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不動産調査

トラブル回避!現地調査で見逃してはいけない不動産チェックリスト

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不動産物件調査の基本を理解する

不動産の調査が正しく行われることで、トラブルを未然に防ぎ、安心して取引ができるようになります。不動産物件調査にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる視点から物件を評価します。ここでは、不動産調査の基本的な流れや確認すべきポイントについて詳しく説明します。

不動産物件の調査内容

物件調査では、以下のようなポイントを確認します。これらの調査は、不動産に関連するさまざまなリスクを最小限に抑えるために重要です。

調査項目 目的
現地調査 物件の状況や周辺環境を確認し、目で見て判断する
法務局調査 物件の登記簿や権利関係を確認し、法的な問題がないか確認する
役所調査 建築基準や用途地域など、物件の法的な使用制限を確認する
設備調査 電気・水道などの設備が正常に機能しているか、また安全かどうかを確認する
照合調査 書類上の情報と実際の状況が一致しているか確認する

不動産物件を購入・売却する際、まず「現地調査」から始めることが一般的です。これは、実際に物件に足を運び、その物件の状況を五感で確かめるためです。

現地調査のステップ

現地調査では、以下のステップに従って物件の状況を確認します。調査中に気づいたことは、メモを取って記録しておくことが大切です。

1. 物件の外観を確認

最初に、物件の外観を確認します。建物の状態や周辺の環境を見て、次のような点に注目します。

  • ブロック塀が傾いていないか
  • 屋根や外壁にひび割れがないか
  • 建物が地盤沈下していないか

たとえば、ブロック塀が傾いている場合、地盤が緩んでいる可能性があります。これを見逃すと、地震などの災害時に大きな被害を受けるリスクが高まります。また、外壁や屋根のひび割れも、雨漏りや老朽化の兆候です。

2. 周辺環境の確認

次に、物件の周辺環境を確認します。周辺にはどのような施設があるのか、交通の便や騒音、臭いなどの問題がないかをチェックします。

3. インフラ設備の確認

最後に、物件のインフラ設備を確認します。電気や水道、ガスなどのライフラインが正常に機能しているか、また古い設備が残っていないか確認します。

法務局調査

法務局では、物件の登記簿や公図を確認します。これにより、物件の所有権や抵当権が誰にあるのか、法的に問題がないかを確認します。登記簿を確認することは、購入後に所有権をめぐるトラブルを防ぐために非常に重要です。特に、権利関係が複雑な物件では、法務局での確認が欠かせません。

役所調査

役所では、物件の用途地域や建築基準を確認します。これは、建物の高さ制限や土地の利用目的に関するルールが守られているかどうかを確かめるためです。たとえば、住宅地として購入した土地が実は商業地域に指定されていた場合、将来その土地に住宅を建てることができない場合があります。役所調査を通じて、このような問題を事前に防ぐことができます。

設備調査

物件に備わっている設備も重要な調査項目です。特に、古い建物では設備の老朽化が進んでいる場合があり、その場合は大規模な修繕が必要になることもあります。電気、水道、ガス、下水道など、生活に欠かせないインフラ設備がしっかりと機能しているか、現地で確認します。

照合調査

最後に、物件に関するさまざまな書類と現地の状況が一致しているかを確認します。これを「照合調査」と呼びます。たとえば、登記簿に記載されている土地の面積が実際と異なっている場合、取引後にトラブルになる可能性があります。この段階で不一致が見つかれば、その内容を正確に告知することが大切です。

まとめ

不動産物件調査の基本は、物件の状況や法的問題を正しく把握することにあります。現地調査では、物件の外観や周辺環境、インフラ設備の確認を行い、法務局や役所での調査を通じて法的な問題をチェックします。また、照合調査で書類と現地の情報が一致しているかを確認し、最終的にトラブルのない取引を目指します。これらのステップを一つ一つ丁寧に進めることで、安全で信頼できる不動産取引が実現できます。

調査を始める前の準備

不動産調査を行う前に、しっかりとした準備が必要です。準備を怠ると、現地で必要な情報を見逃したり、調査が不十分になってしまう可能性があります。ここでは、調査を始める前に揃えておくべき道具や確認しておくべきポイントについて詳しく説明します。

