熊本市_開発許可申請ノート
都市の成長と発展に伴い、都市計画の重要性が増してきました。
都市計画は、都市の持続可能な発展を目指すための方針や計画を示すもので、その中でも「開発許可制度」は特に重要な位置を占めています。
この制度は、都市の無秩序な拡大や不良な市街地の形成を防ぐためのもので、都市計画法に基づいて制定されました。
- 開発許可制度の概要
- 開発行為の定義
- 土地の区画形質変更に関する詳細なガイドライン
- 開発領域の詳細な定義
- 都市計画法における「一体開発」の概念
- その他の用語の詳細な定義とその背景
- 開発行為に関する許可制度の詳細とその意義
- 熊本市における都市計画区域の詳細とその特徴
- 市街化区域における開発許可の詳細とその要件
- 市街化調整区域における開発と建築の許可制度の詳細
- 開発区域が市街化区域と市街化調整区域の両方にまたがる場合
- 都市計画区域外での開発許可の詳細
- 市街化調整区域における建築形態の制約と緩和措置
- 公共施設の帰属手続きとその重要性
- 開発許可の例外:許可を必要としない開発行為について
- 建築許可の例外:許可を必要としない建築行為について
- 公共公益施設における開発許可の要件
- 国・県・市等による開発行為の協議要件
開発許可制度の概要
開発許可制度とは、都市の周辺部での無秩序な市街地の拡散を防ぐための制度です。
具体的には、基本的な公共施設(例: 道路や排水施設)が整備されていない場所での都市の拡大を制限することを目的としています。
この制度は、昭和43年に制定された「都市計画法」に基づいて誕生しました。
都市計画は、市民の良好な生活環境を守るためのものです。
そのため、公共施設の整備や環境の保全は非常に重要です。
開発行為を進める際には、近隣住民との協力を得ることが求められます。
これにより、都市の公共施設や環境が適切に整備され、市民の生活の質が向上します。
この制度の実効性を保証するために、都市計画法では「市街化区域」と「市街化調整区域」の区分、さらには地域や地区、都市施設の決定などが定められています。
これにより、都市基盤が整備された良好な市街地の形成を促進し、健康で文化的な都市生活や経済活動を確保することを目的としています。
また、市街化調整区域では、土地利用の目的に応じて、開発行為や建築行為に対して市長の許可が必要とされています。
これにより、無秩序な市街化を防ぐことができます。
この開発許可制度に関する基本的な考え方や手続きについては、
専門の解説書「最新 開発許可制度の解説 第四次改訂版」に詳しく記載されています。
都市計画法の改正
近年、自然災害の頻発や激甚化が問題となっています。
これに対応するため、令和4年4月1日に都市計画法が改正されました。
この改正により、災害リスクの高いエリアでの開発行為や建築行為に対する制限が強化されました。
具体的な改正点は以下の通りです。
- 災害レッドゾーン内での開発行為は原則禁止とされ、自己の業務施設も規制対象となりました。
- 災害レッドゾーンからの移転に関する立地基準が追加されました。
- 災害リスクの高いエリアは、新規開発等を規制する区域から原則除外されました。
災害リスクの高いエリアは、以下のように分類されています。
エリア | 詳細 |
---|---|
災害レッドゾーン | 災害危険区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域、浸水被害防止区域など。 |
災害イエローゾーン | 土砂災害警戒区域や、浸水想定区域のうち、想定最大規模降雨に基づく想定浸水深が3.0m以上の区域など。 |
これらの区域での開発や建築には、特別な注意が必要となります。都市計画法の改正は、市民の安全を守るための重要なステップと言えるでしょう。
開発行為の定義
都市計画法における「開発行為」は、都市の持続可能な発展を目指す上での重要な要素となっています。
この「開発行為」には、具体的な定義や範囲が設けられており、それに従って都市の開発が進められます。
開発行為の詳細な定義
01.開発行為の基本的な定義
「開発行為」とは、土地の区画や形質を変更する行為を指します。
具体的には、建築物を建てるためや、特定の工作物を建設するための土地の変更を指します。
この定義は、都市計画法の第4条第12項に明記されています。
しかし、この定義だけでは、実際の都市開発の現場での状況を十分に捉えることができません。
