道路位置指定道路
不動産において「道路」とは、非常に重要な意味を持ちます。道路に接道していなければ不動産は全く価値のないものとなってしまうからです。それは、不動産の価値は接道条件も含まれている、といえます。接道条件は、不動産を評価する上で大きなウェイトを占めているのです。
不動産の調査とは、道路(接道)の調査といっても過言ではありません。
不動産を購入する目的は、建築物を建築することであることがほとんどだと思います。そうであれば接道が建築基準法上の道路でなければなりません。
建築物の敷地が道路に接していない場合は、建築物を建てることができないので、建築物を建てるためには位置指定道路(私道)を設けなければなりません。
他に私道といえば、開発行為の際に新設する「開発道路」がありますが、位置指定道路は、開発にならない場合の新設道路と考えてよいでしょう。
道路の位置指定を受けるためには、土地の所有者などの承諾書、測量図など準備する必要があり、かつ、各行政庁による技術基準を満たさなければなりません。
熊本市道路位置指定取扱い基準(抜粋)
第1条(目的)
この取扱い基準は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という)第42条第1項第5号の規定に基づく道路の位置の指定及び法第45条の規定に基づく私道の変更又は廃止に係る事務取扱い等について、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)、建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号)及び熊本市建築基準法施行細則(昭和46年熊本市規則第31号)に定めるもののほか必要な事項を定め、もって道路位置指定行政の円滑な運営を図ることを目的とする。
第3条
位置指定予定道路の配置については、周囲の土地利用の状況及び今後の計画的な市街地形成を考慮し、計画すること。
2 関係宅地を区画し、戸建て住宅等の敷地として利用しようとする場合は、一区画面積が150㎡以上を目標とし、良好な住環境を確保するため、建築基準法第1条及び第19条を遵守するように努めること。
第14条(位置指定予定道路の幅員)位置指定予定道路の有効幅員は4m以上確保しなければならない。
第16条(位置指定予定道路のこう配)位置指定予定道路の縦断こう配は、12%以下であり、かつ階段状でないこと。
第17条(排水施設)道路側溝は原則として位置指定予定道路の両側に設けること。
第21条(位置指定道路の固定資産税の取扱い)位置指定道路が一般人の通行を自由に認めるもので、公共の利益増進に役立つものは、申請によりその道路部分の土地に係る固定資産税が減免される。(市資産税課)
道路位置指定申請の添付書類
道路位置指定申請書
- 申請者は、原則として指定(変更・廃止)に係る土地の所有者の中の1人とすること
- 申請者が法人の場合は、法人の名称及び代表者氏名を記入し、法人の代表員を押印すること
- 道路敷も含めて指定を受ける場合は2段書とし、幅員が異なるごとに記入すること
付近見取図(1/2500程度のもの)
- 申請部分が明確にわかるように道路、建物、目標となる物件及び方位等を記入すること
実測平面図(1/250程度のもの)
- 下記事項について明記すること
- 方位・延長・幅員及びすみ切り並びに転回広場の寸法
- 接続道路の種類及び寸法
- 排水施設の位置及び寸法(放流先までの経路を含む)
- 関係宅地の区画割、区画面積、土地の高低、その他擁壁の位置等、地形上特筆すべき事項
- 水路及び里道等を含む場合は、その位置及び寸法
- 凡例により色分けを行うこと。
- 変更及び廃止の場合は、それ以前の土地利用計画平面図を添付すること
求積図(1/250程度のもの)
- 位置指定予定道路部分の土地の面積を、字図単位(筆)ごとに求めること。また、登記簿上の面積と実測値が相違する場合(1割以上)は、地積更正等を行なうこと。
縦横断面図(1/250程度のもの)※廃止の場合は除く
