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不動産売買

契約不適合責任の免責は本当に有効か?不動産売買における法的視点からの検討

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Contents
  1. はじめに 契約書に書いてあるからといって、安心とは限らない
  2. 第2章 免責特約とはなにか 「責任を負わない」と書けば終わりではありません
  3. 第3章 免責が通らない!要注意のケース
  4. 第4章 じゃあ、どんな特約なら有効なの?
  5. 第5章 契約時に確認しておきたいポイント
  6. 第6章 買主の立場で注意すること
  7. 第7章 熊本での実情と、実務のリアル
  8. 第8章 まとめ。誠実な対応が、トラブルを防ぐ最大の鍵

はじめに 契約書に書いてあるからといって、安心とは限らない

不動産の売買契約が終わり、無事に鍵を引き渡したその数日後。買主から一本の電話が鳴ります。

「雨の日に室内に水が染みてきたんですけど……」

このような連絡を受けたとき、契約書に「現状有姿で引き渡す」「契約不適合責任は免責する」などと書かれていたとしても、それだけで売主側が責任を免れられるとは限りません。

不動産の契約は「約束を守る」という基本ルールのもとにある

たとえば、ケーキ屋さんで「いちごのショートケーキ」を注文したとします。しかし、渡されたのはチョコレートケーキでした。もちろん見た目は似ているかもしれませんが、「約束と違うものを渡された」という点で、これはトラブルになります。

不動産の売買もこれと同じです。契約のときに約束された内容と違うものが引き渡された場合、それが「契約不適合」となり、売主は責任を問われる可能性があります。

「契約不適合責任」と「免責特約」の関係を整理する

契約不適合責任(民法562条〜)とは、売買の目的物が「種類・品質・数量」のいずれかにおいて契約の内容に合っていない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。たとえば、雨漏りしていたり、床が傾いていたり、地中に埋設物があったりするケースが該当します。

用語 意味
契約不適合責任 契約内容に適合しない物件を引き渡した際の売主の責任(民法562条)
免責特約 売主がその責任を一部または全部免れるとする契約上の特別な取り決め
現状有姿 物件を「現在の状態のまま」引き渡すことに合意する条項

売主と買主が話し合って合意した内容で契約を結ぶこと自体は自由です。これを「契約自由の原則」といいます(民法521条)。そのため、契約書に免責条項が書かれていれば、原則として有効とされます。

しかし、免責条項にも限界があります。たとえば、売主が物件の欠陥を知っていたにもかかわらず、それを買主に説明しなかった場合は、民法572条により免責の主張は認められません。

なぜこの知識が必要なのか

新人の営業担当者にとって、契約書に書いてある条文の意味を正しく理解することはとても重要です。とくに「免責」と書かれている部分については、単に「責任を負わない」と読むのではなく、
「どこまでなら免責が通るのか」「法律上は何が許されていないのか」という観点を持つことが求められます。

仮にお客様から何か問題が報告された際、ただ「契約に書いてありますので」と返すのではなく、その背景にある法律のルールや判例を踏まえたうえで対応することが、プロとしての信頼にもつながります。

これから学ぶこと

本記事では、契約不適合責任の基本的な考え方から、実務における免責特約の扱い方、法的な制限、そして実際の裁判例などをもとにした具体的なケーススタディまで、順を追って詳しく解説していきます。

一つひとつの内容を理解することで、実際の業務で「契約書に何が書かれているか」だけでなく、「その文言が本当に有効かどうか」「トラブルが起きたときにどう対応すべきか」を判断する力が身についていきます。

読み進めるにあたってのポイント

ポイント 具体的な内容
用語を丁寧に解説 難しい言葉にはかならず注釈を加えて、理解しやすくしています
事例を交えて解説 実際の裁判例やトラブル例を物語調で紹介し、イメージしやすくします
法律の根拠を記載 民法や特別法の条文・判例を明示し、信頼できる情報に基づいています

次の章からは、契約不適合責任の中身を一つずつ確認していきます。まずは「契約内容に合っていない」とはどういうことか、その判断基準から丁寧に解説していきます。

第2章 免責特約とはなにか 「責任を負わない」と書けば終わりではありません

前の章では、「契約不適合責任」という考え方について整理しました。今回は、その責任を「負わない」とするための特約、いわゆる「免責特約」について詳しく見ていきます。不動産の売買契約ではよく登場する言葉ですが、ただ書いてあるだけでは効力が認められない場合もあるため、正しい理解が重要です。

「免責特約」ってどんなもの?