なぜなら、都市開発は単に建物の大きさや形だけでなく、その建物が果たす役割や機能によっても大きく影響を受けるからです。
02.「主として」の範囲について
都市計画法における「開発行為」の定義には「主として」という言葉が使われています。
この「主として」とは、単に建築物の面積や容積だけでなく、その建築物が果たす機能や役割を重視するという意味を持っています。
例えば、打ち放しゴルフ練習場のような場所では、建築物自体の面積は小さいかもしれませんが、その場所の主要な機能や役割を果たしている場合があります。このような場合、その建築物は「開発行為」としての規制の対象となります。
このように、都市計画法における「開発行為」の定義は、単に物理的な大きさや形だけでなく、都市の機能や役割を重視したものとなっています。
これにより、都市の持続可能な発展を実現するための適切な開発が進められるようになっています。
都市の発展や成長は、これらの法律や制度を基に進められます。
都市計画法や開発行為の定義を理解することで、都市の未来をより良くするための方向性やビジョンを共有することができるでしょう。
建築物と特定工作物の詳細な定義
01.建築物の定義
「建築物」とは、建築基準法第2条第1号に基づき、土地に定着する工作物の中で、屋根や柱、壁を持つものを指します。
この定義には、屋根や柱、壁に類似する構造を持つものも含まれます。
さらに、門や塀、観覧施設、地下や高架の施設内に設けられる事務所、店舗、興行場、倉庫などの施設も「建築物」として扱われます。
また、これらの建築物に関連する建築設備も含まれます。
具体的には、建築基準法第2条第1号には以下のように記載されています。
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。
02.特定工作物の定義
「特定工作物」とは、その性質や規模により、周辺の環境に悪影響を及ぼす可能性がある工作物を指します。
具体的には、都市計画法第4条第11項に基づき、以下の2つのカテゴリに分けられます:
第1種特定工作物
これは、環境の悪化をもたらす可能性がある工作物を指します。具体的には、コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵や処理施設などが該当します。
第2種特定工作物
これは、大規模な工作物を指します。具体的には、ゴルフコースや、開発区域が1ha以上のスポーツ・レジャー施設、同じく1ha以上の墓地などが該当します。
土地の区画形質変更に関する詳細なガイドライン
都市計画における土地の開発行為は、その内容や目的に応じて、さまざまな形態をとります。
特に、土地の区画形質の変更は、都市の景観や機能、住民の生活環境に大きな影響を与えるため、その内容や方法には細心の注意が必要です。以下では、土地の区画形質の変更に関する主な分類と、それぞれの特徴や意義について詳しく解説します。
01.土地の「区画」の変更
土地の「区画」の変更とは、具体的には、道路や公共施設の新設や改廃を伴うような土地の再編成を指します。
例えば、新しい住宅地を開発する際や、都市の再開発を行う際に、既存の土地の区画を変更して、新しい道路や公園、その他の公共施設を設けることが考えられます。
具体的には以下のような変更が含まれます
- 土地の「区画」の変更(道路等によって土地の区画を変更するときで、公共施設の新設、改廃を行う場合)
- 土地の「形」の変更(切土、盛土によって造成する場合)
- 土地の「質」の変更(農地等に建築物を建築する場合等)
- 上記の各変更の組合わせ
このような区画の変更は、都市の持続的な発展や住民の生活環境の向上を目的として行われるもので、都市計画の中でも特に重要な位置を占めます。
公共施設の定義
公共施設とは、都市の機能や住民の生活を支えるための施設を指し、具体的には、道路、公園、下水道、緑地、広場、河川、水路、そして消防のための貯水施設などが含まれます。
これらの施設は、都市の安全や快適さ、そして都市の魅力を高めるためのものであり、都市計画においては、これらの施設の整備や管理が重要な課題となっています。
法的背景
土地の「区画」の変更に関する具体的な基準や要件は、都市計画法の第4条第14項や都市計画法施行令(以下「令」という)の第1条の2に明確に定められています。
これらの法的な基準に基づき、都市の開発や再開発が行われる際には、適切な手続きや審査が行われることとなっています。
