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不動産投資

不動産投資の魅力を引き出すDCF法と割引率の考え方

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1. 不動産投資の基本と収益性を測る指標の重要性

不動産投資とは?

不動産投資とは、土地や建物を購入し、その物件を運営することで収益を得る方法です。収益は主に賃料や売却益から生まれ、投資家にとっては安定した収入の源となります。例えて言うなら、畑に種をまき、育った野菜や果物を収穫して得られる収益が、賃貸物件の家賃収入や売却収入にあたります。農作物の成長が天候や土壌に左右されるように、不動産の収益も市場や物件の特性に影響されます。

収益性を評価する指標とは?

不動産投資において、収益性の高さを判断するための指標がいくつか存在します。この指標は、数値に基づいて物件のパフォーマンスを客観的に評価するためのツールとして役立ちます。不動産業初心者にもわかりやすいよう、代表的な指標について順を追って説明します。

1. グロス利回り(Gross Yield)

グロス利回りとは、物件から得られる年間の総収入を総投資額で割ったものです。これは、物件がどれだけの収益性をもつかを把握するための「簡単な指標」として利用されます。

計算方法
項目 内容
計算式 年間総収入 ÷ 総投資額
具体例 例:年間収入が1,000万円、総投資額が2億円の場合、グロス利回りは5%です

グロス利回りは、計算が非常にシンプルで、初心者でも利用しやすい指標です。しかし、建物の管理費や修繕費といった経費を考慮していないため、実際の収益とは異なる可能性がある点に注意が必要です。

2. 営業純収益(NOI:Net Operating Income)

NOIとは、総収入から維持管理にかかる費用を差し引いた金額で、物件が本来どれだけの利益を生み出す力があるかを示します。

NOIの構成要素
項目 説明
総収入(GI) 物件の賃貸収入、駐車場収入、共益費などの収入
総費用 維持管理費、修繕費、水道光熱費、公租公課(税金)など
NOIの計算方法
計算式 NOI = 総収入(GI) – 総費用
賃貸収入が1,200万円、総費用が300万円の場合、NOIは900万円です

NOIは物件が経常的に生み出す利益であり、その物件の基本的な収益力を示します。農作物で例えると、収穫後に出荷費用を差し引いた最終的な売上金額がNOIにあたります。

3. 純キャッシュフロー(NCF: Net Cash Flow)

純キャッシュフロー(NCF)は、NOIからさらに修繕費や資本的支出(CAPEX)などを差し引いた金額で、最終的に投資家の手元に残る現金を意味します。

NCFの計算方法
計算式 NCF = NOI – 資本的支出(CAPEX) – 仲介手数料など

NCFは、実際に手元に残る現金収入を示しており、物件の現実的な収益性を評価するために欠かせない指標です。畑の例に戻ると、収穫物を市場に出荷し、全ての経費を支払った後に手元に残る売上がNCFにあたります。

4. キャッシュフロー分析の重要性

不動産投資を検討する際、こうした指標をもとにして客観的に判断することが大切です。グロス利回り、NOI、NCFの指標を使うことで、物件の表面的な収益性だけでなく、実際の手取り額や安定性までを把握できるようになります。投資の成否を見極めるには、どの指標を使うかを目的に合わせて選び、数値の信ぴょう性や一貫性を確かめることがポイントです。

2. 不動産投資の収益性を判断するための基本の指標

グロス利回り

不動産投資における収益性を手軽に把握するために「グロス利回り」という指標がよく使われます。これは、その物件が毎年どれくらいの収入を生み出すかを「総投資額」に対して比率で示したものです。わかりやすい指標ですが、管理費などの費用を含めずに計算するため、実際の収益率とは異なることもあります。

グロス利回りの計算方法

グロス利回りは、年間の総収入を物件の購入費用などの総投資額で割って計算します。

項目 内容
計算式 年間総収入 ÷ 総投資額
例えば、年間の賃料収入が1,000万円、物件の総投資額が2億円なら、グロス利回りは5%となります

メリットと注意点

グロス利回りの大きな特徴は「シンプルさ」です。算出に必要な情報も少ないため、物件同士の比較がしやすい利点があります。しかし、管理費や修繕費などの運用経費が含まれないため、実際の収益力を正確には反映しません。具体的な費用を無視しているため、表面的な収益性の目安として活用するのが良いでしょう。