免責特約とは、売主が「契約不適合責任を負いません」と契約書に明記することで、責任を免れることを目的とした条項です。たとえば、以下のような文言がよく使われます。

契約書によくある免責条項
本物件は現状有姿で引き渡すものとし、売主は契約不適合責任を一切負わないものとする

このように書かれていると、「責任を問われなくて済む」と思いがちですが、実はこの条文にも限界があります。

魔法の言葉ではない理由

契約自由の原則が前提

民法では「契約自由の原則」が認められており、当事者が自由に契約内容を決めてよいとされています。しかし、その自由には限界があります。免責条項も、内容や背景によっては無効とされる可能性があるのです。

信義則違反になる場合も

たとえば、売主が重大な欠陥を知りながら黙っていた場合や、買主が素人であることを前提に不利益な内容を押しつけたようなケースでは、免責条項は無効とされることがあります。これは民法1条2項の「信義誠実の原則」に反するためです。

プロの売主には厳しい制限

不動産業者が売主の場合、一般消費者に対して一方的に責任を免れることは難しくなります。これは宅地建物取引業法でも保護されている考え方です。たとえば、宅建業者が売主となり、個人が買主となる契約では、契約不適合責任を免責する条項は原則として無効になります(宅建業法40条)。

たとえ話でイメージしよう

たとえば、コップにヒビが入っているのに「これは問題ありませんよ」と言われて買った場合を考えてみてください。あとで水を入れたら漏れてしまいました。「ヒビがあると知っていたら買わなかったのに」と思いますよね。たとえ売主が「現状のまま引き渡す」と言っていたとしても、明らかに説明不足であれば、責任を逃れることはできません。

裁判例から学ぶ実務上のポイント

裁判例 判断内容
東京地裁平成30年3月28日判決 売買契約書に免責条項があったが、売主が床下の浸水歴を説明していなかったため、責任を認めた
大阪地裁令和2年9月10日判決 リフォーム済み住宅に雨漏りが発生。免責条項はあったが、売主が瑕疵を認識していたため無効と判断された

免責特約を有効にするために注意すべきこと

買主に十分な説明を行う

説明が不十分であれば、免責条項の有効性は疑われます。契約前の重要事項説明で、リスクや現況について丁寧に伝える必要があります。

契約内容を明確にする

曖昧な表現や一方的な免責ではなく、具体的な条件や現況を記載することで、トラブル回避につながります。

写真や書面での記録を残す

口頭だけでの説明では後から証明できません。できるだけ書面に残し、買主にも確認の署名をもらうことが重要です。

まとめ

項目 内容
免責特約の意味 売主が契約不適合責任を免れるための条項
有効性の条件 契約の経緯、説明内容、相手の理解度などに左右される
無効とされる場合 重要事項の不告知、故意・重過失、信義則違反
条文根拠 民法562条から572条、民法1条2項、宅建業法40条

免責特約は便利な条項ではありますが、万能ではありません。契約書に記載するだけで終わりにせず、実際の説明内容や信頼関係をどう築いたかが問われます。次の章では、買主がどのようにして「修補」や「代金減額」を求められるのか、その具体的な手続きと交渉のポイントを整理していきます。

第3章 免責が通らない!要注意のケース

書いておけば大丈夫?そんなに甘くありません

契約書に「本物件は現状有姿で引き渡すものとし、契約不適合責任を一切負わない」と書かれていると、それだけで売主が責任を逃れられると思われがちです。しかし、実際の法律の運用では、こうした免責特約が必ず有効になるわけではありません。

免責特約が無効になる主なケース

ケース 概要 関連する法律
売主が不具合を知っていた、または知っていて当然だった 知らなかったでは通らない。調査を怠ったことも責任を問われる 民法572条(悪意・重過失)
買主が一般消費者だった 一方的な免責条項は消費者保護の観点から無効になることがある 消費者契約法 第8条
売主が宅建業者だった 宅建業法で最低限の責任期間が定められている 宅建業法 第40条

具体例で考える

たとえば、中古住宅を売却した際、地中にコンクリート片などの産業廃棄物が埋まっていたケースがありました。売主は「調べていないから知らなかった」と主張しましたが、裁判所は「調査しなかったこと自体が問題」と判断し、免責条項は無効とされました。

イメージしやすいようにたとえてみましょう

もし、スーパーで「このお弁当は見た目そのままで売ります」と書かれていても、実際に中にカビが生えていたら「見た目の問題じゃないでしょ」とクレームになります。不動産の免責も似ています。書いてあることよりも、中身の事実が重視されます。

知っておきたい重要ポイント

  • 契約書の文言だけで全責任が免除されるわけではない
  • 売主の知識や立場(業者かどうか)が判断の鍵になる
  • 買主が消費者であるかどうかでも大きく変わる
  • 「調査していない」こと自体が責任を問われる可能性がある

法的根拠のチェック

  • 民法第572条
    売主が目的物の契約不適合を知っていた、または重大な過失によって知らなかった場合、免責は認められません。
  • 消費者契約法第8条
    消費者にとって一方的に不利となる契約条項は無効とされることがあります。
  • 宅地建物取引業法第40条
    宅建業者が売主の場合、引渡しから2年間は契約不適合責任を免れることができません(特約が必要)。

まとめ

契約書に免責の記載があるからといって、すべての責任が消えるわけではありません。特に、売主が不動産業者であったり、買主が消費者である場合には、法律によって保護される側面があります。契約時には書面の文言だけに頼らず、取引の実態や説明義務を含めて注意深く確認することが求められます。

第4章 じゃあ、どんな特約なら有効なの?