調査に必要な道具の準備

物件調査を行う際には、いくつかの道具が必要になります。これらは、物件の正確な情報を得るために欠かせないアイテムです。それぞれの道具がどのような役割を果たすのかを理解しておきましょう。

道具 役割
現地調査表 物件の情報や調査する項目を記録するためのシート。忘れずに記録するために使用
方位磁石 物件の方角を確認し、日当たりや風通しなど、建物の立地条件を把握する
認印 役所で書類を取得する際に必要になることがある。あらかじめ準備しておくと便利
シャープペン(0.3ミリ・0.5ミリ) 正確な図面を描いたり、細かい情報を書き込むために使用
三角定規 物件の図面や敷地境界線を確認する際に、正確な角度を測るために使用
消しゴム メモや図面の修正に必要
トレーシングペーパー 敷地の図面や現地の状況を透かして確認するために使用
メモ用紙 調査中に気づいたことをすぐに書き留めるために使用
5~6mメジャー 建物の寸法や敷地の幅を測るために使用。主に短い距離を測るのに適している
50mメジャー 広い土地や長い距離を測るために使用。道路や敷地の長さを正確に測る
携帯水平器 建物やブロック塀が傾いていないか確認するための道具
スコップ(小) 地盤や敷地の状況を確認するために、軽く掘って調べる際に使用

これらの道具を事前に準備しておくことで、現地での調査をスムーズに進めることができます。特に、現地調査表やメジャー、方位磁石などは頻繁に使用するため、忘れずに持参しましょう。

調査前の確認事項

道具を準備したら、次は調査前に確認しておくべき事項を整理します。これにより、現地での調査が効率的になり、見落としを防ぐことができます。

1. 調査対象物件の基本情報を把握

調査を始める前に、物件に関する基本情報をしっかりと把握しておくことが重要です。具体的には、物件の所在地、土地面積、建物の構造や築年数などを確認しましょう。これらの情報は、登記簿や建物図面などで事前に確認できることが多いです。これを把握しておくことで、現地での調査がスムーズに進みます。

2. 役所や法務局での事前調査

調査対象物件が建築基準法に適合しているか、法的な問題がないかを確認するために、役所や法務局での事前調査が必要です。建物が立地する地域の用途地域(どのような建物を建てられるかを規定した地域)や、建物の高さ制限なども事前に確認しておくと、現地調査での注意点が明確になります。

3. 周辺環境の事前調査

現地に行く前に、インターネットや地図などで物件の周辺環境を調べておくことも大切です。周辺にどのような施設があるのか、交通の便や自然環境(河川や山など)がどのような影響を与えるのかを確認しておきましょう。例えば、近くに川がある場合は洪水のリスクを考慮する必要があります。

効率的な調査のために

現地での調査は、準備がしっかりとできていれば非常に効率的に行うことができます。現地に行ってから慌てないよう、事前にできることはすべて済ませておきましょう。道具の準備だけでなく、事前の調査や資料の確認も忘れずに行うことで、調査当日には物件の重要なポイントに集中して確認することができます。

まとめ

調査を始める前には、しっかりとした準備が不可欠です。必要な道具を揃えること、物件の基本情報や法的な規制を事前に確認すること、周辺環境を把握しておくことが、現地調査をスムーズに進めるためのポイントです。特に、不動産調査は目に見えないリスクを発見するための大切なステップですので、準備をしっかりと整えて臨みましょう。

現地調査の基本

不動産の現地調査は、物件の実際の状況を確認する最も重要なステップです。紙の資料だけではわからない、目に見える情報や周囲の環境を調べることで、購入後に起こり得る問題を未然に防ぐことができます。現地調査を行う際は、以下のポイントに注意しながら調査を進めていきましょう。

外観の確認

現地調査では、まず物件の外観を詳しく確認します。ここで注目すべきポイントは、建物自体の状態だけでなく、周囲の環境や隣接する建物との関係も含まれます。

建物の状態

建物の状態を確認する際には、以下のような項目に注意してください。

  • 外壁のひび割れ: 小さなひび割れが見つかれば、将来的に雨漏りの原因となる可能性があります。
  • 屋根の状態: 屋根瓦がずれている、または破損している場合、修繕が必要です。
  • 基礎の劣化: 建物の基礎部分にひびが入っていると、地震時などに建物の耐久性が問題になることがあります。