02.土地の「形」に関する変更の詳細
土地の開発や利用に際して、土地の「形」を変更することは、都市計画や建築計画の中で頻繁に行われる作業の一つです。
しかし、この「形」の変更は、単に土地の外観を変えるだけでなく、土地の利用価値や安全性、環境への影響など、さまざまな要因に関連しています。
土地の「形」の変更の定義
土地の「形」の変更とは、土地の地形や高低差を変えるための作業、特に切土や盛土を行うことを指します。
これは、新しい建築物や特定の工作物を建設するための土地整備や、土地の利用価値を向上させるための作業として行われます。
具体的には、以下のような変更が考えられます。
- 切土を伴い、高さが2m(H1)を超える崖を作成する場合。
- 盛土を伴い、高さが1m(H2)を超える崖を作成する場合。
- 切土と盛土の両方を伴い、高さが2m(H3)を超える崖を作成する場合。
- 上記①~③に該当しない切土や盛土(H4)で、変更する土地の面積が500㎡を超える場合。
判断基準と例外
土地の「形」の変更に関する判断は、宅地造成等規制法やその施行令に基づいて行われます。
しかし、すべての土地の変更がこの法律の対象となるわけではありません。
以下のような例外や特例が考えられます
- 地平線の変動が30cm未満の場合、形の変更とはみなされません。
- 建築物の基礎工事に伴う土地の掘削や埋め戻しは、形の変更とはみなされません。
- 既存の石積みの修復や改良など、造成計画の高さが変わらない場合、少量の土の移動があっても形の変更とはみなされません。
- 既存の法面を保護するための擁壁の設置は、形の変更とはみなされません。
03.土地の「質」に関する変更の詳細
土地の開発や利用において、土地の「質」を変更することは、土地の有効活用や都市の発展を目的として行われる重要な作業の一つです。
しかし、この「質」の変更は、単に土地の用途を変えるだけでなく、土地の利用価値や安全性、環境への影響など、さまざまな要因に関連しています。
以下では、土地の「質」の変更に関する主な内容と、それに関連する法的な基準や判断基準について詳しく解説します。
土地の「質」の変更の定義
土地の「質」の変更とは、宅地以外の土地、例えば農地など、に建築物や特定の工作物を建設するための作業を指します。この変更は、土地の利用価値を向上させるためや、新しい建築物や施設の建設を可能にするために行われます。
土地の「質」の変更の基準
土地の質の変更に関する基準は、以下のように定められています:
宅地以外の土地で、主に建築物の建築や特定工作物の建設を目的とした土地利用を行う場合、造成行為や区画変更の有無に関わらず、規制の対象となります。
「宅地」とは何か?
「宅地」とは、以下の条件を満たす土地を指します。
- 現在、建築物の敷地として利用されている土地。
- 市街化区域内で、地目が「宅地」として登録されている土地。
- 市街化区域の土地で、固定資産課税台帳の現況地目が「宅地」として登録されている土地。
- 過去に建築物の敷地として利用され、現在もその状態が維持されている土地。
- 開発許可が終了した土地。
- 開発許可の完了後の土地。
- 旧住宅地造成事業が終了した土地。
- 特定の位置指定を受けて区画された土地。
ただし、建築確認のみを受けた土地や、特定の用途の土地(例:境内地、鉄道用地、水道用地)は、一般的には「宅地」とはみなされませんが、特定の条件下で「宅地」として扱われることもあります。
具体的な判断基準や詳細については、開発指導課にお問い合わせすることが推奨されます。
都市計画法において、土地の開発や利用に関する基準や要件を理解するためには、「開発地域」の定義を正確に把握することが大切です。開発地域は、土地の開発や利用に関連するさまざまなな部分を含む概念であり、特定的な範囲や内容については法令に詳細に定められています。以下で、開発領域の詳細な定義とその内容を解説します。
開発領域の詳細な定義
「開発区域」とは、土地の開発や利用に関連する特定の部分を指す概念であり、以下の部分が連続の区域として該当します。
用語 | 説明 |
---|---|
開発行為を行う土地の区域 | 都市計画法第4条第13項に定められており、具体的には土地の開発行為が行われる予定の範囲を歩きます。 |
建築物の敷地または特定工作物の敷地 | 建築基準法施行令第1条第1号に規定されている敷地を通行、建築物や特定工作物が建設される予定の土地を示します。 |