「書けばなんでもOK」ではない契約の現実

契約書に記載する「特約」は、自由に決められるように見えても、実際には法律によって制限を受ける場面があります。特に、契約不適合責任の免除に関する特約については、その内容によって有効かどうかが判断されます。

有効な特約の作り方にはコツがあります

以下のように、条件を明確にすることで、有効性が認められる可能性が高くなります。

工夫のポイント 具体例
免責の範囲を限定する 雨漏り・シロアリ・主要構造部のみに限定して免責を設ける
通知期間を明記する 「引渡しから3か月以内に申し出があった場合に限る」など
買主に理解を促す工夫 重要事項説明書や契約書にわかりやすい文言で説明を記載

たとえ話で理解しよう

たとえば、遊園地のアトラクションに「心臓の弱い方はご遠慮ください」と書かれているとします。これは注意喚起にはなりますが、もし明らかに危険な構造が放置されていたとしたら、それは利用者の自己責任では済まされません。契約も同じで、どれだけ書いてあっても、根本的な不備や誠実さを欠く内容では通用しないのです。

売主の属性によっても違いがあります

宅建業者(不動産業者)である売主の場合

  • 契約不適合責任の免責には制限があります
  • 宅建業法第40条により、引渡しから2年間は責任を負う必要があります(特約があっても原則無効)

個人の売主(業者ではない)である場合

  • ある程度の免責特約は自由に設けることが可能です
  • ただし、民法572条により、知っていた欠陥を隠していた場合などは無効になります

実際に有効と認められた特約の一例

内容 「引渡し後3か月以内に申し出があった場合に限り、雨漏り・シロアリ被害・主要構造部の不具合についてのみ売主が責任を負う」

このように、対象と期間を限定した上で、あらかじめ明確に合意した場合は、実務上も有効と判断されるケースが多くあります。

なぜここまで慎重に扱う必要があるのか

不動産は金額が大きく、生活の基盤となるため、一般の消費者が買主である場合には特に慎重な配慮が求められます。形式的にサインしただけの契約書ではなく、当事者間で丁寧に説明と合意がされていることが重要です。

ポイントを整理

  • 免責条項は内容によって有効にも無効にもなる
  • 有効にするには、範囲や条件を具体的に定めることが大切
  • 売主の立場(業者か否か)によって自由度が異なる
  • 法律で保護される範囲は限定されるため、誠実な対応が求められる

関連する法令

  • 民法572条
    売主が契約不適合の事実を知っていた、または重大な過失で知らなかった場合、免責特約は無効になります。
  • 宅地建物取引業法 第40条
    宅建業者が売主となる場合、引渡しから2年間は契約不適合責任を免れることができません(ただし特定の条件下で特約可)。

まとめ

有効な免責特約を作るには、あいまいな記述を避けて、具体的に何について・いつまで・どのように責任を取るかを明示することが大切です。そして売主の立場や買主の属性によっても法律の扱いが変わるため、取引前にきちんと確認しておく必要があります。信頼される取引を成立させるためにも、特約の内容には十分な配慮が求められます。

第5章 契約時に確認しておきたいポイント

契約書を読む前に「なにを見るか」を決めておく

契約書というと難しそうに感じますが、重要なのは「どこを見るべきか」を知っておくことです。特に注意が必要なのが「免責条項」です。これは、「売主がある責任を負わないことにする約束ごと」を意味します。

よくある免責条項の記載例

「本物件は現状有姿で引き渡すものとし、契約不適合責任を一切負わない」

このような記載があった場合でも、内容が法律に反する場合や不適切なものは無効になります。

過去のトラブル履歴を聞いておく

契約前に売主に確認しておきたいのが、「この家にどんな過去があるか」という点です。たとえば、雨漏りの修理歴や白アリの被害歴などは、購入後の大きなトラブルにつながる可能性があります。

実務での確認例

  • 過去に雨漏りはありましたか?
  • その修理は誰が、いつ、どのように行いましたか?
  • 他に住んでいて気になったことはありませんでしたか?