外観の状態が悪い場合、建物の修繕費用が予想以上にかかる可能性があるため、慎重に確認しましょう。

周囲の環境

建物だけでなく、その周囲の環境も重要です。近隣の土地や建物の影響が将来的に問題になることがあります。以下の点に注意して調査を行いましょう。

  • 隣接建物との距離: 隣の建物が近すぎる場合、プライバシーや日当たりが悪くなる可能性があります。
  • 周囲の施設: 学校やスーパー、駅などの施設が近くにあるか確認し、生活環境が整っているかを調べましょう。
  • 騒音や臭い: 交通量が多い道路や工場が近くにある場合、騒音や排気ガスなどの問題が発生する可能性があります。実際に現地でその場の雰囲気を感じ取ることが重要です。

道路の確認

現地調査では、物件が接している道路も確認が必要です。道路に関する情報は、物件の価値や建築に関わる規制に大きく影響するため、しっかりと確認しましょう。

公道と私道の違い

道路には、大きく分けて「公道」と「私道」の2種類があります。これらの違いを理解しておくことが重要です。

道路の種類 説明
公道 国や自治体が管理する道路。公道に面している物件は、基本的に法的なトラブルが少なく、安心して使用できます。
私道 個人や法人が所有する道路。私道の場合、道路の管理や修繕に関してトラブルが発生することがあり、使用条件も確認する必要があります。

特に私道に面している物件では、その道路の使用権や管理費用などをしっかりと確認しておくことが重要です。

接道義務の確認

建築基準法では、建物は幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないという「接道義務」が定められています。このルールに違反している物件は、将来的に建て替えができない可能性があります。

また、道路の幅が4メートル未満の場合は、建物を建て替える際に一定のセットバック(道路から後退して建物を建てること)が必要になることがあります。これにより、敷地の有効面積が狭くなるため、物件の価値にも影響が出る可能性があります。

インフラ設備の確認

物件に供給されているインフラ設備の状態を確認することも現地調査の一環です。電気、水道、ガス、下水道が正常に稼働しているかどうかをチェックしましょう。

電気・水道・ガスの確認

物件に引き込まれている電気や水道、ガスの配管設備を調べます。古い建物では、これらの設備が老朽化している場合があるため、修繕や交換が必要な場合もあります。

排水設備の確認

排水設備も重要な調査項目です。特に下水道が整備されていない地域では、浄化槽を使って排水処理を行う必要があります。浄化槽のメンテナンスが不十分だと、悪臭や環境問題につながることがあるため、注意が必要です。

また、物件の周囲に河川がある場合、過去に水害が発生していないかどうかも調査しておきましょう。水害に遭いやすい地域では、将来的に保険料が高くなる場合もあります。

まとめ

現地調査は、不動産取引において重要なステップであり、物件の実際の状況や周囲の環境、道路やインフラ設備の状態を把握するために行います。特に、物件の外観や周囲の環境、道路の接道状況を確認することで、購入後のトラブルを未然に防ぐことができます。これらの調査をしっかりと行うことで、安心して物件を購入・取引できるようになるのです。

書類と現地の照合

不動産物件の調査において、現地で確認した内容と書類上の情報が一致しているかを確認する「照合調査」は非常に重要なステップです。特に、土地の境界線や建物の寸法、法的な条件など、現地と書類に相違がある場合は、その原因を明確にしておく必要があります。この段階で問題を発見し、解決しておくことで、後の取引トラブルを未然に防ぐことができます。

照合調査の目的

照合調査の目的は、書類に記載されている物件の情報と、実際に現地で確認した物件の状況が一致しているかどうかを確認することです。この確認作業は、取引の信頼性を高め、購入者が安心して取引できるようにするために必要不可欠です。

たとえば、登記簿には土地の面積や形状が記載されていますが、現地の土地がその通りであるかどうかは実際に確認する必要があります。もし、登記簿と現地の情報が異なっていた場合、売買契約の条件が変わる可能性もありますので、注意深く調査しましょう。

照合調査のステップ

照合調査は、主に以下のステップに分かれます。これらのステップを順を追って進めることで、問題点を見逃さずに確認することができます。

1. 登記簿と現地の照合

まずは、物件の登記簿に記載された情報を確認します。登記簿は法務局で取得でき、土地や建物の所有者、面積、地目(どのように利用されている土地か)などが記載されています。