後退する部分 | 建築基準法第42条第2項に基づき、建築物の建設にあたっては後退しなければならない部分を迂回します。 |
拡幅整備される道路 | 道路の拡幅や改良を行う予定の部分を迂回し、計画によっては既存の道路部分も含まれる場合があります。 |
新たに建設する道路 | 新しく建設される予定の道路の範囲を示します。 |
排水等の施設の設置に必要な部分 | 排水施設やその他の関連施設を設置するために必要な土地の範囲を選びます。計画の内容によっては、既存の道路内に施設を設置する部分も含まれることがあります。 |
道路・水路等の付け替え、廃止、支払い引き下げを受ける部分 | 土地の利用計画に関連して、道路や水路のルートが変更されたり、廃止されたりする部分、または土地の支払い引き下げを受ける部分を了承します。 |
都市計画法における「一体開発」の概念
都市計画法における「一体開発」の概念は、土地の開発や利用に関する計画や実施の際に、複数の土地やプロジェクトが連続性や一体性を持つ場合の取り扱いを示すものです。
この概念は、都市の持続可能な発展や住民の生活環境の向上を目指す上で、土地の有効活用や整合性の確保を図るための重要な指針となります。
一体開発の詳細な取り扱い
基本的な考え方
一体開発とは、物理的に連続する、または時系列的に連続する複数の開発行為を、一つのまとまった開発行為として取り扱う考え方です。
例えば、隣接する土地での開発や、時間的に短期間での連続した開発などがこれに該当します。
この一体性の判断は、各開発計画の内容や関連性、実施時期などの要素を総合的に考慮して行われます。
具体的には、開発の目的や利用形態、土地の位置関係、施行時期などが主な判断基準となります。
取り扱い方針
一体開発の判断に際しては、以下の要素を総合的に考慮し、開発行為の一体性を判断します。
検討項目 | 説明 |
---|---|
開発関係者の一致 | 開発を行う主体や土地の所有者、工事の施行者、設計者などが同一であるかどうかを確認します。特に、隣接する土地の所有権が近年内に移転している場合、以前の所有者との関連性も考慮されます。 |
土地利用形態の一致 | 土地の利用目的や形態が互いに関連性を持ち、特に排水施設や通路、駐車場などの利用状況が密接に関連しているかどうかを評価します。 |
土地の位置関係 | 複数の土地やプロジェクトが物理的に隣接しているか、公共施設などで分断されていないかを確認します。 |
施行時期の近接性 | 複数の開発行為が同時期、または短期間(例えば2年以内)に行われる場合、これらの開発は一体性を持つと判断されます。 |
その他の用語の詳細な定義とその背景
都市計画や土地利用に関する議論や文書には、多くの専門用語や法的な定義が含まれています。
これらの用語は、具体的な法律や規則に基づいて定義され、その背景や目的に応じて適切に解釈される必要があります。
以下では、主要な法律に基づく用語の定義とその背景について詳しく解説します。
都市計画法
都市計画法は、都市の計画的な発展と整備を目的とした法律です。この法律に基づく用語は、都市の形成や発展に関する基本的な方針や計画を示すものであり、都市の持続可能な発展や住民の生活環境の向上を目指す上での基盤となります。
建築基準法
建築基準法は、建築物の安全性や機能性を確保するための基準や規則を定めた法律です。この法律に基づく用語は、建築物の設計や施工に関する基準や要件を示すものであり、建築物の安全性や利便性の確保を目的としています。
宅地造成等規制法
宅地造成等規制法は、宅地の造成や開発に関する基準や規則を定めた法律です。この法律に基づく用語は、宅地の開発や利用に関する基本的な方針や計画を示すものであり、宅地の有効活用や整合性の確保を目的としています。
道路法
道路法は、道路の整備や管理に関する基準や規則を定めた法律です。この法律に基づく用語は、道路の設計や施工、管理に関する基準や要件を示すものであり、道路の安全性や利便性の確保を目的としています。
下水道法
下水道法は、下水道の整備や管理に関する基準や規則を定めた法律です。この法律に基づく用語は、下水道の設計や施工、管理に関する基準や要件を示すものであり、下水道の適切な機能性や環境への影響を考慮しています。
消防法
消防法は、火災の予防や消火活動に関する基準や規則を定めた法律です。この法律に基づく用語は、火災の予防や対応に関する基本的な方針や計画を示すものであり、市民の安全を確保するための基盤となります。
