令和7年地価公示を読み解く 全国の地価は今どうなってる?

はじめに
「地価公示」という言葉を初めて耳にしたとき、多くの方が「なんだか難しそう」と感じるかもしれません。たとえば、街中でふと「この土地、いくらくらいするんだろう?」と思ったとき、その答えのヒントになるのが、まさにこの「地価公示」です。
土地は、スーパーの商品と違って値札がついていません。でも実際の売買では、「このくらいの価格が妥当ですよ」という目安が必要になります。これは、お店で買い物をする時の「定価」に似ています。
地価がわからないと何が困るのか
地価に明確な目安がないと、いろんな場面でトラブルが起こりやすくなります。
隣の土地と価格が極端に違う | 適正価格がわからず、トラブルの原因になる |
売主と買主の認識にズレ | 価格交渉が長引いたり、契約が破談になる |
不動産会社の説明が不明確 | 信頼を失い、契約のチャンスを逃す |
地価公示とは何か
地価公示は、毎年1月1日時点における標準的な土地の価格を、国が調査して発表する制度です。地価公示法(昭和44年法律第49号)第2条に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が実施します。
地価公示の役割
不動産取引の基準 | 売買価格の目安として使われる |
公共事業での用地買収 | 適正な補償額を算出するための資料となる |
課税の参考資料 | 相続税や固定資産税の評価の参考にされる |
どこを、どのように調べているのか
地価公示では、全国約26,000地点越を対象に、不動産鑑定士という専門家が調査を行います。
調査のポイント
- 地点は都市部から地方までバランスよく選ばれている
- 近隣の取引事例や土地利用状況を考慮する
- 1㎡あたりの「正常価格(せいじょうかかく)」を判断する
正常価格とは
正常価格とは、特別な事情のない通常の市場で成立すると考えられる価格のことです。たとえば、親族間の安売りや急な売却による値引きなどは除かれます。
はじめに押さえておきたい3つのポイント
- 地価公示は、土地の価格の目安を示す制度
- 不動産取引や公共事業、税金の計算にも使われる
- 調査は毎年1月1日時点で、国が発表する
例え話でイメージしよう
たとえば、パン屋さんであんパンを買おうとしたとき、値段が書いていなければ「いくらだろう?」と困ってしまいますよね。土地も同じで、目安がないと売る人も買う人も戸惑ってしまいます。地価公示は、その「目安」として、土地の“値札”のような役割を果たしています。
なぜ今、注目されているのか
近年は新型コロナウイルスによる影響で地価が一時的に下がった地域もありましたが、令和7年の地価公示では、全国的に回復傾向が見られました。これは、不動産市場にとって重要な変化です。景気や需要の動きを読み取る手がかりにもなるため、業務に携わる人は地価公示を定期的に確認しておく必要があります。
そもそも地価公示ってなに?
前の章で、「土地には目安となる“価格のものさし”がある」というお話をしました。ここでは、実際に国が行っている「地価公示」について、もう少し詳しく理解を深めていきます。
地価公示は、国が発表する土地価格の指標
「地価公示」は、国土交通省が毎年実施している制度です。正式には「地価公示法(昭和44年6月23日法律第49号)」に基づく調査で、土地鑑定委員会という専門の審議会が価格を判定し、発表します。
調査のタイミングと範囲
調査時点 | 毎年1月1日 |
発表時期 | 毎年3月中旬 |
調査地点数 | 約26,000地点(全国に分布) |
この調査で発表される価格は、1平方メートルあたりの「正常な価格」です。ここでいう「正常な価格」とは、土地を売る人と買う人が、特別な事情なく普通に話し合って決めるとしたら、このくらいだろうと考えられる妥当な金額のことです。
どうやって価格を決めているのか
価格の判定は、不動産鑑定士(ふどうさんかんていし)と呼ばれる国家資格を持った専門家が行います。彼らは次のような情報を総合的に見て判断します。
調査で見る主なポイント
- 周辺の実際の売買事例(似た土地がどれくらいで売られているか)
- 道路の幅や駅までの距離など立地条件
- その地域の使われ方(住宅地か商業地か)
- 過去の地価動向と将来の予測
たとえば、「駅から徒歩5分、スーパーも近い住宅街の一角」の土地を見ていたとします。その周辺で最近売買された土地の価格や、周辺の利便性を加味し、「このあたりなら1㎡あたり20万円が適正かな」という判断がなされるわけです。
なぜ公示価格が必要なのか
土地の価格があいまいなままだと、不動産取引がうまくいきません。地価公示は、その不安を取り除くために、全国共通の「土地価格のものさし」として活用されています。
地価公示の活用例
売買価格の参考 | 買主も売主も納得できる価格の目安になる |
公共事業の補償額算定 | 道路や公園の建設で土地を買い取る際の基準となる |