確認すべき項目 説明
土地の面積 書類上の土地の面積が現地と一致しているか確認。特に古い物件では、面積が実際と異なることがあります。
地目 登記簿に記載された地目(例: 宅地、田、山林など)が現地の利用状況に合っているか確認します。
所有者 登記簿に記載された所有者が現状の所有者と一致しているか確認。不一致がある場合、所有権に関するトラブルが発生する可能性があります。

土地の面積が書類と一致していない場合、敷地の一部が他人の土地にかかっている「越境」の問題があるかもしれません。越境問題があると、購入後にトラブルになることがあるので注意が必要です。

2. 建物の図面と現地の照合

次に、建物の図面と現地の建物が一致しているかを確認します。建物の配置や大きさが図面と違っている場合、違法建築の可能性もありますので、慎重に確認しましょう。

  • 建物の寸法: 図面に記載された寸法と現地の寸法が一致しているか確認します。特に建物がセットバック(道路後退)しているかどうかもチェックポイントです。
  • 建物の形状: 図面と実際の建物の形が一致しているか確認します。たとえば、増改築が行われている場合、図面と異なる形状になっていることがあります。
  • 使用用途: 図面上の建物の用途(住宅、商業施設など)と、実際に使われている用途が一致しているか確認します。

建物が図面と一致していない場合、特に増築や改修が行われた場合は、適切な手続きが行われているかどうかも確認する必要があります。無許可での増築は違法となり、取引に影響を与える可能性があります。

3. 境界線の確認

土地の境界線の確認も重要なステップです。土地の境界は、隣接する土地との間で合意が取れているかどうかを確認するために必要です。

  • 境界標の確認: 境界標(杭や石)が設置されているか確認し、その位置が正しいかどうかを調べます。
  • 越境の有無: 建物や塀、樹木が隣地に越境していないか確認します。越境している場合、隣地所有者とトラブルになる可能性があります。
  • 隣接地との境界合意: 境界線について隣地所有者と合意が取れているか、確認書などが交わされているかどうかも確認します。

境界線が不明確な場合や、隣地とのトラブルが予想される場合は、購入前に解決しておくことが重要です。特に古い物件や農地に多く見られる問題ですので、注意が必要です。

不一致が発見された場合の対応

もし書類と現地に不一致が発見された場合は、その不一致の原因を明確にし、解決策を講じる必要があります。売主に確認することで問題が解決することもありますが、場合によっては法的な手続きや行政機関への問い合わせが必要になることもあります。

たとえば、建物が違法建築である場合、適切な許可を得るための手続きが必要です。また、土地の面積が登記簿と異なる場合は、登記の修正や境界の確定が必要になることもあります。

まとめ

照合調査は、不動産取引の信頼性を高めるための重要なプロセスです。書類に記載された情報と現地の状況が一致しているかどうかを確認し、問題があれば早めに解決策を講じることで、取引後のトラブルを防ぐことができます。特に、境界線の確認や建物の図面との一致を確認することは、不動産取引において不可欠なステップです。

排水・敷地の確認

不動産物件調査の中で、排水設備や敷地の利用状況を確認することは非常に重要です。適切な排水システムが整っていない場合、物件の利用や価値に大きな影響を与えることがあります。また、敷地の境界や隣接する土地との関係にも注意が必要です。この章では、排水設備と敷地利用の確認方法について詳しく説明します。

排水設備の確認

物件の排水設備は、日常生活を快適に送るための基本的なインフラです。特に古い物件や地方にある物件では、下水道が整備されていないことがあるため、排水設備の確認は欠かせません。

道路側溝やマンホールの確認

現地調査では、まず物件が接している道路の側溝やマンホールを確認しましょう。以下の点に注意して調査を行います。

  • 道路側溝の確認: 雨水や汚水が適切に排水されているか、側溝が詰まっていないかを確認します。詰まっている場合、水害のリスクが高まります。
  • マンホールの位置確認: マンホールが敷地内や道路にある場合、その位置と機能を確認します。マンホールが適切にメンテナンスされているかも重要なポイントです。
  • 浄化槽の有無: 下水道が整備されていない地域では、浄化槽が設置されている場合があります。浄化槽は定期的なメンテナンスが必要ですので、その費用や手続きも確認しましょう。