開発行為に関する許可制度の詳細とその意義
開発行為は、都市の形成や発展に大きな影響を与えるため、適切な手続きや基準に基づいて行われる必要があります。
このため、都市計画法や関連する法律には、開発行為に関する許可制度が設けられています。
許可制度の基本的な考え方
都市や地域の持続可能な発展を実現するためには、開発行為が計画的かつ適切に行われることが不可欠です。
このため、都市計画法では、開発行為を行おうとする場合には、事前に市長の許可を受けることが求められています(法第29条第1項・第2項)。
この許可制度は、都市の計画的な発展と住民の生活環境の保護を目的としています。
建築制限に関する規定
開発許可を受けた後も、工事が完了し公告が行われるまでの間、該当する開発区域内の土地には、原則として新たな建築物を建てることが禁止されています(法第37条)。
これは、開発行為が完了するまでの間、建築物の建設による不都合や問題を防ぐための措置です。
公共機関による開発行為の特例
国や県、中核市などの公共機関が開発行為を行う場合、通常の許可手続きとは異なる特例が適用されます。
具体的には、これらの公共機関が行う開発行為については、市長との協議が成立することで、開発許可があったものとして扱われます(法第34条の2)。
この特例は、公共機関が行う開発行為が、公共の利益を目的としていることを考慮したものです。
熊本市における都市計画区域の詳細とその特徴
都市計画は、都市の持続的な発展と住民の生活環境の向上を目的として、各地域の特性や将来の発展方向に応じて、都市計画区域を設定します。
熊本市における都市計画区域の具体的な区分や特徴について、以下に詳しく解説します。
熊本市の都市計画区域の基本的な区分
熊本市には、都市計画が定められている「線引都市計画区域」と、都市計画が定められていない「都市計画区域外」の2つの主要な区域が存在します。
特に「準都市計画区域」という区分は、熊本市域には存在しない点が特徴的です。
線引都市計画区域(熊本都市計画区域)
これは、熊本市の主要な部分を占める区域であり、都市計画が詳細に定められています。具体的には、河内町や城南町の一部を除く熊本市の大部分がこの区域に該当します。
都市計画区域外
熊本市の一部である河内町や城南町の一部がこの区域に含まれます。
この区域は、都市計画が定められていないため、都市の発展や土地利用の方針が線引都市計画区域とは異なる場合があります。
熊本都市計画区域の歴史的背景
熊本都市計画区域は、昭和46年5月18日に初めて告示されました。
その後、改寄町、小糸山町、明徳町の各一部や植木町、富合町、城南町の一部が平成24年4月1日に追加される形で、都市計画区域が拡大されました。
市街化区域における開発許可の詳細とその要件
都市計画において、特定の地域での開発行為を行う際には、その地域の特性や都市計画の方針に基づいて、一定の許可が必要とされます。
市街化区域という特定の地域における開発許可の要件やその背景について、以下に詳しく解説します。
市街化区域とは
市街化区域とは、都市の中心部やその周辺に位置する地域を指し、都市の発展や住民の生活環境の向上を目的として、都市計画が詳細に定められている区域です。この地域では、都市の持続的な発展を支えるための公共施設の整備や土地利用の方針が特に重視されます。
開発許可の要件
市街化区域において、開発区域の面積が1,000㎡以上となるような大規模な開発行為を行う場合、市長の許可を受ける必要があります。
この許可制度は、都市の計画的な発展を保障し、都市の機能や住民の生活環境を維持・向上させるためのものです。
具体的には、開発計画が以下の要件を満たしているかどうかが審査の対象となります。
項目 | 説明 |
---|---|
公共施設の整備 | 開発計画が、道路、下水道、公園などの公共施設の整備を適切に考慮しているか。 |
宅地の安全性 | 開発される宅地が、自然災害などのリスクから適切に保護されているか。 |
工事施行能力 | 開発を行う事業者が、計画通りの工事を適切に施行できる能力を有しているか。 |
これらの要件は、法第33条の基準に基づいて詳細に定められてます。
市街化調整区域における開発と建築の許可制度の詳細
都市計画における市街化調整区域は、都市の発展と環境の保全を両立させるための重要なエリアです。
この区域では、開発や建築を行う際には、特定の基準や条件を満たす必要があります。
市街化調整区域における基本的な制約