NOI(営業純収益)

NOI(Net Operating Income:営業純収益)は、物件が実際にどれだけのキャッシュフローを生み出しているかを示す指標であり、実際の収益性をより正確に把握するのに適しています。これは、物件の賃貸収入から運営にかかる費用を差し引いた金額です。

NOIの計算方法

NOIは物件の総収入から維持管理費や修繕費などの運営費用を引いて算出します。収益性の実態に近い指標と言えるでしょう。

項目 内容
計算式 NOI = 総収入 – 運営費用
年間の賃料収入が1,200万円、運営費用が300万円の場合、NOIは900万円になります

NOIが示すもの

NOIは、物件がどれほどの安定した収益を生み出せるかを示す、経常的な利益の指標です。この指標によって、物件の収益力が一目でわかるため、物件が投資に適しているかを判断する際の基準となります。たとえば、収益性が高い物件ほどNOIの値も大きくなります。

グロス利回りとの違い

グロス利回りとNOIの違いは、計算に運営費用を含むかどうかにあります。グロス利回りは単純な収益率を表し、NOIは実際のキャッシュフローを考慮しています。このため、投資家は両方の指標を見比べながら判断すると良いでしょう。例えば、グロス利回りが高くても、NOIが低ければ経費が多く実際の収益性は低い可能性があります。

グロス利回りとNOIの使い分け

グロス利回りは、物件の表面的な収益性を短時間で把握するのに便利な指標であり、複数の物件を大まかに比較する際にも役立ちます。一方、NOIは運営費用まで含んで収益を算出するため、物件の収益力をより正確に判断するのに向いています。物件の運用が順調に進むかどうか、より現実的な収益性を確認するにはNOIを使うのが効果的です。

このように、グロス利回りとNOIの両方を活用することで、物件の収益性の真の姿を把握することができ、投資判断をより的確に行うことが可能となります。

3. 純キャッシュフロー(NCF)とCAPEX(資本的支出)の考え方

NCF(純キャッシュフロー)とは?

純キャッシュフロー(NCF)は、物件が実際に生み出す「手取り額」として非常に重要な指標です。NOI(営業純収益)から大規模修繕や設備交換などの将来発生する支出を差し引いたもので、実際に投資家の手元に残る現金の額を示しています。NCFは、物件の運営から生み出されるキャッシュが最終的にどのくらいの収益をもたらすかを確認するためのもので、投資の収益性をより現実的に評価できます。

NCFの構成要素

NCFは、NOIからさらに以下の支出を差し引いて算出されます。

項目 説明
資本的支出(CAPEX) 建物や設備の耐用年数を延ばすための修繕・改良費用
仲介手数料 物件の賃貸や売却に際して支払う仲介料
原状回復費用 テナント退去後の原状回復にかかる費用

NCFが重要な理由

NCFは、物件の運営から最終的にどれくらいのキャッシュフローが残るかを示し、投資物件の実質的な収益力を評価するのに役立ちます。NOIと異なり、NCFはすべての支出を考慮した最終的な利益を表すため、より正確な収益性の判断材料となります。

CAPEX(資本的支出)とは?

CAPEXは「資本的支出」のことで、不動産の維持管理や価値向上のために必要な大規模な修繕や改良費用を指します。通常、建物の寿命を延ばしたり価値を高めたりするために行うもので、経費として一度に処理するのではなく、一定期間での費用配分が行われます。

CAPEXの具体例

項目 説明
耐震工事 建物の構造を補強し、地震に耐える力を高める工事
屋根や外壁の補修 雨漏りや劣化を防ぐための屋根・外壁の修繕
空調や給排水設備の更新 長期間使用する設備の取り替えや修繕

CAPEXの特性

CAPEXは、NOIの計算には含まれません。NOIが物件の経常的な収益を示すのに対し、CAPEXは建物の価値や使用寿命を維持・向上させるための支出であり、不動産の「資産価値」に直接影響します。

