メザニンローンについて
メザニンローンとは、シニアローンとエクイティファイナンスとの中間に位置するファイナンスのことです。
「融資」は、「シニア・ローン(デット・ファイナンス)」
ローリスク・ローリターン
「投資」は、「エクイティ・ファイナンス」
ハイリスク・ハイリターン
「その間(中2階)」が、「メザニンローン」
ミドルリスク・ミドルリターン
キャッシュフローを受け取る順序は、
- シニアローン
- メザニンローン
- エクイティ
となります。このことからキャッシュフローを受け取る順位別に複数の金融商品に切り分けたものともいえますね。
メザニンファイナンスの種類
- 劣後ローン・劣後社債
- 優先株・種類株
- ハイブリッド証券・ハイブリッドローン
メザニンローン(ファイナンス)のメリット
借手は事業から発生するキャッシュフローの状況によって元本返済や金利支払いの一時繰り延べが認められています。
将来のキャッシュフローが当初の計画から予想を下回った場合、元利返済の一定期間の繰り延べも認められています。
借手は有利な条件で融資を受けることが出来ます。
その分、金利は高いです。
貸手にとっては、リスクは大きいが高い金利で貸すことが出来るメリットがあります。
不動産とメザニンローン(ファイナンス)との相性
不動産ファンドなど、収益見通しの不確実性の大きい事業に利用されています。
近年ではM&Aにおいても活発に行われているようです。
リーマンショック以前は、日本でも多くの金融機関がメザニンファイナンスを検討していましたが、それほど市場には広まらなかったようです。
今でもメザニンローン(ファイナンス)のアレンジャーはリース会社、保険会社、政府系金融機関が組成する専門のファンドなどに限られています。
既存シニアローンを正常化することを目的としたメザニンローンとは?
- 投資家が高いリターンを求める場合に、LTVを高めて、レバレッジ効果を得るためにメザニンローンを導入します。
- シニアローンはLTVの低減で中長期の取り組みが可能、ローン条件も緩和できるようになります。
ミドルリスクミドルリターンという罠
ミドルリスクミドルリターンという響きは、とても堅実な投資案件のように聞こえます。(それって私だけでしょうか??)
確かに、ハイリスクよりはリスクはないでしょう。
その分リターンも少なくなるだろうけど、「ミドル」リターンであれば、それなりに「おいしい」のでは?と私は思ってしまいました。
そこがポイントでした。
あのとき、もう少し考える力があったらな、と今となっては思います。
100億の物件があったとして、70億はメガバンクで融資「シニアローン」、20億を「メザニンローン」、残り10億をファンド会社の「エクイティ」を投入。
金利はシニアローンの1%に対して、メザニンローンは3%くらい。
ミドルリスクミドルリターンとは、不動産の価値が上がり続けていれば、文字通りミドルリスクミドルリターンです。
ただ、不動産の価値が下がり始めたら、どうなるでしょうか?
100億円の物件が、70億円までに値下がりしたとしたら・・・
そうなりますと、金融機関の担保価値も下がるので金融機関から追加のエクイティを要求されます。
要求されたとしてもファンド会社としてはおいそれとお金を差し出せるような状況ではないのが現状です。
そして残される道は会社の精算・・・
そうなると金融機関は損失を顕在化させたくないため、デフォルト寸前の物件として格安でマーケットでの売却を試みるのです。
70億円くらいに値下がりした物件を60億円くらいまで下げて銀行主導で売却されるバーゲンセールです。
シニアローン(70億円)に遅れるメザニンローンの取り分はゼロです。
リーマンショック後、大きく不動産価値が下がり多くのメザニンプレイヤーが涙を流しました。
結論。
ミドルリスクミドルリターンとは、不動産価値が上がっているときに有効なもの。
考えてみれば当たり前のことですがプレイヤーとしてその場にいるとなかなか大事なことが見えてきません。
痛い目に遭わないと本当の意味で身に付かないともいえます。
金融機関では、今でもメザニンローンを扱っています。
少しでも高い金利で貸したいのです。