市街化調整区域では、開発や建築を行うためには、開発許可や建築許可を受ける必要があります。これは、この区域の特性や目的を考慮し、適切な都市計画を実現するための制約となっています。
開発許可の詳細
市街化調整区域での開発行為を行う場合、技術的な基準(法第33条)だけでなく、立地に関する基準(法第34条)も満たす必要があります。これは、都市の持続的な発展と環境の保全を両立させるための重要な条件です。
建築許可の詳細
開発許可を受けた区域内で、予定されている建築物以外の新しい建築や特定の工作物を建設する場合、市長の許可が必要です。
また、既存の建築物を改築したり、用途を変更する場合も、同様の許可が必要となります。
国が関与する場合、国の機関と市長との協議が成立することで、この許可が認められることとなっています。
開発許可を受けていない区域での建築や、特定の工作物の新設についても、市長の許可が必要です。
国や県、中核市などの公的機関が関与する場合も、市長との協議を経て許可が認められます。
開発区域が市街化区域と市街化調整区域の両方にまたがる場合
基本的な許可条件
開発区域が市街化区域と市街化調整区域にまたがる場合、その開発行為は法第29条第1項に基づき、市長の許可を必要とします。
この際、予定されている建築物や特定の工作物の用途は、法第34条の立地基準を満たす必要があります。
複数の区画にまたがる開発区域の取り扱い
開発区域が複数の区画にまたがる場合、以下のような取り扱いとなります。
場合 | 説明 |
---|---|
市街化区域に位置する予定建築物の場合 | この場合、該当する用途地域の制限を遵守する必要があります。これは、市街化区域内での開発が都市の計画に適合するようにするための基準です。 |
市街化調整区域に位置する予定建築物、または市街化区域と市街化調整区域の両方にまたがる場合 | この場合、法第34条の立地基準を満たす必要があります。 |
以上のように、市街化区域と市街化調整区域が交差する場合の開発は、特定の基準や条件を満たす必要があります。
都市計画区域外での開発許可の詳細
都市計画の範囲外、すなわち都市計画区域外での開発も、一定の条件下で規制されています。
これは、都市の持続的な発展と環境の保全を目的として、無秩序な開発を防ぐための措置です。
都市計画区域外での開発の基準
都市計画区域外での開発行為は、その規模によって市長の許可が必要となる場合があります。
具体的には、開発区域が1ヘクタール(10,000平方メートル)以上の場合、その開発行為を行う前に市長の許可を取得する必要があります。
これは、法第29条第2項および令第22条の2に基づく規定です。
この規定の背景には、大規模な開発が都市計画区域外で行われる場合、その影響が周辺地域や都市全体に及ぶ可能性があるためです。
例えば、大規模な商業施設や住宅地が新たに開発される場合、交通量の増加や環境への影響など、さまざまな問題が生じる可能性があります。
そのため、都市計画区域外での大規模な開発には、都市の全体的な計画やビジョンに合致しているかを確認するための許可プロセスが設けられています。
都市計画は、都市の健全な発展と住民の生活の質を保護・向上するための重要なツールです。
都市計画区域外での開発に関するこのような規定も、都市の将来を見据えた計画的な開発を促進するためのものです。
市街化調整区域における建築形態の制約と緩和措置
都市計画における市街化調整区域は、都市の発展と環境の保全を両立させるための特別な区域です。
この区域内での建築活動は、都市の景観や環境への影響を考慮して、一定の制約が設けられています。
建築形態の基本制約
市街化調整区域において建築物を建てる際、以下の基本的な制約が設けられています。
建ぺい率
この区域では、土地面積に対する建築物の建築面積の比率、すなわち建ぺい率は最大40%までと定められています。
容積率
土地面積に対する建築物の全体の容積の比率、すなわち容積率は最大80%までとされています。
外壁後退
建築物の外壁は、道路から最低1m後退させる必要があります。
建築物の高さ
建築物の高さは、最大10mまでと制限されています。
これらの制約は、法第41条および第79条に基づいて設けられており、これを超えての建築は原則として許可されません。
緩和措置の適用
一方で、特定の条件下では、上記の基本制約を緩和することが認められています。
建ぺい率の緩和