水害リスクの確認

排水設備を調べる際には、過去に水害が発生していないかも確認する必要があります。特に、物件が低地や河川の近くにある場合、水害リスクが高まります。

  • 周辺の地形を確認: 低地に位置する物件は、豪雨の際に浸水被害を受けやすくなります。地形図や現地の目視で周囲の土地の高さを確認しましょう。
  • 泥やシミの確認: 建物の外壁やブロック塀に泥やシミがついていないか確認します。これがある場合、過去に水害に遭った可能性があります。
  • 水害対策の確認: 近隣で河川改修工事が行われているかどうかも確認します。改修工事が進んでいる地域は、将来的に水害リスクが軽減される可能性があります。

排水設備や水害リスクを把握することで、購入後に発生するトラブルを予防できます。特に水害に遭いやすい地域では、物件の保険料が高くなることもあるため、その点も考慮しておきましょう。

敷地の利用状況の確認

次に、物件の敷地利用状況を確認します。敷地内にどのような設備や構造物があるのか、隣接地との境界が明確かどうかをチェックします。隣地との関係を把握することも、物件調査の重要なポイントです。

境界線の確認

土地の境界線は、隣接する土地とのトラブルを防ぐために正確に把握しておく必要があります。境界が不明確だと、将来的に境界争いが発生する可能性があります。

  • 境界標の有無: 境界標(杭やプレート)が設置されているか確認します。もし境界標がなくなっている場合、再設置が必要です。
  • 隣地との越境確認: 隣地の建物や樹木、配水管などが敷地内に越境していないか確認します。越境がある場合、隣地所有者との協議が必要になります。
  • ブロック塀や樹木の配置: ブロック塀や樹木が隣接地にかかっている場合、所有者間での合意が取れているか確認します。越境が原因でトラブルになるケースも少なくありません。

敷地内の設備や構造物の確認

敷地内には、さまざまな設備や構造物が存在することがあります。それらが敷地内で適切に利用されているかを確認しましょう。

  • 電柱や配水管の確認: 敷地内に電柱や配水管がある場合、それらが適切に管理されているか確認します。特に配水管は、古いものだと破損や漏水のリスクがあります。
  • 地中の配線や配管: 地下に通っている配線や配管が、他の敷地に影響を与えていないか確認します。特に古い物件では、地中に古い設備が残っていることがあります。

敷地利用の確認は、物件の将来的な利用計画に影響を与える可能性があります。特に越境や境界問題が発生した場合、隣地所有者との協議が必要となるため、早めに対応しておくことが大切です。

まとめ

排水設備や敷地利用状況の確認は、不動産物件調査において欠かせないステップです。適切な排水システムが整備されているか、水害リスクがないかを確認することで、将来的なトラブルを予防できます。また、敷地境界の確認や隣地との越境問題も、物件の安全で円滑な利用に欠かせない要素です。これらの調査をしっかりと行うことで、安心して不動産取引を進めることができます。

調査報告書の作成

物件調査が終わったら、次に重要なのは「調査報告書」の作成です。調査報告書は、物件の状態を客観的にまとめたもので、売主や買主にとって非常に重要な情報となります。ここでは、調査報告書に記載すべき内容や作成の際のポイントを詳しく説明します。

調査報告書の役割

調査報告書は、不動産取引における重要なコミュニケーションツールです。売主、買主の双方が物件の状態を正確に理解し、取引に関する決定を行うために役立ちます。また、後々のトラブルを防ぐために、記録として残しておくことも大切です。

報告書に記載する内容は、物件の現状や不具合、修繕が必要な箇所など、物件に関する全ての情報です。これにより、取引の際に不透明な部分がなくなり、安心して物件を売買することができます。

調査報告書に記載すべき項目

調査報告書には、以下のような内容を記載します。それぞれの項目について、具体的に説明していきます。

項目 内容
物件の基本情報 物件の所在地、土地面積、建物の構造や築年数などの基本的な情報
現地調査結果 外観、周辺環境、道路の接道状況、インフラ設備の確認結果
書類との照合結果 登記簿や図面と現地の一致・不一致の確認結果
排水設備の状態 排水溝やマンホール、浄化槽の確認結果
敷地の利用状況 境界線や越境問題、隣接地との関係の確認結果
不具合や修繕の必要性 物件の不具合や修繕が必要な箇所の詳細
推奨事項 物件の改修や補修に関する提案、注意事項など