不動産評価・税金 | 相続税や固定資産税の評価に使われることがある |
例え話で理解を深める
たとえば、同じバナナを買うのに、店によって値段が大きく違ったら「本当はいくらが妥当なの?」と迷いますよね。地価も同じです。買う人と売る人が安心して取引できるように、第三者である国が「このくらいの値段が普通ですよ」と示しているのです。
そしてこれは、私たち不動産会社が「この価格は妥当です」とお客様に説明する際の、大事な根拠にもなります。
公示価格と実際の取引価格の違い
地価公示で示される価格は、あくまで「基準」です。実際の取引では、そこから上下することもあります。たとえば、
- 急いで売りたい人が安く売ることもある
- その土地に特別な価値がある場合、高く売れることもある
ですが、価格交渉の出発点として「公示価格」があることで、無理のない範囲で話を進めることができます。
法的な位置づけ
公示価格は、地価公示法第2条により「一般の土地取引に対して指標を与えることを目的」としており、また公共用地の取得に関する特別措置法第4条においては、公共事業用地取得の基準として用いることが定められています。
つまり、民間の取引だけでなく、行政にとっても不可欠な基準だといえます。
まとめ
地価公示は、全国26,000地点における「土地の価格の目安」を国が毎年発表する制度です。これは不動産の現場において、信頼できる判断材料となります。不動産を調査・取引するうえでの出発点ともいえる存在であり、美咲さんのように業務をこれから覚えていく人にとっても、日常的に触れておきたい基本情報のひとつです。
全国の地価は上がってる?下がってる?
地価公示の仕組みを理解したところで、次は実際に2025年(令和7年)に発表された地価の動きについて見ていきます。
全国の平均的な地価は、ここ数年でどのように変化してきたのでしょうか。実は、全国の地価は令和4年から4年連続で上昇しています。
上昇とはどういうことか
ここでいう「上昇」とは、前年と比べて土地の価格が高くなっていることを意味します。つまり、去年1平方メートルが10万円だった土地が、今年は10万2千円になっているようなイメージです。
地価の上昇が示すこと
需要が増えている | その土地を買いたい人が多くなっている |
周辺の開発が進んでいる | 駅や道路の整備、商業施設の建設などが影響 |
経済の回復が進んでいる | 企業活動や消費が活発になると、土地も高くなる |
令和7年の全国の動き
地価公示の結果を見てみると、全国の地価は次のような動きを見せています。
全国平均(全用途) | 前年比プラス2.7パーセント |
住宅地 | プラス2.1パーセント |
商業地 | プラス3.9パーセント |
ここでいう「用途」とは、土地の使い方のことを指します。住宅地は家を建てるエリア、商業地はお店やビルが立ち並ぶエリアです。それぞれの土地で、価格の動きが異なることもあります。
コロナ禍からの回復状況
注目すべきポイントは、全国の調査地点のうち63.9パーセントが、コロナ前の2020年の水準を上回ったという点です。
新型コロナウイルスの影響で、多くの土地の価格が一時的に下がりました。人の移動が制限され、商業施設や観光地も打撃を受けたことで、不動産市場全体が冷え込んだのです。しかし、現在は徐々に回復傾向が続いています。
なぜ回復してきたのか
- 住宅購入需要が安定している
- 低金利政策により住宅ローンを組みやすくなった
- 観光需要の復活と商業地への投資が活発化
- 半導体工場や物流施設など、企業誘致による地元の活性化
特に、再開発やインフラ整備が進んでいる都市部や、企業の進出が目立つ地方都市では、地価が大きく回復しています。
例え話で理解する地価の動き
地価の動きは、たとえるなら「人気のあるお菓子の値段」と似ています。スーパーでみんなが買いたがるお菓子は、品薄になると少し値段が上がることがあります。反対に、誰も買わない商品は値引きされます。
土地も同じで、「ここに住みたい」「ここでお店を開きたい」と思う人が多い場所では価格が上がり、逆に関心が薄れていくと下がっていくのです。
データの裏側をどう読むか
単に「上がった」「下がった」という数字を見るだけではなく、なぜ上がったのか、何が変わっているのかを考えることが重要です。地価の上昇には必ず背景があります。経済政策や人口の動き、地域ごとの再開発など、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。
確認のポイント
- どの用途(住宅地・商業地)が伸びているか
- 前年比でどのくらい動いているか
- 価格変動の背景にある政策や開発の動きは何か
まとめ
全国の地価は、住宅地も商業地も含めて上昇が続いています。特に、2020年以降の回復は明らかで、コロナ禍の影響を乗り越えた地域も増えています。これからの調査業務や市場分析の際には、こうした地価の変動と背景要因を照らし合わせて読み取っていく視点が求められます。
三大都市圏ではどこが伸びた?
