店舗アプローチ ── 入りやすさをどう作るか
- アプローチとは通りから入口までの経路。ここで止まる客は、店の中身を見ていない。
- 車で来るか歩いて来るかで、詰まる場所がまったく違う。
- 都市型は段差と扉、郊外型は出入口と滞留で止まる。
- アプローチの障害はたいてい直せる。立地を変えるより先に、ここを見る。
店の前まで来たのに、入らずに通り過ぎる人がいます。中身の問題ではなく、入口までの経路で止まっていることがあります。
この経路をアプローチと呼びます。立地の評価では見落とされやすく、しかも直せる部分です。
この記事では、車と歩行者それぞれの詰まりどころ、都市型と郊外型の違い、そして調査で確かめる順序を整理します。
入口までの、最後の数十メートル
アプローチは、通行者が「入ろう」と思ってから実際に入るまでの区間です。ここで必要なのは三つです。
- 入口が分かる どこから入るのかが見えている
- 入る手段がある 停められる、渡れる、上がれる
- 入ってよいと分かる 営業中か、誰向けの店か
どれか一つ欠けると、客はそこで判断を保留します。保留した人は、たいてい戻ってきません。
車で来る場合
車の客が止まるのは、ほぼ出入口です。
- 出入口の位置 気づいてから減速して曲がれるか
- 右折で入れるか 中央分離帯や交通量。入れないなら商圏は片側だけ
- 出るときの負担 出にくい店は、二度目が減る
- 駐車場の分かりやすさ どこに停めるか迷わせない
- 区画の広さ 客層に合っているか
入りにくい店は一度で分かりますが、出にくい店は、帰るときに分かります。
渋滞する道路に右折で出るしかない店は、満足していても足が遠のきます。現地調査では、必ず出る側も走ってください。
歩いて来る場合
歩行者が止まるのは、段差と扉です。
- 段差 一段でも、荷物や子ども連れには壁になる
- 扉 重い、引くか押すか分からない、中が見えない
- 横断 渡れる場所が近いか
- 境界 どこからが店の敷地か分かるか
不透明な扉は、入る前に状況を確かめられません。混んでいるか、自分向けの店か、営業しているか。
初めての客ほど、この確認を必要とします。常連だけで回っている店が新規を取れない理由が、ここにあることがあります。
都市型と郊外型で、詰まる場所が違う
| 都市型 | 郊外型 | |
|---|---|---|
| 主な客 | 歩行者 | 車 |
| 詰まる場所 | 段差、扉、境界 | 出入口、滞留、駐車 |
| 判断の時間 | 長い。立ち止まれる | 短い。数秒 |
| 効く打ち手 | 扉と間口、足元 | 看板の位置、動線 |
同じ改善が、両方に効くとは限りません。どちらの客を取るかを決めてから手を入れます。
障害は、たいてい直せる
アプローチの問題は、立地そのものと違って後から手を入れられるものが多くあります。
- 段差にスロープを付ける
- 扉を軽いものに替える、または開けておく
- 入口の位置を示す表示を、手前に出す
- 駐車区画の線を引き直す
- 足元を明るくする
費用は改装に比べれば小さく、効果は早く出ます。「立地が悪い」と結論する前に、ここを確かめる価値があります。
- 主な客が車か歩行者かを決めた
- (車)出入口に気づいてから曲がれる距離を確かめた
- (車)右折で入れるか確かめた
- (車)実際に出る側も走った出やすさを見る
- (車)駐車区画の広さが客層に合うか見た
- (歩行者)段差の有無と高さを測った
- (歩行者)扉の重さと、中が見えるかを確かめた
- (歩行者)近くに横断できる場所があるか確かめた
- 入口の位置が手前から分かるか確かめた
- 営業中かどうかが外から分かるか確かめた
- 営業時間帯の明るさで確かめた
- 直せる障害と、直せない障害を分けた
まとめ
- アプローチは通りから入口までの経路。ここで止まる客は、店の中身を見ていない。
- 必要なのは三つ。入口が分かる、入る手段がある、入ってよいと分かる。
- 車の客は出入口で止まる。入りやすさより出やすさが、二度目を決める。
- 歩行者は段差と扉で止まる。中が見えない扉は、初めての客に弱い。
- 都市型と郊外型で詰まる場所が違う。どちらの客を取るか決めてから手を入れる。
- アプローチの障害は直せるものが多い。立地を諦める前に確かめる。
立地の評価というと、通行量や視界性に目が向きます。しかし、最後の数十メートルで失っている客は、統計には出てきません。現地を歩いて、実際に入ってみることでしか分かりません。
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