角地に該当する場合、建築基準法第53条第3項第2号に基づき、許容される建ぺい率に10%を加えることが可能です。
これにより、角地の特性を活かした建築が可能となります。
外壁後退の緩和
建築基準法施行令第135条の22各号に該当する場合、外壁後退の制約が緩和されることがあります。
これらの緩和措置は、都市の発展と環境の保全のバランスを取りながら、柔軟な都市計画を実現するためのものです。
公共施設の帰属手続きとその重要性
都市計画において、公共施設の整備は都市の機能や住民の生活の質を向上させるための重要な要素です。
これらの施設は、公共の利益を追求するために設置され、その管理や運営は公的な機関が担当することが一般的です。
しかし、施設の帰属や管理に関する手続きは、都市計画法や関連する法律に基づいて厳格に定められています。
公共施設の帰属とその手続き
都市計画法第32条に基づく協議の結果、特定の公共施設が市や自治体に帰属することが決定された場合、以下の手続きが必要となります。
帰属申請書の提出
公共施設の帰属を希望する場合、関連する公共施設の管理者に対して帰属申請書を提出する必要があります。この申請書には、帰属する施設の詳細や帰属の理由などが記載されます。
受付印の取得
帰属申請書が公共施設の管理者に受理されると、受付印が押印されます。この受付印は、帰属手続きが正式に開始されたことを示すものとなります。
分筆及び抵当権抹消登記の完了
公共施設部分について、土地の所有権や利用権を明確にするための分筆登記や、既存の抵当権を抹消するための抵当権抹消登記を行う必要があります。
関連資料の提出
工事完了届出書を提出する際には、上記の手続きが完了したことを示す資料(公図、土地の全部事項証明書など)を添付する必要があります。
これらの手続きは、公共施設の適切な管理や運営を確保するためのものです。
開発許可の例外:許可を必要としない開発行為について
都市計画法は、都市の発展と持続可能性を確保するための枠組みを提供しています。
この法律に基づき、特定の開発行為を行う際には市長の許可が必要とされています(都市計画法第29条第1項及び第2項)。
しかし、すべての開発行為が許可を必要とするわけではありません。
都市計画区域内での開発行為
都市計画区域内での開発行為において、以下のケースでは市長の許可を受ける必要がありません。
開発の種類 | 説明 |
---|---|
市街化区域の小規模開発 | 1,000㎡未満の開発行為(法第29条第1項第1号、令第19条第1項)。 |
農林漁業関連の開発 | 市街化調整区域で、農林漁業のための特定の建築物や従事者の住宅の建設(法第29条第1項第2号、令第20条)。 |
公益上必要な建築物 | 公益を目的とした特定の建築物の建設で、地域の適切な土地利用や環境保全に支障がないもの(法第29条第1項第3号、令第21条)。 |
都市計画事業による開発 | 都市計画事業の一環としての開発行為(法第29条第1項第4号)。 |
特定の事業による開発 | 土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業などの特定の事業に関連する開発行為(法第29条第1項第5号~第8号)。 |
公有水面埋立法に基づく開発 | 公有水面の埋立てに関する開発行為(法第29条第1項第9号)。 |
非常災害時の応急措置 | 緊急事態における必要な応急措置としての開発行為(法第29条第1項第10号)。 |
通常の管理や軽易な行為 | 日常的な管理行為や軽微な行為、その他の政令で定められた行為(法第29条第1項第11号、令第22条)。 |
都市計画区域外での開発行為
都市計画区域外での開発行為においても、以下のケースでは市長の許可を受ける必要がありません。
開発の種類 | 説明 |
---|---|
小規模開発 | 1ha未満の開発行為(法第29条第2項、令第22条の2)。 |
農林漁業関連の開発 | 農林漁業のための特定の建築物や従事者の住宅の建設(法第29条第2項第1号、令第20条)。 |
都市計画区域内での特定の開発行為 | 都市計画区域内での特定の開発行為(法第29条第2項第2号、令第21条・第22条)。 |
これらの例外的な開発行為は、都市計画の目的や方針に沿ったものであり、適切な都市開発を促進するための措置として設けられています。
建築許可の例外:許可を必要としない建築行為について
都市計画法は、都市の持続可能な発展を目指して、特定の建築行為に対して市長の許可を求める規定を設けています。