全国的な地価の回復傾向が見られるなか、特に顕著な動きを示しているのが「三大都市圏」です。三大都市圏とは、東京圏・大阪圏・名古屋圏を指し、日本の人口・経済・流通の中心とも言える地域です。これらのエリアでは、住宅地も商業地もともに、前年より高い上昇率を記録しています。
三大都市圏の地価上昇データ
令和7年(2025年)の公示地価における、三大都市圏の変動率は次のとおりです。
住宅地 | 商業地 | |
東京圏 | プラス4.2パーセント | プラス8.2パーセント |
大阪圏 | プラス2.1パーセント | プラス6.7パーセント |
名古屋圏 | プラス2.3パーセント | プラス3.8パーセント |
この表からもわかるように、いずれの都市圏でも前年より価格が上昇していますが、特に東京圏の商業地の伸びは目を引くものがあります。
なぜ都市部の地価が上がるのか
地価の上昇には、それぞれの地域ごとの理由があります。ここでは代表的な要因を見ていきましょう。
主な上昇要因
- 人口集中と住宅需要の安定
- 再開発や再整備によるまちづくりの進行
- テレワークの普及による都心回帰と利便性重視の傾向
- インバウンド(訪日外国人)需要の回復と観光地への投資
- 大企業やIT企業による本社・拠点整備の動き
たとえば、東京では渋谷、新宿、品川などを中心に、再開発が加速しています。駅周辺では高層ビルの建設が進み、オフィスや商業施設、ホテルなどの用途が複合的に集まることで、人とお金の流れが活発になります。
こうした動きに合わせて土地の需要も高まり、それが地価の上昇につながっているのです。
商業地の上昇が目立つ理由
商業地とは、店舗・事務所・ホテル・サービス施設などが建ち並ぶエリアのことです。住宅地と比べて、ビジネスや観光といった外部要因の影響を強く受けます。
商業地が伸びやすい要因
- テナント(店舗やオフィスの入居者)需要の回復
- 訪日外国人客(インバウンド)の増加
- 都市型ホテルやショッピング施設の投資活発化
- 土地の高度利用(高層ビルや複合施設への建て替え)
東京の商業地は、特にこうした複数の要因が重なったことで、8パーセントを超える大きな伸びを見せました。これにより、投資家の注目も集まり、さらなる再開発の循環が生まれる流れになっています。
例え話でイメージする三大都市圏の成長
人気のテーマパークに人が集まると、周辺にホテルやレストランが増えていきます。駅が整備されて交通の便も良くなれば、ますます人が集まり、土地の価値が高まっていきます。
東京や大阪などの都市部でも、これと同じようなことが起きています。再開発が行われ、人が集まりやすくなれば、それに合わせてお店もオフィスも増え、結果として地価が上がっていくのです。
名古屋圏の動きにも注目
名古屋圏では、東京や大阪と比べると上昇幅がやや緩やかではありますが、それでも安定した伸びが見られます。リニア中央新幹線の計画などもあり、長期的な成長の可能性が期待されています。
名古屋圏の特徴
- 地元企業(自動車関連など)の本社・工場が多い
- 地価が比較的安定しているため、堅実な投資対象になりやすい
- 今後の大規模交通インフラの整備による将来性
まとめ
三大都市圏の地価は、全国平均よりも大きく上昇しています。特に東京圏では、商業地を中心に目覚ましい伸びが見られ、再開発やビジネス活動の広がりがその背景にあります。
こうした地域ごとの動きを把握しておくことは、物件調査や顧客提案の際にも役立ちます。次に見ていく地方圏と比較することで、日本全体の不動産のバランスも見えてくるようになります。
地方の地価はどうなっている?