これらの項目を網羅的に記載することで、物件の状態を詳細に把握でき、取引後に「聞いていなかった」というトラブルを防ぐことができます。

調査結果の正確な記載

調査報告書を作成する際は、正確で客観的な情報を記載することが重要です。感覚的な印象ではなく、具体的な数値やデータに基づいて報告を行いましょう。例えば、「壁にひび割れがある」というだけではなく、「壁の北側に幅1cmのひび割れが確認された」といった詳細な情報を記載することで、より具体的で信頼性のある報告書を作成することができます。

具体的な記載例

たとえば、以下のように詳細に記載すると、買主や売主が物件の状態を正確に理解しやすくなります。

  • 「建物の外壁にひび割れがある」→「建物の北側外壁に幅1cm、長さ50cmのひび割れが確認された。雨漏りの可能性があるため修繕が推奨される」
  • 「排水設備に問題あり」→「物件の東側にある道路側溝が詰まっており、雨水が排水されていないため、清掃と修繕が必要」
  • 「敷地境界に問題」→「敷地の南側でブロック塀が隣地に越境していることが確認された。隣地所有者との協議が必要」

このように、具体的な場所や状況、原因を明記することで、報告書を読んだ人が的確に状況を理解できるようになります。

写真や図面の活用

報告書には、可能な限り現地の写真や図面を添付しましょう。視覚的な情報を追加することで、文字だけでは伝わりにくい部分を補完し、よりわかりやすい報告書に仕上げることができます。

写真の活用方法

  • ひび割れや損傷箇所の写真を撮影し、具体的な場所を示す
  • 敷地境界や越境部分を示す写真を添付する
  • 建物内部の老朽化した設備や配管の写真を含める

写真は、問題点を視覚的に示すための有力なツールです。特にひび割れや損傷、越境など、細かな問題を説明する際には、写真が非常に役立ちます。

図面の活用方法

図面を使うことで、建物や敷地の配置、境界線、越境している部分を明確に示すことができます。

図面 説明
建物図面 建物の配置、寸法、増改築部分を示す
敷地図面 敷地の境界、隣地との境界線、越境箇所を示す

図面と写真を組み合わせることで、文字情報だけでは説明が難しい問題点を、視覚的にわかりやすく伝えることができます。

まとめ

調査報告書の作成は、物件調査の集大成です。正確で具体的な情報を記載し、写真や図面を活用して視覚的にわかりやすい報告書を作成することで、売主や買主に物件の状態を正確に伝えることができます。これにより、取引後のトラブルを防ぎ、安心して不動産取引を進めることができるでしょう。

実際の現地調査例

ここまで、物件調査の各項目について説明してきましたが、実際の現地調査ではどのように進めるのかを具体的にイメージすることも大切です。この章では、実際の現地調査例を紹介し、どのように調査を行い、問題点を見つけ出すのかを具体的に説明します。現地に行って初めてわかることも多いので、調査中の感覚や気づきも重要です。

現地調査の流れ

現地調査は、事前に準備した調査表を基にして行います。以下は、実際に現地調査を進める際の流れです。

1. 外観と周辺環境のチェック

まずは、物件の外観と周辺環境をざっと確認します。この段階で、物件の第一印象や、隣接する建物や施設との関係を把握します。

  • 建物の状態: 外壁にひび割れがないか、屋根瓦が外れていないか、建物全体の状態を確認します。たとえば、外壁に亀裂がある場合、雨水の侵入が原因で建物内部の劣化が進んでいる可能性があります。
  • 周辺の施設: 近隣に学校や病院、商業施設があるか確認し、生活環境がどうなっているかを把握します。また、交通の便や騒音の有無も重要なチェックポイントです。
  • 道路の接道状況: 物件が接している道路が私道か公道かを確認し、幅員が4メートル以上あるかどうかをチェックします。

この初期の確認で、建物の全体的な印象をつかむことができます。また、周囲の雰囲気や音、においなど、書類ではわからない感覚的な情報もここで得られます。

2. 内部調査

次に、建物内部を確認します。建物の内部は外観だけではわからない、生活に直結する部分が多いため、細かくチェックします。

  • 壁や床の状態: 内壁にカビや汚れがないか、床に傾きや傷がないかを確認します。たとえば、床がわずかに傾いていると感じた場合、それは地盤沈下や構造的な問題のサインかもしれません。
  • 配管や電気設備: 水道の蛇口から出る水の量や、電気のスイッチが正常に作動するか確認します。特に古い物件では、配管や電気設備の老朽化が進んでいることが多いです。
  • 天井や屋根裏の確認: 天井に雨染みがないか、屋根裏に動物が住みついていないかもチェックします。