NOIとNCF、CAPEXの関係

物件が安定したキャッシュフローを生み出すかどうかは、NOIの計算である程度判断できます。しかし、実際の投資でのキャッシュフローを計算するためには、さらにCAPEXを考慮する必要があります。例えば、定期的な大規模修繕が発生する物件であれば、NOIが高くてもNCFが低い可能性があります。つまり、NOIだけでなくCAPEXを考慮することで、より現実的な収益が見えてきます。

実例で考えるNCFとCAPEX

たとえば、ある賃貸ビルが年間のNOIとして1,000万円の収益を上げているとします。このビルの老朽化に伴い、5年後には500万円の大規模修繕が必要になると予測されている場合、投資家はこの修繕費も考慮して収益性を評価する必要があります。NOIだけを見ると1,000万円の収益が期待されますが、NCFの観点で見ると、修繕費用を差し引いた額が投資の現実的な手取り収益となるため、計画段階でこれを見越しておくことが重要です。

CAPEXを考慮した投資判断

CAPEXを計画的に見越しておくことで、長期的な物件の収益性をより正確に予測できます。投資判断をする際には、NOIとCAPEXのバランスを確認することで、物件の真の収益力を把握できます。

まとめ

純キャッシュフロー(NCF)とCAPEXの視点を活用することで、物件の短期的な収益性だけでなく、長期的な運営コストも含めた収益力を客観的に判断できるようになります。不動産投資においては、これらの指標を組み合わせて見極めることが、収益性を最大化する鍵となります。

4. 賃貸事業損益と減価償却の役割

賃貸事業損益の計算

賃貸事業の利益を正確に計算するには、まずNOI(営業純収益)から「減価償却費」を差し引く必要があります。減価償却費とは、建物や設備などの資産の価値が使用と共に徐々に減少する分を見積もった費用で、実際にはお金が出ていかない「経費」です。

減価償却費とは?

建物や設備は長い間使うほど、その価値が少しずつ減っていきます。たとえば、新しい家を建てたとしても、時間が経つと壁や床、設備が劣化していくことが分かります。この「価値の減少分」を年ごとに経費として計上するのが減価償却です。

減価償却が必要な理由

  • 建物などの固定資産は長期的に使用するため、最初に支払った費用を何年にも分けて経費化します。
  • こうすることで、毎年の収入に応じた実質的な経費を把握でき、収支のバランスが見やすくなります。

減価償却の具体例

項目 説明
購入費用 新築の建物を1,000万円で購入
耐用年数 20年
減価償却費 毎年50万円(1,000万円 ÷ 20年)

このように、1,000万円の建物は20年間使えると考えた場合、毎年50万円ずつ価値が減っていくとし、これを「減価償却費」として計上します。この50万円が減価償却費となり、実際のキャッシュフローには影響しないものの、帳簿上は経費として扱われます。

減価償却の重要性

減価償却は、賃貸物件の長期的な利益を計算する上で不可欠な経費ですが、実際に現金が出ていくわけではない「非現金支出」であることが特徴です。このため、キャッシュフローには影響せず、物件の持続的な利益を評価する際に活用されます。

キャッシュフローへの影響

減価償却費は、NOIやNCFのような実際の手取り額には直接関わりません。物件の価値の目減りを記録する目的であるため、手元に残る現金額には変化がないからです。

賃貸事業損益の把握における減価償却の役割

賃貸事業損益を正確に把握するためには、収入から減価償却費やその他の費用を引いて「事業の実際の損益」を計算します。NOIやNCFと異なり、賃貸事業損益には減価償却費が含まれるため、税引前の利益や企業の収益性を計る際に特に重要な指標です。

減価償却費の具体的な計算と注意点

  • 減価償却費は経費として認められるため、所得税の算定時に収益から差し引かれます。
  • これは、収益が減価償却費の分だけ少なく表示されるため、結果として税額が軽減される効果があります。
  • ただし、物件の実際の収益力を測る場合には、減価償却費を考慮せず、NOIやNCFを使うことが一般的です。

まとめ

減価償却費は、賃貸物件の価値が少しずつ減っていく分を費用として計上するもので、キャッシュフローには影響を与えませんが、賃貸事業損益の計算には必要不可欠です。不動産投資において減価償却の仕組みを理解することで、賃貸事業の真の収益性を把握する際の助けとなります。

5. 投資利回りとキャッシュフロー重視の投資分析

NOI利回りとNCF利回り

不動産投資の収益性を評価するために「NOI利回り」と「NCF利回り」が活用されます。これらは、投資した資金に対してどれだけのリターンがあるかを示す指標で、収益物件がどれほど効率よく収益を生み出しているかを知るための重要なツールです。

NOI利回りとは?