三大都市圏での地価上昇が目立つ一方で、地方圏でも注目すべき変化が起きています。地方といっても全国すべてが同じように動いているわけではなく、地域によって差があるのが現実です。ここでは、令和7年地価公示に基づき、地方の地価の動きを詳しく見ていきます。
地方圏でも地価は上昇傾向
まず、全国の地方圏の全体的な傾向としては、全用途平均で前年比プラス1.3パーセントという結果が出ています。これは、住宅地も商業地も含めての平均的な上昇率です。
そして、特に高い上昇を見せているのが「地方四市」と呼ばれる以下の都市です。
都市名 | 住宅地の上昇率 | 商業地の上昇率 |
札幌市 | プラス4.9パーセント | プラス7.4パーセント |
仙台市 | ||
広島市 | ||
福岡市 |
この「地方四市」は、それぞれ地方の中核都市として人口も多く、観光やビジネスの拠点となっているため、地価が安定しやすい特徴があります。
なぜ地方でも地価が上がっているのか
地方圏で地価が上昇している理由には、次のような要因が考えられます。
地価上昇の背景
- テレワークの定着により、都市部から地方への移住希望が増加
- 観光需要の回復によるホテル・店舗の新規開発
- 再開発や市街地の整備による利便性向上
- 企業の地方進出や産業拠点の分散
たとえば、福岡市では天神地区の再開発「天神ビッグバン」が進行中で、商業地の地価を押し上げています。札幌市では地下鉄や空港アクセスの良さが評価され、住宅地への需要も高まっています。
すべての地方が上がっているわけではない
ただし、地方全体が一様に上昇しているわけではありません。中には、上昇幅が小さくなってきている地域や、横ばい、微減の地域も見られます。
伸び悩む地域の特徴
- 人口減少や高齢化が進んでいる
- 中心部から遠く、交通の便が悪い
- 再開発や投資が進んでいない
- 地元産業の衰退による雇用減少
このような地域では、住宅の需要が少なくなり、土地の活用が進まないことで、地価の上昇が抑えられる傾向にあります。
例え話でイメージする地方の動き
たとえば、お祭りがある商店街には人が集まり、お店もにぎわって売上が増えます。これにより、その周辺の土地も価値が上がります。反対に、人通りが少なくなった商店街では空き店舗が増え、地価も下がってしまいます。
地方の地価もこれと同じです。にぎわいや活気が戻ってきた都市では地価が上がり、そうでない場所では横ばいか下落するという傾向が見られます。
地方圏の調査で注目すべきポイント
不動産調査を行う際、地方の動きも押さえておくことが重要です。特に以下の点を意識して見ると、地価の背景を理解しやすくなります。
チェックポイント
- 市町村別の変動率や過去との比較
- 再開発や大型施設の建設予定があるか
- インフラ整備(道路、鉄道など)の進行状況
- 産業や観光の成長可能性
調査地点ごとの価格や詳細情報は、国土交通省の不動産情報ライブラリで確認できます。
まとめ
地方圏でも全体的に地価は上昇傾向にありますが、特に札幌・仙台・広島・福岡の「地方四市」でその傾向が顕著に見られます。一方で、すべての地域で一律に伸びているわけではなく、人口動態や産業構造によっては停滞している地域も存在します。
こうした違いを理解することで、地域特性に合った調査や提案ができるようになります。次章では、地価の動きに影響を与えている背景要因について、もう少し掘り下げて見ていきます。
地価が上がっている理由ってなに?