- 位置指定予定道路及び関係宅地部分について作成し、がけ及び擁壁等がある場合は、その位置及び寸法を明記すること。
構造図(1/50程度のもの)※廃止の場合は除く
- 位置指定予定道路部分及び排水施設部分について作成し、その他必要と思われる分についても作成すること。
字図
- 位置指定予定道路部分は、ほかの土地と分筆すること
- 所轄の法務局に備付けの最新の地図(字図)から関係宅地の周囲までを転写し、転写法務局名、転写年月日、転写者氏名を記入し、押印すること
- 位置指定予定道路部分を朱線で囲むこと
- 法42条第2項の規定による道路後退部分も分筆すること
- 位置指定予定道路部分に接する敷地の所有者名、住所を記入のこと
土地登記事項証明書
- 分筆後の位置指定予定道路の土地の登記事項証明書の最新のものであること
- 既存の位置指定道路に接続する場合は既存部分の土地の登記事項証明書も添付すること
- 変更及び廃止の場合は、道路でなくなる部分及びそれに接する土地の登記事項証明書も添付すること
承諾書
- 位置指定予定道路部分の土地所有者のほか、その土地又はその土地にある建築物若しくは工作物に関して権利を有するものを含む
- 私道に接続する場合は、私道の所有者等の承諾書を添付すること
- 変更及び廃止の場合は、道路でなくなる部及び接道義務等に関する規定に抵触するに至る沿線敷地に係る権利者のほか、その土地又はその土地にある建築物若しくは工作物に関して権利を有するものを含む。
印鑑証明書
- 申請受付の日前3ヶ月以内に交付を受けたもの
現場写真
- 現場完了後、起終点(縁石を含む)、転回広場及び側溝、桝等の構造がわかるように撮影すること。(すみ切り、幅員などはスタッフ等をあてて撮影する)
- 写真撮影方向及び番号を明示した位置図を添付すること
位置指定予定道路が公道に接道し、又は水路、里道などを含む場合の許可書等
- 境界確認、使用又は占用許可、工事施行承認、工作物などの設置許可等、公共施設の管理者と必要な手続きを協議すること
放流先排水路等の管理者の同意書
- 管理者と必要な手続きを協議した書面の写しを提出すること。
土地利用に関するその他の法令等についての許可書
- その他法令(都市計画法・宅地造成等規制法・文化財保護法など)等による許可が必要な場合は許可書などを添付すること。写しでも可。
位置指定道路申請 フローチャート
事前協議
位置指定予定道路事前協議書
- 付近見取図(S=1:2500程度、住宅地図不可)
- 現況平面図(現況高の明記、周辺宅地状況含む)
- 計画平面図(計画高の明記)
- 求積図(座標一覧表を含む)
- 縦横断面図(現況線及び計画線記入)
- 構造図(使用部材の明記。構造計算が必要なものは計算書を添付)
- 字図、申請地の土地登記事項証明書、隣接地の土地登記事項要約書
- 現況写真(撮影方向図対応)
- 指定後の検討書(隣接説明書、既存建物の斜線検討図等)
- 関係機関との協議(文化財、開発関係及び道路、河川等の各種関係者)
担当部局との事前協議及び立会等
関係機関と事前に協議を行い、位置指定予定道路事前協議書(建築指導課備付用紙)に協議成立年月日を記載し、協議先の了承を得ること
担当者による現地調査(必要により立会を要する場合があります)
事前協議済証交付
(建築指導課内部審査→決済→事前協議済証交付→現場着工の指示→担当者の指示)
着工
- 工事着工にあたっては、隣地はもちろんのこと、近隣への内容説明を十分に行い、トラブル等の防止に努めること
- 工事着工にあたっては、隣地との境界確認を行い、施工を行うこと
- 工事着工に際して、現場条件等で事前協議の内容に変更が生じた場合は、速やかにu担当者への報告を行うとともに再協議を行い了承を得ること
工事完了
道路位置指定申請(本申請)
道路位置指定申請(本申請)に際しては、熊本市道路位置指定取扱基準(第6条及び第8条)に係る別表第1の添付書類一覧に基づき申請を行うこと。
完了検査
工事完了検査の実施 → 手直しがある場合は再検査