土地家屋調査士行政書士 村上事務所
不動産開発

3.11以降の都市・地域づくり

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3・11以降、メガ・ハザードの時代に入りました。
意識は大きく防災にシフトして行っているといえるでしょう。

ただし、その防災の意識に違和感を感じるという意見もあります。
安全至上主義的すぎる、ハザード情報に対しての過剰な反応のしすぎではないか?というものです。

確かにバランス感覚が崩れているような気もしますね。
表面的な情報は断片的なものなので、情報を受け取る側が、正しく理解する努力をしなければなりません。

都市計画と地域防災計画

都市計画と地域防災計画の連携が強調されるようになってきました。
都市計画は、未来のために。
地域防災計画は、明日のために。
と、いうような時間軸があります。

また都市計画は、ハードであり、地域防災計画はソフト中心と分類することもできます。

このあたりは時代によって、どちらに重点を置くのかが変わってくるところでしょう。

東京は、他の地方都市に比べて明らかに危険です。
緊張感をもって防災まちづくりに取り組まないといけません。

防災都市づくり推進計画

東京都では、1995年に「防災都市づくり推進計画」を策定しました。
都市防災の取り組みを木造住宅密集市街地に一層重点化する計画です。

防災都市づくりの原点は、関東大震災の経験。
そして改めて、防災都市づくりの必要性を認識させられたのが、阪神・淡路大地震でした。

計画の基本的な考え方は、
・燃えない対策
・燃え広がらない対策
・倒れない・壊れない対策
など

1延焼遮断帯の形成
 都市計画道路の整備推進や沿道建築物の不燃化促進

2緊急輸送道路の確保
 緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化促進

3安全な市街地の形成
 延焼遮断帯で囲まれた市街地の耐火性能向上

4避難場所等の確保
 大規模な市街地火災時の広域な避難場所として、緑地やオープンスペースを確保

以上の4つの分野について目標を定めています。

整備地域・重点地域の指定

整備地区の選定基準は、
・地域危険度のうち建物倒壊危険度5及び火災危険度5に相当
・老朽木造建物棟数率が、45%以上
・平均不燃領域率が60%未満

28地域、約7,000haが指定されています。

重点整備地域は、整備地域の中から指定されます。
基盤整備型事業等を重点化して展開し早期に防災性の向上を図ることで波及効果が期待できる地域を指定。
11地域、約2,400ha選定されています。

木密不燃化10年プロジェクト

今後30年間以内に70%の確率で、首都直下型地震が発生すると推定されています。

そのため東京都は、最大の弱点である木密地域の改善を加速させるために、「木密不燃化10年プロジェクト」に取り組んでいます。

10年後の目標

1 市街地の不燃化を促進

  延焼による焼失ゼロの「燃えないまち」(不燃領域率70%)を実現

2 延焼遮断帯の形成促進

  整備地域における主要な都市計画道路の100%整備

不燃化推進特定整備地区(不燃化特区)の指定要件

【区域要件】

整備地域の区域内 OR 特定整備路線の沿道概ね30mの範囲内
        +
「東京都建築安全条例に基づく防火規制」以上の規制誘導区域内

【事業要件】

整備プログラム(コア事業を計上)を区が作成

不燃化特区は、区の申請を受けて都が区域を指定しています。
現在、38地区、約1820haが指定されています。

不燃領域率

不燃領域率とは、まちの燃えにくさを表す指標です。
エリア内におけるオープンスペース(道路、公園など)や燃えにくい建物が占める割合をもとにして算出したものです。

不燃領域率が70%に達すると焼失率は、ほぼゼロになると言われています。
これは、延焼しないことを保証しているわけではありません。
大規模な火災になることを危険性が小さくなったということです。

計算方法        
不燃領域率 = 空地率 + (1 − 空地率/100) × 不燃化率
空地率 = 空地面積 / 地区面積
不燃化率 = 耐火造等建物建築面積 / 全建築面積
考え方の順番

1 空地率を算出
2 空地部分以外の領域の不燃化率を算出
3 1と2を足す

空地率を算出する時の空地の範囲の基準、不燃建物の領域率計算において耐火建築物以外の建物を加えるのかどうかなど、その考え方次第で数字は異なってきます。

国と東京都では、その考え方や計算の単位となるエリア取りの方法が異なっていることから、導き出される結果が違ってきています。

防災拠点機能ビル

防災拠点機能ビルの特徴は、広範囲の防災性向上と地域貢献の役割を担うところにあります。

・ビル街において、自ら高い防災機能を備える
・自らが中心となって複数のビルが連携して有効な情報発信に努める
・帰宅困難者への支援
・電力・熱供給
・医療機能の支援

