税 | 特例が外れた後の額で |
| 償却資産にかかる税 | 舗装・機器を所有する場合 |
| 保険料 | 後述 |
| (自主運営)機器の費用と修繕費 | 耐用年数を過ぎれば交換 |
「空室リスクがない」わけではない
一括借上げの場合
地代は固定ですが、その額が続くとは限りません。
土地の賃貸借契約であり、業者から地代の減額を求められることがあります。売上が想定を下回れば、条件の見直しや契約の解除を申し入れられます。
サブリースと同じ構造です。「保証」という言葉を、そのまま受け取らないでください。
自主運営の場合
収入は売上に連動します。稼働率が下がれば減ります。
「1台でも停まれば収益が発生する」という説明がありますが、費用を差し引いた後に残るかどうかが問題です。税金、電気代、管理委託料、機器の減価。これらは利用がなくても発生します。
駐車場は参入しやすい使い方です。だからこそ、近隣に新しい駐車場ができやすいという面があります。
料金の引き下げ競争になれば、収入は下がります。建物と違い、差別化しにくいのが駐車場の性質です。
周辺にどれだけ駐車場があるか、空いている土地がどれだけあるかを、契約前に見ておいてください。
保険は必要
建物の火災保険は不要でも、賠償責任に関する保険は必要です。
- フラップ板の不具合で車両を損傷させた
- 舗装の不備で利用者が転倒し、負傷した
- 設置物が倒れて、車や人に被害を与えた
- 看板やブロックが台風で飛んだ
施設の管理者としての賠償責任が生じます。一括借上げであれば業者が加入していることが多いですが、どこまでが業者の負担で、どこからが土地所有者の負担かを契約書で確認してください。
自主運営の場合は、自分で加入することになります。
災害の影響もある
建物がないだけで、災害を受けないわけではありません。冠水すれば機器は故障します。土砂の流入、地盤の沈下もあります。
ハザードマップは、駐車場として使う場合も確認してください。
法令上の確認
| 確認すること | 窓口 |
|---|---|
| 用途地域による制限 | 市町村の都市計画課 |
| 市街化調整区域かどうか | 同上。造成の規模によって開発許可が必要になることがある |
| 駐車場法の届出 | 一定規模以上で必要になる場合がある |
| 接道と出入口 | 道路管理者。乗入れ口の設置に許可が要る |
| 排水 | 舗装により雨水の流れが変わる。放流先の確認 |
| 農地の場合 | 農地転用の許可または届出 |
登記上の地目が農地であれば、駐車場にするには農地法の許可または届出が必要です。
現況が耕作されていなくても、地目が農地なら手続きの対象です。無断で転用すると、原状回復を命じられることがあります。
市街化区域内なら届出、区域外なら許可となるのが基本です。農業委員会に確認してください。
土地の条件
駐車場として成り立つかは、土地そのものの条件で決まります。
| 条件 | 影響 |
|---|---|
| 前面道路の幅 | 狭いと出入りしにくい。大型車が入れない |
| 出入口の位置 | 交差点の近く、坂の途中では設置できないことがある |
| 形状 | 不整形だと、確保できる台数が減る |
| 高低差 | 造成費が増える。段差があると使いにくい |
| 面積 | 台数が少ないと、機器の費用を賄いにくい |
| 視認性 | 道路から見えるかどうか |
これらは業者が現地を見て判断します。複数の業者に見てもらうと、条件の違いが分かります。
周辺の需要
- 近くに何があるか(商業施設、病院、駅、事業所)
- その施設に自前の駐車場があるか
- 周辺の駐車場の料金と、実際の埋まり方
- 時間帯による違い 昼と夜、平日と休日で見る
実際に何度か見に行ってください。近隣の駐車場が常に空いているなら、需要はそれだけです。
やめるとき
駐車場はやめやすい使い方とされますが、条件があります。
| 確認すること | |
|---|---|
| 契約期間 | 途中で解約できるか |
| 違約金 | 期間内の解約で発生するか |
| 機器の撤去費 | 誰が負担するか |
| 舗装の撤去 | 更地に戻す場合の費用 |
| 土地の賃貸借の性質 | 借地借家法の適用の有無 |
借地借家法が守るのは、建物の所有を目的とする土地の賃貸借です。
駐車場として土地を貸す場合、通常は建物の所有を目的としないため、借地借家法の適用はありません。
この点は、貸す側にとっては契約の終了がしやすいという意味を持ちます。ただし、契約書にどう定めてあるかが優先します。期間、更新、解約の条件を必ず確認してください。
将来、別の使い方をする場合
「いずれ建物を建てる」「売却する」という予定があるなら、その時期に合わせて契約期間を設定してください。
長期の契約を結ぶと、その間は動かせません。
相続を見据える場合
土地の使い方は、相続の際の評価にも関わります。駐車場としての利用が、評価にどう反映されるかは条件によります。
税務の判断は税理士にご相談ください。この記事は税務の助言を目的としたものではありません。
業者と話すとき
複数から見積りを取る
同じ土地でも、業者によって提示される地代や条件は違います。一社の提案だけで判断しないでください。
確認する項目
- 方式(一括借上げか、管理委託か)
- 地代の額と、見直しの時期・方法
- 初期費用の負担区分(整地、舗装、機器)
- 契約期間、更新、解約の条件
- 撤去費用の負担
- 保険の加入状況と、責任の範囲
- 近隣からの苦情があった場合の対応
夜間の出入り、ライトの光、エンジン音。住宅に近い土地では、苦情が出ることがあります。
誰が対応するのかを、契約前に決めておいてください。「土地の所有者が対応してください」と言われる場合があります。
- 方式を確認した一括借上げか、自主運営か
- 初期費用の負担区分を確認した
- 住宅用地の特例が外れることを計算に入れた
- 償却資産にかかる税を確認した
- 解体費・整地費を見込んだ
- (一括借上げ)地代の見直しの時期と方法を確認した
- (自主運営)費用を差し引いた後の収支を計算した
- 周辺の駐車場の数と埋まり方を、複数の時間帯で見た
- 賠償責任の保険を確認した誰が加入し、どこまで負担するか
- ハザードマップを確認した
- 用途地域・区域区分を確認した
- (調整区域)造成に許可が要るか確認した
- (農地)農地転用の手続きを確認した
- 乗入れ口の許可を確認した
- 排水の放流先を確認した
- 契約期間と解約の条件を確認した
- 撤去費用の負担を確認した
- 将来の使い道に合わせて期間を設定した
- 近隣への対応を誰が行うか決めた
- 複数の業者から見積りを取った
まとめ
- 一括借上げと自主運営では、費用も収入も別物。どちらの話かを確認する。
- 住宅を解体して駐車場にすると、住宅用地の特例が外れて税負担が増える。
- 一括借上げでも地代は減額されうる。自主運営なら売上に連動する。
- 建物がなくても賠償責任の保険は要る。冠水すれば機器も壊れる。
- 農地なら転用の手続きが必要。地目が農地なら、耕作していなくても対象。
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