内部調査では、日常生活での使い勝手をイメージしながら確認すると良いです。例えば、水道の水圧が低い場合は、パイプに問題がある可能性があり、その修理費用も考慮に入れる必要があります。

3. インフラ設備の確認

物件のインフラ設備は、生活の質に大きく関わります。ここでは、電気・水道・ガス・下水道が正常に機能しているかを確認します。

  • 電気設備: 全ての部屋で電気が点灯するか確認し、古い電気配線が残っていないかもチェックします。古い配線は火災のリスクがあるため、修繕が必要になることがあります。
  • 水道と排水: 水道の水圧が十分であるか、排水がスムーズに流れるかを確認します。特に、排水がスムーズでない場合、パイプの詰まりや設備の老朽化が原因であることが考えられます。
  • ガス設備: ガス漏れがないか確認します。特に都市ガスが供給されていない地域では、プロパンガスのタンクの管理が適切に行われているか確認しましょう。

インフラ設備は一見正常に見えても、古くなっている場合があるため、細かく確認することが重要です。特に、電気やガスの設備は、配線や配管が古いと、事故や火災の原因になる可能性があるため、注意が必要です。

4. 写真撮影

現地調査の最後に、気になる箇所や不具合がある箇所の写真を撮影します。写真は、後から調査結果を確認する際に非常に役立ちます。また、売主や買主に調査内容を説明する際にも、視覚的に伝えやすくなります。

  • 外観写真: 建物の全体像や、ひび割れがある箇所、屋根の状態などを撮影します。
  • 内部の問題箇所の写真: 壁や床のひび割れ、水道の状態、配線の老朽化など、具体的な問題箇所を写真で記録します。
  • 設備の写真: 配管やガス設備の状態、排水溝やマンホールの写真を撮影し、後で詳細を確認できるようにします。

写真は、調査報告書の作成時に非常に有用であり、特に売主と交渉する際の証拠として役立ちます。具体的な問題箇所を写真で残しておくことで、後からトラブルが発生した場合にも対応しやすくなります。

現地で得られる感覚的な情報

現地調査では、書類や図面だけではわからない「感覚的な情報」も重要です。たとえば、物件の周囲に独特のにおいや音がある場合、書類ではその影響を把握することはできません。実際に現地に足を運び、次の点に注意して確認します。

  • 臭い: 近くに工場や飲食店がある場合、特有の臭いが発生することがあります。また、下水のにおいが感じられる場合、排水設備に問題がある可能性も考えられます。
  • 騒音: 近隣に交通量の多い道路がある場合、騒音が日常的に発生していることがあります。現地で実際にその騒音が気になるかどうか確認しましょう。
  • 全体的な雰囲気: その土地の雰囲気や周囲の住環境も重要です。周囲が静かで落ち着いているか、また治安が良いかどうかも、現地でしか感じ取れない情報です。

現地に行かないとわからない情報は非常に多いため、感覚を研ぎ澄ませて確認することが大切です。特に長期間住む予定がある物件では、住環境が快適かどうかは重要なポイントです。

まとめ

実際の現地調査では、書類では把握できない情報を確認するため、しっかりとした準備と感覚を研ぎ澄ませた確認が必要です。建物の外観や内部、インフラ設備、そして周辺環境を一つ一つ確認し、気になる点を記録することで、安心して物件を購入・取引できる基礎を築くことができます。特に、現地での感覚的な情報や写真は、後の判断材料として非常に有用です。

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熊本県土地家屋調査士会登録番号
第1248号

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第04431128号

一般建設業熊本県知事許可
(般-5)第20080号

住所
〒862-0920
熊本県熊本市東区月出4丁目6-146

電話番号
096-213-7111

ファックス番号
096-213-7112

創業
2004年6月

保有資格
行政書士
宅地建物取引主任士
土地家屋調査士
ビル経営管理士
不動産コンサルティングマスター
マンション管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
2級土木施工管理技士
測量士
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