簡単に不動産の価格を算出する方法
不動産を購入しようかどうしようか、判断しなければならないとき、おおまかに対象不動産の価格をイメージしてみます。
次の4つのことを押さえておけば価格イメージを掴むことが出来ると思います。
- 土地面積
- 容積率
- 賃料単価
- キャップレート
ざっくりと価格を算出してみましょう。
簡易式不動産価格の算出方法
01.土地面積
まず、対象不動産の「土地面積」を把握します。
例1:1000坪の土地面積 (1㎡=0.3025坪)
02.建物延床面積
「建物延床面積」÷「土地面積」のことを「容積率」といいます。
「容積率」の上限は、行政が定める商業地域や住居地域など用途地域ごとに定められており、「土地面積」に「容積率」をじょうずることで建物全体のボリューム(建物延床面積)を把握できます。
例2:「容積率」が800%の場合、建物延床面積は?
1000坪(土地面積)×800%=8000坪
03.賃貸可能面積
賃貸可能面積:専有部分÷建物延床面積のことを「レンタブル比」といいます。
一般的にテナントに賃貸する部分を専有部分と呼び、建物延床面積にレンタブル比を乗じて「賃貸可能面積」を算出します。
レンタブル比は、通常、オフィスで75%~住宅で85%程度です。
例3:「レンタブル比」を80%と設定すると、賃貸可能面積は?
8000坪×80%=6400坪
04.賃料収入
賃貸可能面積に「賃料単価」を乗じて賃料収入を算出します。
例4:「賃料単価」3万円/坪だと賃料収入は?
6400坪×3万円=192,000,000円
05.純収益
賃料収入を総収入とすると、総収入×(1-経費率)で純収益を算出できます。
経費率は、住宅系で20%~オフィス系で30%です。
経費率とは、賃料費用(減価償却費を除く)が賃料収入に占める割合のこと。
例5:「経費率」が30%だと、純収益は?
192,000,000円×(1-0.3)=134,400,000円
06.想定価格
純収益を「キャップレート」で割れば、想定価格が算出できます。
例6:「キャップレート」を5%とすれば、想定価格は?
134,400,000÷5%=2,688,000,000円
※キャップレートとは投資家の期待利回りのことです。
経済的調査
会計・経営調査
- 過年度の収支実績の確認
- レントロールの確認
- 未収状況の確認
過年度の収支実績の確認手続きはAPU(Agreed-Upon Procedures)という関係当事者で合意された方法及び範囲で実施されます。
個々の取引を記録した会計帳簿と取引を分類・集計した収支実績をつき合わせて確認します。
個々の取引の根拠となる原始信憑のサンプリング調査を行います。
レントロールの確認方法としては、まず賃貸借契約書とのつき合せを行います。
確認すべきポイント、項目は、現状のテナント名、フロア、区画、契約面積、契約期間、賃料、共益費、敷金等の一時金、です。
テナントに関しては、実際にテナントが入っているかどうか、、現地で確認したほうがいいでしょう。
書類上、テナントが入っていることになっていても実際にはもう営業してない、なんてことを私は経験したことがあります。
書類だけで信じるのはよくありません。
できる限り、足を使い、自分の目で確かめること。そんなことはわかりきっていることでしょうが、なかなか実行継続できないものですよね。
ただ、この辺の地味な作業をするかしないかで、リスクの量が変わってくるということを忘れずにいたいものです。
それから、未収状況の確認も忘れてはいけません。延滞状況などを調査しておきましょう。
市場調査
- 賃貸市場の調査(オフィスビル、賃貸マンション)
- 商圏等の調査(商業施設、ホテル、物流施設など)
- 同種の不動産の取引状況の調査
信用調査
売主、テナントの信用調査もできる限り把握しておきます。
売主の財産状況によっては瑕疵担保責任が負えない、なんてこともあり得るからです。
このようなリスクをはらんでいる以上、売主の信用調査ははずせませんね。
テナントの信用調査については、なぜ行うかというと、家賃を払い続けてくれるのか、安定して、商売しているのか、を確認することに尽きます。
特に特定のテナントに長期で一括賃貸している場合など注意が必要です。
賃料収入は、投資リスクに直結しています。(いってしまえば、投資家は賃料収入にしか興味がありません!!)