地区事業継続計画(DCP)とは

DCPとはDistrict Continuity Plans の略です。
造語です。
業務地区等において被災者や帰宅困難者を支援するための計画のことをDCPとしました。

業務ビル街では、地区事業継続計画(DCP)を策定する必要があります。
各企業の事業継続マネジメント + 地区全体のマネジメント 
この両方のマネジメントが必要です。

大規模災害 復興まちづくり

大規模災害復興法

特区法ではなく、あらかじめ一般化しておくための法律。
東日本大震災復興特別区域法におけるような特別な措置ではありません。

東京で大規模被災が起きた場合は、この法律とは対応が異なるかもしれません。注意が必要です。

大規模災害復興法に基づく復興計画

筆界特定申請の特例
通常、この申請は対象土地の所有権登記名義人等の承諾がある場合に限ってできるものです。
しかし、大規模な災害が起きた時土地の所有者の所在が判明しない事態が多々あります。そんな時は、承諾を要せずに筆界特定申請ができることとしました。

大規模地震防災・減災対策大綱

5つの地域に分かれていた地震対策大綱は統合。
今まであった柿の大綱は廃止。

・東海地震対策大綱(H15.5)
・東南海・南海地震対策大綱(H15.12)
・首都直下型地震対策大綱(H17.9 H22.1修正)
・中部圏・近畿圏直下地震対策大綱(H21.4)
・日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策大綱

この大綱は、
南海トラフ地震
首都直下型地震
日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震
中部圏・近畿圏直下地震
の4つの地震を対象としています。

行政による「公助」だけではなく、「自助」「共助」によって取り組むべき施作についても記載しています。

東日本大震災は、これまでの想定をはるかに上回るものでした。
そこで、今後あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震、津波を検討していくこととなりました。

首都直下地震対策特別措置法

首都直下地震とは、東京圏及びその周辺の地域における地殻の境界または、その内部を震源とする大規模な地震のことです。

首都直下地震対策特別措置法に基づいて、首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定の告示がありました。

千代田区
中央区
港区
新宿区
の4区が指定されています。
この地区で、首都中枢機能維持基盤整備等計画を作成。

内閣総理大臣の認定を受けると柿の特別の措置の適用があります。
1開発許可の特例
2土地区画整理事業の認可の特例
3市街地再開発事業の認可の特例
4道路の占用の許可基準の特例
5都市再生特別措置法の適用

津波防災地域づくり

津波防災地域づくりに関する法律は、次の2つのことを目的として制定されました。

・東日本大震災で甚大な被害を受けた地域の復興にあたり将来を見据えた津波災害に強い地域づくりを推進
・将来起こりうる津波災害の防止・軽減のため

全国で活用可能な一般的な制度を創設する必要があり、平成23年12月に制定されました。

まず、都道府県が「津波浸水想定」を設定、公表します。
それから、市町村が「推進計画」を作成します。

「津波浸水想定」とは、津波があった時に想定される浸水の区域、水深のことをいいます。津波による災害の発生の恐れがある沿岸の陸域及び海域の地形、地質、土地利用の状況その他の事項に関する調査を行ってこの想定を設定します。

改正被災マンション法

『被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法』が平成25年6月に改正されました。
マンショだけでなく、区分所有建物全般を対象としています。

災害によってマンションの全部が滅失した時、以前は再建するためには区分所有者全員の同意が必要でしたが、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数決でできるようになりました。

マンションの全部が滅失した時、再建するという選択肢ではなく、売却をしてしまおうとなる場合も当然あるでしょう。その場合も敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数決でできるという定めが新設されました。

大規模一部滅失の場合

建物の価格の2分の1超に相当する部分が滅失した場合を「大規模一部滅失」といいます。

大規模一部滅失の場合に次のような新たな定めが新設されました。

取り壊し決議
区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数で建物を取り壊すことができます。

建物敷地売却決議
区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数で建物と敷地を売却することができます。

建築基準法84条制限とは

大規模地震によって、まちがまちの機能をなくしてしまい、新たにまちを作り直す必要性が出てきた場合、好き勝手に無秩序な建築行為が行われると新たなまちづくりに支障をきたす恐れが出てきます。

都市計画、土地区画整理事業のため必要があると認める時に建築物の建築を制限し、または禁止することができます。
これが、建築基準法84条制限です。

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一般建設業熊本県知事許可
(般-5)第20080号

住所
〒860-0088
熊本県熊本市北区津浦町44−5

電話番号
096−200−9695

ファックス番号
096−200−9752

創業
2004年6月

保有資格
行政書士
宅地建物取引主任士
土地家屋調査士
ビル経営管理士
不動産コンサルティングマスター
マンション管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
2級土木施工管理技士
測量士
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