まちづくり三法 ── 立地・運営・支援の三層

この記事の要点
  • 三法は役割が違う。立地・運営・支援の三層に分かれる
  • 大店立地法は出店の可否を判断する法律ではない
  • 平成18年の改正で、郊外への大型店の立地が絞られた
  • 実務では用途地域と特別用途地区を先に確認する

まちづくり三法とは、都市計画法・大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法の三つを指します。

目的も、働く場面も違います。まとめて呼ばれるため、混同されがちです。

この記事では、それぞれの役割と、実務での確認の順序を整理します。

三つの役割

立地・運営・支援
法律 決めること 誰が
都市計画法 どこに建てられるか 都道府県・市町村
大規模小売店舗立地法 周辺への影響をどう抑えるか 都道府県・政令市
中心市街地活性化法 中心部をどう支援するか 市町村・国

順番があります。

  1. まず都市計画法で、その場所に建てられるかが決まる
  2. 建てられるなら、大店立地法で運営の条件を調整する
  3. 中心市街地活性化法は、別の場所(中心部)を支える仕組み

三つ目は、一つ目・二つ目と直接つながっていません。郊外を規制すると同時に中心部を支える、という組み合わせで働きます。

都市計画法 ── 立地を決める

大規模集客施設が建てられる用途地域

床面積が一定規模を超える大規模集客施設について、立地できる用途地域が限られています。

建てられる 建てられない
近隣商業地域 住居系の用途地域
商業地域 工業地域・工業専用地域
準工業地域 用途地域の定めのない区域

三つの用途地域に限られます。「商業地域や準工業地域」という説明は、近隣商業地域が抜けています。

それ以外の場所に建てるには、用途地域の変更、地区計画、開発整備促進区といった都市計画の手続きが必要です。

準工業地域の扱い

中心市街地活性化法の基本計画について認定を受けようとする市町村では、準工業地域にも制限をかけることが求められます。

  • 特別用途地区を定め、条例で大規模集客施設を制限する
  • これがないと、認定を受けにくくなる

したがって、準工業地域だからといって当然に建てられるわけではありません。

その市町村が特別用途地区を定めているかを、必ず確認してください。

大店立地法 ── 誤解の多い法律

出店の可否を判断する法律ではない

かつての大規模小売店舗法(大店法)は、中小小売業者の事業機会を確保することを目的としていました。

現在の大店立地法は、目的が違います。

旧・大店法 現・大店立地法
目的 中小小売業の保護 周辺の生活環境の保持
調整するもの 店舗面積、営業時間 交通、騒音、廃棄物
競合への配慮 あった 考慮しない

「近くに競合店ができるから反対」という意見は、この法律では扱えません。

審査されるのは、駐車場の台数、出入口の位置、荷捌きの時間帯、騒音、ごみの保管といった事項です。

手続きの流れ

内容
新設の届出 都道府県・政令市へ
公告・縦覧
説明会の開催 設置者が行う
住民等の意見提出
市町村の意見
都道府県等の意見。必要なら勧告
届出から一定期間の経過後、開店できる

届出から開店まで、相応の期間がかかります。

事業の工程に織り込んでください。変更する場合も、内容によって届出が要ります。

中心市街地活性化法 ── 支える側

郊外を規制するだけでは、中心部は戻りません。そこで支援の仕組みが用意されています。

内容
基本計画 市町村が作成し、内閣総理大臣が認定する
中心市街地活性化協議会 商工会議所・まちづくり会社などで組織
支援 補助、税制、金融、規制の特例
認定を受けているかで、使える手段が変わる

基本計画の認定を受けている市町村では、次のような支援が使えます。

  • 市街地の整備改善に関する事業への補助
  • 商業の活性化に関する事業への支援
  • 都市福利施設の整備
  • まちなか居住の推進
  • 公共交通の利便増進

認定の有無と、その区域を確認してください。

区域の内外で、使える補助制度が違います。

認定の状況は変わります。最新の情報は、市町村と内閣府の資料で確認してください。

なぜ改正されたか

最初の三法では、止まらなかった

平成10年前後に整備された当初の三法は、郊外への大型店の立地を止められませんでした。

起きたこと 結果
郊外に大型店が集中 車で行ける人だけが客になる
中心部の商店が減少 シャッターが並ぶ
公共施設も郊外へ 病院、市役所の支所、学校
中心部の居住人口も減少 買う人がいなくなる
車に乗れない人 生活が成り立たなくなる

平成18年の改正で、立地の規制が強められました。

大規模集客施設の立地できる用途地域を絞り、準工業地域にも制限をかける仕組みを設けたのがこのときです。

あわせて、中心市街地活性化法も選択と集中の方向に改められました。すべての市町村に薄く配るのではなく、認定を受けた計画に集中的に支援する形です。

実務での確認

確認するもの
用途地域 三つの用途地域に該当するか
特別用途地区の指定と条例
地区計画・開発整備促進区の有無
床面積が大店立地法の対象規模か
届出から開店までの期間
中心市街地活性化基本計画の認定と区域
駐車場の附置義務(条例)
接道・交通処理
立地の可否が先、運営条件は後

順序を間違えないでください。

大店立地法の届出を検討する段階では、すでに都市計画法上の立地が可能であることが前提です。

用途地域を確認せずに計画を進め、後から建てられないと分かることがあります。

用途地域の変更や地区計画の決定には、都市計画の手続きが必要で、年単位の時間がかかります。

説明の仕方

避けるべき言い方 適切な言い方
「商業地域なら大型店を建てられます」 「用途地域と規模を確認します。特別用途地区の有無も見ます」
「大店立地法の許可が要ります」 「届出です。許可制ではありません」
「競合が反対すれば止まります」 「大店立地法は競合への影響を考慮しません」
「中心市街地なので補助が出ます」 「基本計画の認定と区域を確認します」
まちづくり三法に関する確認
  • 用途地域を確認した近隣商業・商業・準工業
  • 特別用途地区の指定と条例を確認した
  • 地区計画・開発整備促進区を確認した
  • 床面積が大店立地法の対象規模か確認した
  • 届出から開店までの期間を工程に入れた
  • 説明会の開催義務を確認した
  • 中心市街地活性化基本計画の認定を確認した
  • その区域の内外を確認した
  • 駐車場の附置義務を確認した
  • 「大店立地法は許可制ではない」ことを踏まえた
  • 競合への影響が審査対象でないことを踏まえた
  • 立地の可否を、運営条件より先に確認した

まとめ

  • 三法は立地・運営・支援の三層。役割が違う。
  • 大規模集客施設が建てられるのは、近隣商業・商業・準工業の三つ。
  • 準工業地域は、特別用途地区で制限されていることがある。
  • 大店立地法は届出制で、目的は生活環境の保持。競合への影響は扱わない。
  • 立地の可否が先。用途地域を確認せずに計画を進めない。
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