NOI利回りは、NOI(営業純収益)を投資額で割った数値で、物件が生み出すキャッシュフローの強さを示します。簡単に言えば、物件を運営することでどれくらいのリターンが得られるかを、日常の運営費用も含めて計算したものです。

NOI利回りの計算例
項目 内容
計算式 NOI利回り = NOI ÷ 投資額
例えば、NOIが500万円、投資額が1億円の場合、NOI利回りは5%となります。

NCF利回りとは?

NCF(純キャッシュフロー)利回りは、NCFを投資額で割ったものです。NCFにはNOIから資本的支出(CAPEX)なども差し引かれているため、投資の実質的な手取り額を基にした利回りと考えられます。NCF利回りを用いることで、物件の実際の手取り収益力がわかるため、現実的な収益評価が可能です。

NOI利回りとNCF利回りの違い

  • NOI利回りは、物件の運営収益力を表すため、運営コストを差し引いた利益を示します。
  • NCF利回りは、NOIからさらに資本的支出(長期修繕や設備更新費用)を考慮した利回りであり、手取り収益の実質的な利回りを表します。

キャッシュフロー重視の考え方

日本の不動産市場では、バブル崩壊後に「キャピタルゲイン(資産売却による利益)」重視から「キャッシュフロー(安定した収益)」重視の投資へとシフトしてきました。以前は土地の値上がりに期待する投資が中心でしたが、現在は物件の安定した運営から得られるキャッシュフローに基づいて収益性を判断する方法が主流です。

キャッシュフロー重視の背景

バブル期には、土地や建物の価格が年々上昇することが当然視されていました。この時期には、多少運営が赤字でも将来的な売却益(キャピタルゲイン)が大きな利益をもたらすという考え方が強くありました。しかし、バブル崩壊後は土地の価格が下落し、キャピタルゲインが期待しづらくなったことで、キャッシュフローを重視した投資分析が必要とされるようになりました。

DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)による収益評価

現在では、不動産投資の収益性を評価する方法として、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法が一般的です。DCF法は、将来の収益を「現在価値」に割り引いて計算する方法で、長期的なキャッシュフローの価値を現時点で評価する考え方です。

DCF法の仕組み

DCF法では、物件の投資保有期間中に得られる年間収益を予測し、それを「割引率」と呼ばれる一定の利率で割り引いて現在価値を計算します。この現在価値の合計が投資物件の「現在の価値」として算出されます。

DCF法の計算例
項目 内容
年間収益 年間収益500万円を5年間受け取ると仮定
割引率 10%
現在価値 各年の収益を10%で割り引き、5年分の合計が現在価値となります

キャッシュフロー重視のメリット

キャッシュフロー重視の投資分析をすることで、毎年の収益が安定しているかどうか、運営のリスクがどの程度かを見極めやすくなります。短期的な利益ではなく、長期的に安定した収益を見込める物件を選ぶことで、投資のリスクも軽減されます。

まとめ

NOI利回りやNCF利回りといった利回り指標を活用し、さらにDCF法によるキャッシュフロー重視の分析を組み合わせることで、不動産投資の収益性を精度高く評価できます。これにより、投資判断を現実的かつ安定したものにすることが可能です。

6. 投資の時期と収益を考慮するDCF法とNPV・IRRの活用

DCF法とは?

DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法は、不動産の将来収益を現在の価値に換算して評価する方法です。投資によって得られるキャッシュフロー(収益)を、現時点での価値として計算することで、投資の収益性を判断します。

DCF法が重視される理由

将来にわたる収益は、時間が経つとともに「時間価値」によって現在の価値と異なってきます。たとえば、1年後に手に入る100万円の価値は、今の100万円と比べて少し低くなります。これは、その100万円を今手にしていれば投資や利子で増やすことができるからです。

DCF法の基本的な考え方

  • 将来に得られるキャッシュフローを予測し、現在の価値に割り引いて計算します。
  • 割引率は、リスクや市場状況に応じて決定されます。一般的にリスクが高い投資ほど高い割引率が設定されます。
  • 最終的な価値を現在価値として合計し、それが投資額に見合うかを判断します。

割引率とは?