ここまでで、全国や都市部、地方ごとの地価の動きがわかってきました。では、どうして今、地価が上がっているのでしょうか。土地の価格が動く背景には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。
地価上昇の背景を読み解く
地価とは、「その土地にどれだけの価値があるか」を示すものです。価値が上がるということは、それだけ多くの人や企業がその土地を使いたいと思っているということです。では、どんな出来事や環境の変化が、そう思わせているのでしょうか。
主な要因
要因 | 内容と影響 |
景気回復 | 企業の業績が回復し、経済活動が活発に。人の動きや投資も増え、土地の需要が高まる。 |
低金利政策 | 住宅ローンの金利が低くなり、家を買いやすくなることで住宅地の需要が上昇。 |
観光の再活性化 | インバウンド(訪日外国人)が増加し、ホテルや店舗の需要が増え、商業地の価格を押し上げる。 |
産業の集積 | 半導体工場などが新設されることで、地域全体に雇用や需要が生まれ、周辺の地価が上がる。 |
ひとつずつ見てみましょう
景気の回復
コロナ禍によって落ち込んだ経済も、少しずつ回復傾向にあります。企業の活動が活発になると、オフィスや店舗が必要になり、それに伴い土地の需要が増えます。
たとえば、新しい会社がオフィスを構えるために駅近のビルを借りると、周辺の土地の価値も自然と高まっていきます。
低金利で住宅が買いやすい
住宅ローンの金利が低い状態が続いているため、家を購入する人が増えています。需要が増えると、当然ながら土地の価格も上がります。
これは「セール中の商品がすぐに売り切れる」と似ています。人気が出れば出るほど、価値も上がるという現象です。
観光地のにぎわいが戻ってきた
コロナによる入国制限が緩和され、海外からの観光客が再び日本を訪れるようになりました。特に京都、沖縄、福岡などの観光都市では、ホテルや飲食店の建設ラッシュが起きています。
ホテルが建てられるということは、その土地にたくさんの人が集まるということ。結果として、その土地の価値が上がるという流れになります。
産業の活性化と工場の進出
たとえば、熊本県菊陽町にあるTSMC(台湾の半導体大手)の工場進出が代表的な事例です。こうした大規模工場の建設は、周辺に働く人の住宅需要を生み、商業施設やインフラ整備も進みます。
つまり、ある企業の進出が「まち全体の価値」を底上げする力を持っているのです。
地価上昇を理解するための視点
確認したいポイント
- その土地で何が起きているのか(再開発、企業進出、イベントなど)
- 周辺の人口が増えているか、減っているか
- アクセスや交通の便は良くなっているか
- 商業施設や住宅の需要が伸びているか
例え話で整理する
「まちの人気」はテーマパークの人気に似ています。新しいアトラクションができると人が集まり、近くにホテルやレストランも増えて、まちはにぎやかになります。
同じように、地価も「人が集まるところ」「活動が増えているところ」で上がる傾向にあるのです。
まとめ
地価の上昇には、景気の回復や金融政策、観光の復活、企業の進出など、さまざまな要因が組み合わさっています。これらは単体ではなく、地域の中で連鎖的に作用しながら、土地の価値に影響を与えています。
土地の価格を正しく読み取るには、数字だけでなく、その背後にある「地域の動き」や「人の流れ」に目を向けることが大切です。次の章では、こうした地価情報が不動産の取引や調査にどう活かされているのかを具体的に見ていきます。
地価公示は不動産の仕事でどう使える?
地価の動きや背景を学んできましたが、いよいよここからが実践的な活用のステージです。不動産の仕事において、地価公示は「数字の参考」だけでなく「根拠のある判断材料」としてとても役立ちます。
そもそも「地価公示」とは何かを振り返る
地価公示とは、国土交通省が毎年発表している「1月1日時点の標準的な土地の価格」のことです。土地鑑定委員会が全国約2万6000地点を調査し、1平方メートルあたりの価格を評価・公表しています。
根拠条文は「地価公示法第2条」に定められており、公示価格は公共事業における用地買収や、民間取引の目安として使われています。
仕事で使う場面を具体的にイメージする
実際の業務の中で、地価公示が登場する場面は意外と多くあります。ここでは、新卒社員が現場で遭遇しそうな場面を想定しながら、どんなふうに地価公示を活用できるかを整理してみましょう。
主な活用場面
活用シーン | 活かし方 |
価格査定 | 売却希望物件の価格設定において、近隣の地価公示価格を参考にすることで根拠ある提案ができる。 |
エリア分析 | 地域の地価推移を時系列で比較することで、今後の成長性やリスクを見極めやすくなる。 |
顧客対応 | お客様から「この地域って今どうなの?」と聞かれた際に、数字をもとに説明できる。 |
資料作成 | 投資家や企業に向けた提案書に地価公示データを引用すれば、説得力のある資料になる。 |
開発判断 | 再開発予定エリアや駅前整備地区の価格動向をチェックして、土地取得の判断材料にする。 |
例え話で理解する「地価公示の役割」
たとえば、不動産の価格を決める場面を「りんごの値段を決める市場」と考えてみましょう。近くのスーパーでは1個100円、少し離れた市場では80円。でも、その差に悩んだとき、国が発表する「りんごの基準価格」があれば安心して判断できます。
この基準があることで、買う人も売る人も「おかしな値段になっていないか」を見極められるのです。地価公示は、まさにその「公正な目安」を与えてくれる役割を担っています。
現場でどうやって調べるのか
実際の地価公示の価格は、インターネットで誰でも調べることができます。以下のページから、地点ごとのデータが確認可能です。
検索は都道府県、市区町村、用途別などで絞り込みができ、地図上で確認も可能です。営業前の準備や、物件調査の下調べに非常に便利なツールです。
社内で評価される使い方とは?