しかし、全ての建築行為が許可を必要とするわけではありません。
農林漁業関連の建築行為
農林漁業の用途に供される特定の建築物や、その従事者の住宅の建築は、都市計画法の下で特別な取り扱いを受けています。これは、農林漁業が地域の経済や生活において重要な役割を果たしているためです(法第43条第1項、令第20条)。
公益上必要な建築行為
公益を目的とした建築物の建設、特にその建築が地域の合理的な土地利用や環境保全に寄与する場合、特別な許可は不要とされています(法第43条第1項)。
都市計画事業の一環としての建築行為
都市計画事業の一部として行われる建築行為も、許可の対象外となっています。これは、都市計画事業が都市の計画的な発展を目的としているため、その一環としての建築行為は許可を必要としないとされています(法第43条第1項第1号)。
非常災害時の応急建築行為
災害などの非常事態において、緊急を要する建築行為は、迅速な対応が求められるため、特別な許可は不要とされています(法第43条第1項第2号)。
仮設建築物の新築
一時的な用途のための仮設建築物の建築についても、許可の必要はありません(法第43条第1項第3号)。
特定の開発行為内での建築行為
都市計画法第29条第1項第4号から第9号までに規定されている特定の開発行為の範囲内で行われる建築行為や、旧住宅地造成事業に関する法律に基づく認可を受けた事業範囲内での建築行為は、許可の対象外となっています(法第43条第1項第4号、令第34条)。
通常の管理行為や軽易な行為
日常的な管理や維持のための建築行為、軽微な修繕や改修などの行為、およびその他の政令で特定された行為は、許可を受ける必要がありません(法第43条第1項第5号、令第35条)。
これらの例外的な建築行為は、都市の持続可能な発展や公益の確保を目的として設けられています。
公共公益施設における開発許可の要件
都市計画法に基づく開発許可の対象となる施設には、公共の利益を目的としたものが含まれます。
これらの施設は、一般の建築物とは異なる特別な取り扱いを受けることが多く、その中でも特に重要な役割を果たすものについては、開発許可の対象として明確に指定されています。
公共公益施設は多岐にわたる分野でのサービスを提供しており、それぞれの施設がどのような法律や条令に基づいて設置・運営されているのかを知ることは、都市計画や地域社会の発展において非常に重要です。
また、所管部局との連携も密接に行われており、それぞれの施設が適切に運営されていることを確認するための体制が整っています。
国・県・市等による開発行為の協議要件
都市計画法においては、国や県、市などの公的機関が行う特定の開発行為について、特別な協議を必要とする場合が定められています。
これは、公的機関が行う開発が地域社会や都市計画に大きな影響を及ぼす可能性があるため、適切な手続きを経て行われることを確保するためのものです。
具体的には、法第34条の2に基づき、以下のような庁舎や宿舎の建設・開発行為について協議が必要とされています。
庁舎に関する協議要件
庁舎とは、公的機関の業務を行うための施設で、多くの市民や関係者が利用する場所です。以下の条件を満たす庁舎の開発については、協議が必要とされています。
庁舎の種類 | 説明 |
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国の庁舎 | 国が設置する庁舎で、中央政府の本府や本省、またはこれらの外局の本庁の用途に供されるもの。 |
地方支分部局の庁舎 | 国が設置する地方支分部局の本庁の用途に供される庁舎。 |
県・市の庁舎 | 県庁や県の地方事務所、市役所の用途に供される庁舎。 |
県警察本部の庁舎 | 県警察本部の本庁の用途に供される庁舎。 |
宿舎に関する協議要件
宿舎とは、公的機関の職員が職務上の常駐を必要とする場合に利用する住居施設を指します。
このような宿舎の開発についても、都市計画法に基づく協議が求められます。
特に、職務上の常駐が必要とされる職員のための宿舎の開発については、その位置や規模、設計などが地域の環境や都市計画に適合しているかどうかを検討するための協議が行われます。
これらの協議は、都市計画の方針や基準を遵守しつつ、公的機関の機能を十分に発揮できるような開発が行われることを確保するための重要な手続きです。
公的機関が行う開発行為が地域社会に与える影響を最小限に抑えるため、適切な協議を経て行われることが求められています。