割引率は、将来の収益を現在の価値に換算するための利率です。リスクが大きいほど高い割引率を設定します。たとえば、安定している物件には低い割引率が適用され、リスクが高い物件には高い割引率を設定することで、より現実的な収益を見積もります。

NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)の活用

NPV(正味現在価値)とは?

NPVは、DCF法を用いて計算した将来のキャッシュフローの現在価値の合計から、投資額を引いた値です。NPVがプラスであれば投資として価値があり、マイナスであればその投資は期待収益を下回ると判断されます。

NPVの計算例
項目 内容
投資額 1億円
将来のキャッシュフロー 毎年の収益500万円を5年間と想定
割引率 10%
NPV 5年間のキャッシュフローの現在価値の合計 – 投資額(1億円)

上記の計算により、NPVが0以上であれば投資としての価値があると判断できます。

IRR(内部収益率)とは?

IRRは、NPVが0になるような割引率を示し、その投資がどれだけの収益率を生み出すかを表す指標です。IRRが期待する収益率を上回っていれば、その投資は収益性が高いといえます。

IRRの計算例

たとえば、ある物件に対して毎年500万円の収益が見込め、これを元にNPVを0にする割引率を求めた結果が8%であれば、IRRは8%ということになります。この8%が投資家の目標収益率(例えば6%)を超えるならば、投資として魅力があると判断できます。

NPVとIRRの使い分け

  • NPVは投資額に対して実際にプラスの収益が期待できるかを明確に示します。
  • IRRは収益率を比較するための指標として役立ちます。さまざまな投資案件の収益率を並べて、どの案件が最も効率的かを判断する材料となります。

DCF法を活用した投資判断の流れ

  1. 予測されるキャッシュフローを算出する
  2. 割引率を設定して現在価値を計算
  3. 現在価値の合計から投資額を引き、NPVを算出
  4. NPVがプラスであれば投資の価値があると判断
  5. さらにIRRを算出し、他の投資案件と収益率を比較する

まとめ

DCF法を基にしたNPVとIRRの分析は、不動産投資の収益性を判断する上で欠かせないツールです。NPVによって実際の収益性を判断し、IRRで収益率を把握することで、投資の魅力を具体的に評価できます。これにより、長期的かつ安定的な収益が見込める投資案件を選ぶ基準が明確になります。

7. 割引率の設定と不動産価値の評価

割引率の考え方

割引率とは、将来の収益を現在の価値に換算する際の利率です。これは不動産投資において非常に重要な指標で、将来の収益がどれだけ価値を持つかを判断する際に活用します。割引率の設定には、「リスクフリーレート(無リスク利回り)」と物件ごとの「固有リスク」を考慮することが必要です。

リスクフリーレート(無リスク利回り)とは?

リスクフリーレートとは、ほぼリスクがなく得られる利回りを指します。たとえば、国債の利回りが一般的な例です。国債は信頼度が高く、デフォルト(返済不能)リスクがほぼないため、国の利率はリスクフリーレートとみなされます。

物件ごとの固有リスク

不動産は、立地や建物の種類、老朽化の進行などにより収益が変わるリスクがあります。これを「不動産固有のリスク」といい、各物件ごとに異なります。例えば、都市部にある商業ビルと地方の賃貸マンションでは、リスクも収益も異なるため、それぞれに合った割引率を設定します。

割引率の設定方法

割引率を設定する際は、リスクフリーレートに物件固有のリスクを加味します。この考え方により、将来的なリターンを現時点で適切に評価することができます。

割引率の例
項目 内容
リスクフリーレート 国債などの無リスクの利回り
物件固有のリスク 立地やテナント状況、築年数によるリスク
割引率の計算例 リスクフリーレート(1%) + 固有リスク(4%) = 割引率(5%)

還元利回りとキャップレート

不動産投資の評価では「還元利回り」も活用されます。還元利回りとは、純収益を割引率で割って算出する利回りです。この還元利回りを基に計算された価格を「キャップレート」と呼び、不動産の収益性を測る指標として広く用いられます。