たとえば、お客様から「この土地、高くないですか?」と聞かれたときに、慌てず次のように説明できると、信頼につながります。
「こちらのエリアは、昨年の地価公示で1平方メートルあたり14万円台でした。今年も上昇傾向にあるため、適正な価格といえます」
このように、地価公示はただの数字ではなく、根拠ある判断を下すための土台になります。
まとめ
地価公示は、物件の価格査定から提案資料の作成、将来性の分析まで、さまざまな場面で役立ちます。特に経験の浅い段階では、頼れる「比較の軸」として活用することで、自信をもって提案や説明ができるようになります。
次章では、今回の地価公示の発表からどんな全体的な傾向が見えてきたのかを振り返り、まとめていきます。
おわりに 地価は毎年チェックしよう
これまで、地価公示のしくみや地価の動き、その背景や実務での使い方について見てきました。最後にもう一度、「なぜ地価を毎年チェックすることが大切なのか」について整理しておきましょう。
地価は変化する「生きた情報」
土地の価格は、一度決まれば永遠にそのままというものではありません。社会の動きや経済の変化、まちづくりの計画などによって、少しずつ上がったり下がったりします。
たとえば、今は静かな住宅街でも、数年後に新駅やショッピングモールの計画が進めば、一気に注目エリアに変わる可能性があります。逆に、人口減少や施設の撤退などで価値が下がることもあります。
こうした「土地の現在地」をつかむために、毎年3月に発表される地価公示はとても役立ちます。
なぜ毎年確認が必要なのか
理由 | 具体的な内容 |
価格の変化を見逃さないため | 前年と比べて上がったか下がったかを確認でき、エリアごとの傾向がつかめます。 |
タイムリーな提案ができる | 直近の地価動向をもとに、お客様へ根拠ある説明や資料提供が可能になります。 |
まちの変化を予測できる | 地価の上昇は地域の活性化や再開発のサインになることがあり、先を読む手がかりになります。 |
行動イメージ
たとえば、新しく担当する地域が決まったとき、そのエリアの地価公示をすぐに確認することで、下記のような情報整理ができます。
- 過去3年の価格の推移はどうなっているか
- 周辺に商業施設や再開発の予定があるか
- 住宅地と商業地の価格差にどんな傾向があるか
こうした情報をもとに、「最近、このあたりは地価が伸びていますね。理由としては~」と説明ができれば、お客様からの信頼にもつながります。
数字を味方につけるということ
不動産の仕事は、感覚だけでなく数字の裏づけが大切です。地価公示のような公的なデータを活用することで、営業トークや提案の説得力がぐんと上がります。
料理に例えるなら、地価公示は「分量を測る計量カップ」のような存在です。目分量ではなく、しっかり数値を確認することで、失敗のない提案や説明ができるようになります。
最後に
毎年3月に発表される地価公示は、不動産業に携わる人にとっての「年に一度の重要情報」です。1年のはじまりにあたる1月1日時点の価格が公表されるので、毎年欠かさずチェックすることで、土地を見る目が少しずつ養われていきます。
「地価を知ること」は、「まちの未来を読む力」につながります。不動産のプロとしての第一歩として、まずは数字と親しむことから始めてみてください。