調査方法としては、格付け会社による格付けや、信用調査会社による調査結果を活用します。
帝国データバンクなどの信用調査会社の調査には、当然にコストがかかりますが、担当者と懇意にしていれば、彼らは彼らのネットワークがありますので、思いがけない情報にありつくこともあるんです!
こんなコアの情報を教えてもらうには、当たり前のことですが、ギブ&テイクの関係が前提です。
賃貸市場の調査
オフィスビル
- エリア全体の市況(賃料・空室率)の推移を把握
- 周辺の競合物件の絞込みとビル属性・新規賃料水準の把握
- 将来の需給動向の調査(周辺の開発計画や需要見通し)
オフィスビルの市場分析
売買市況
プライベートファンドを中心とした投資家等の物件取得意欲は強い。個別の取引では買い手が競合。一般的な賃貸ビルの取引利回り(NOIベース)は5%台半ば程度。
賃貸市況
空室率はピークアウトし、緩やかな低下傾向。現時点の対象不動産が存する地域の平均空室率は6~8%程度。成約賃料は緩やかな低下基調が続いているが、ほぼ底打ちの状況。
ミクロ分析
想定される需要者:立地条件や建物スペックについて、ほとんどのREITの投資基準を一応は満たしているが、物件規模が比較的小さいため、想定される需要者としてはプライベートファンドが最有力。
賃貸マンション
- 周辺の競合物件の絞込み(グレードや間取りの共通性)
- 競合物件の特性、新規賃料水準及び入居者の募集状況等を調査
- 分譲マンションとの競合状況の調査
商業施設
- 商圏の設定
- 商圏人口と人口構成の把握
- 周辺の競合施設の状況(開発計画を含む)の調査
- 分業種別の業界動向の調査
ホテル
- エリア全体の業界動向の調査
- 観光客やビジネス客の状況把握
- 周辺の競合物件の特性、客室販売単価及び稼働率等の水準の把握
物流施設
- 立地条件の調査(インターチェンジ、主要道路、港湾・空港へのアクセス等)
- 物流量・取扱量の調査
- 周辺の競合施設の状況(開発計画含む)の調査
- 一般的な賃料水準の調査
高齢者関連住宅等
- エリア全体の業界動向の調査
- 周辺の競合物件の特性、入居一時金及び管理費等の水準の把握
- 周辺開発など新規供給の見通し
住環境の調査
不動産を購入するとき、これから生活するところの環境が気にあるところですね。
いわゆる住環境はそのまま不動産の価値につながります。
どんなに立地条件がよく、ハイグレードな建物であったとしても、周辺環境、住環境が悪ければ、価値はぐっと下がります。
防災関連情報
自然災害は、住宅倒壊など直接私たちの生活に影響します。
国や自治体は災害時の被害を予測し、危険な地域などまとめた資料や地図を公表しています。
地震防災情報
大地震の際の各地の震度とそれに伴う高潮や火災などの被害状況、避難のしにくさなどを市町村等が予測しています。
地盤の強弱、木造建物の密集度合い、地震に対して町ごとに被害状況や避難方法は変わってきます。
自治体で情報を公表していることもありますので事前に確認しておきましょう。
地震被害想定
地震が起きたときを想定して、危険度についてまとめた資料を公表している自治体があります。
ハザードマップ
洪水、内水、高潮、津波といった水害や土砂災害、火山災害について、危険な地域や被害状況の予測などを地図上に示したハザードマップを確認しましょう。
河川周辺の水害に注意が必要です。
海辺近くであれば、高潮、津波をチェックし、傾斜地等では土砂崩れをチェックしましょう。
火山周辺であるときは火山の活動状況に注意を払うことも必要になってきますね。
ハザードマップでは、避難所なども確認できます。
防犯関連情報
主な防犯関連情報をインターネットで確認できます。
住宅関連助成等
住宅を買う、建てる、借りる、あるいは、リフォームする際に自治体から受けられる住宅関連の助成について調べておきましょう。
住宅購入支援、家賃助成、改修助成(耐震改修、バリアフリー改修など)です。
子育て支援サービス等
自治体が行っている子育て支援の主なものは2つあります。
- 子供のかかる医療費の助成
- 子供を預かるサービス
保育所が慢性的に定員いっぱいの地域もあります。事前に調べておきましょう。
各自治体の情報
購入する不動産の地域ではどんなサービスが受けられるのか、サービスを受ける用件は何か、など事前に調べることができますよ。
住宅関連、子ども関連、助成関連、などサイトでだいたいのことが解決できると思います。