還元利回りの計算

  • キャップレート = 純収益 ÷ 取引価格
  • たとえば、年間純収益が500万円、物件の取引価格が1億円の場合、キャップレートは5%となります。

キャップレートの役割

キャップレートは、不動産の投資価値を評価する指標で、物件が持つ収益力に対してどれだけの価格で取引されるべきかを示します。キャップレートが高いほど収益性が高く、投資として魅力があるとされます。ただし、キャップレートが高い物件はリスクも高い場合が多いため、慎重な判断が求められます。

割引率とキャップレートの違い

  • 割引率は将来のキャッシュフローを現在価値に換算するための利率
  • キャップレートは物件の純収益を基に投資価値を測る利回り
  • 割引率が高いと現在価値が低くなり、キャップレートが高いと収益性が高いと評価されます

まとめ

割引率の設定とキャップレートの活用は、不動産投資の収益性評価において欠かせないプロセスです。リスクフリーレートと物件固有のリスクを組み合わせた割引率を設定し、キャップレートを基に収益性と投資価値を測ることで、物件の実際の投資価値がより正確に把握できます。

8. まとめ 不動産投資の判断基準とリスクの捉え方

リスクとリターンのバランス

不動産投資では「リスクとリターンのバランス」が重要です。リスクは投資結果が予測通りにならない可能性を指し、リターンは期待できる利益です。両者の関係はトレードオフの関係にあり、収益が高い投資はリスクも高く、逆にリスクが低ければリターンも控えめになる傾向があります。リスクとリターンのバランスをよく考え、計画的な判断が不可欠です。

リスクの具体例

  • 空室リスク 賃貸物件の場合、入居者がいないと収益が得られません
  • 経済的リスク 景気変動や金利の上昇で物件の収益が減少する可能性があります
  • 災害リスク 地震や洪水による建物への被害

キャッシュフローを見据えた投資判断

不動産投資では「キャッシュフロー」を中心に投資判断を行います。キャッシュフローとは、物件から得られる純収益のことで、安定した収益を生むかどうかを評価する指標になります。例えば、定期的な家賃収入がどのくらい確保されるか、また、将来的に大規模修繕が必要となるときにキャッシュフローがどの程度影響を受けるかを見ていきます。

キャッシュフローと投資判断

  • 予測される賃料収入が安定しているか確認します
  • 将来的に必要な修繕費用や維持管理費も考慮します
  • リターンがリスクを上回ると判断できる投資かどうかを検討します

判断基準としての指標

不動産投資では、NOI(Net Operating Income 営業純収益)NCF(Net Cash Flow 純キャッシュフロー)などの指標が用いられます。これらの指標は、物件が安定した収益を生み出すかどうかを示すもので、投資判断を行う際に非常に役立ちます。

指標の例

指標 説明
NOI 物件の営業利益から経費を差し引いたものです。物件の基礎的な収益力を示します
NCF NOIからさらに修繕費や仲介手数料などを引いたもので、実際に手元に残るお金を示します

将来を見据えたリスク管理

不動産投資は長期的なものであるため、長期的な収益を見据えてリスク管理を行います。キャッシュフローが安定している物件は、不測の事態が発生してもリスクに対処しやすく、また、収益も持続しやすいです。

リスク管理のポイント

  • 将来のキャッシュフローの変動を考慮します
  • 災害保険や保証契約などの活用でリスクを軽減します
  • 地域ごとの経済動向や人口推移をチェックし、将来的な価値を判断します

まとめ

不動産投資では、安定したキャッシュフローを重視し、リスクとリターンのバランスを踏まえた投資判断が求められます。将来の収益予測をしっかりと行い、適切なリスク管理を行うことで、長期的なリターンを安定させ、収益性の高い投資を目指すことができます。

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株式会社三成開発
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(般-5)第20080号

住所
〒862-0920
熊本県熊本市東区月出4丁目6-146

電話番号
096-213-7111

ファックス番号
096-213-7112

創業
2004年6月

保有資格
行政書士
宅地建物取引主任士
土地家屋調査士
ビル経営管理士
不動産コンサルティングマスター
マンション管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
2級土木施工管理技士
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