情報は買主にも共有し、書面に明記する

確認した内容は必ず買主にも伝える必要があります。口頭だけの説明ではトラブルの元になります。買主が納得したうえで契約書に記載することで、後々の誤解を防げます。

たとえばこんな対応が必要です

売主から「10年前に雨漏りがあったけど修理済み」と聞いたら、
→ 契約書の特記事項に「10年前に雨漏りあり。修理済み」と明記します。

わからないことは一人で判断しない

契約内容に不明点やあいまいな表現があるときは、かならず上司や先輩、そして必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。間違った判断をすると、後々会社全体の信用問題に発展することもあります。

相談先の一例

  • 社内の契約書チェック担当者
  • 顧問弁護士
  • 不動産適正取引推進機構などの公的相談窓口

まとめ

確認項目 対応方法
免責条項 文言を丁寧に読み、不明点は相談
過去のトラブル履歴 ヒアリングと書面明記
不明点への対応 上司や専門家に必ず相談

根拠法令

  • 民法第562条「契約不適合責任に関する規定」
  • 宅地建物取引業法第35条「重要事項の説明義務」
  • 消費者契約法第10条「不当条項の無効」

第6章 買主の立場で注意すること

免責特約があっても安心とは限りません

不動産売買契約では「現状有姿」「契約不適合責任を負わない」などの文言がよく使われますが、
これがあるからといって、すべての問題に対して買主が泣き寝入りする必要はありません。

たとえば、売主が物件の不具合を知っていたのに買主へ説明しなかった場合、たとえ免責特約があっても責任追及が可能です。

法律の根拠

  • 民法第572条 → 売主が契約不適合を知っていた場合、特約が無効になる可能性があります。
  • 消費者契約法第8条 → 消費者に不利すぎる条項は無効とされる場合があります。

買主が確認すべきポイント

契約前に以下の点を確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

項目 具体的な確認内容
契約書の内容 免責条項や契約不適合責任に関する記載があるか。
現況説明書 雨漏りや設備の不具合、修繕履歴などがきちんと記載されているか。
売主への質問 「過去に雨漏りや白アリの被害はありますか?」などをヒアリング。
ホームインスペクション 専門家による建物診断を検討(費用は5〜10万円程度)。

例え話でイメージしよう

もし自転車を買うときに「ブレーキは利きません」と言われたら、あなたは納得して買いますか?
不動産も同じで、「ちゃんと止まる」「雨が入らない」といった“当たり前”の性能が期待されているのです。

たとえ「現状有姿」と書かれていても、それが「欠陥を隠してよい」という免罪符になるわけではありません。

実際の失敗例

ある買主は契約後、雨漏りを発見しました。契約書には「現状有姿」「契約不適合責任は負いません」とありましたが、
後に売主が雨漏りの過去を知っていたことが判明。買主は専門家に相談し、損害賠償を請求しました。

よくある誤解と正しい対応

誤解 正しい理解
免責って書いてあるから何があっても仕方ない 売主が事実を知っていたなら、免責は無効になることがあります
ホームインスペクションはお金がもったいない 購入後の高額修繕リスクを避けられる安心投資です

まとめ

  • 売主が事実を知っていて黙っていた場合、免責条項があっても責任を追及できます。
  • 契約書や現況説明書は必ず目を通し、不明点は質問しましょう。
  • 不安がある場合は、ホームインスペクションを利用して事前に物件の状態を確認するのがおすすめです。

第7章 熊本での実情と、実務のリアル

現場では「契約不適合責任免責」が一般的

熊本の不動産取引では、「契約不適合責任を免除します」とする特約、いわゆる「免責特約」が非常によく使われています。特に中古物件の取引ではほぼ標準といえるほど浸透しています。

理由としては以下のような点が挙げられます。

熊本で免責が多く使われる背景

理由 説明
古い建物が多い 築年数が経過しているため、売主がすべての不具合を把握していないことも多く、免責でリスク回避したい意向がある
業者による買取再販が活発 買取後にリフォームして再販する業者が多く、引き渡し後のトラブルを避けるため、免責条項を入れるのが通例

実際の契約現場ではどんなやり取りがある?

たとえば、熊本市内のある取引では、売主が「修理履歴があるが、現時点では問題ない」と説明し、契約書には「契約不適合責任は負わない」と記載されました。しかし、買主が引き渡し後に雨漏りを発見。ここで問題になるのは「売主がその事実を知っていたかどうか」です。

このとき重要なチェックポイント

  • 契約書に免責の文言があるかどうか
  • 告知書(物件状況報告書)に雨漏りの記載があるか
  • 売主が知っていたことを証明できる証拠(修理見積やメール等)があるか

相談先を知っておくことも重要

契約後にトラブルが発生した場合、自分一人で悩まずに第三者に相談することが大切です。熊本では以下のような窓口が利用できます。

主な相談窓口

窓口 相談内容の例
熊本県宅地建物取引業協会 宅建業者との取引に関するトラブルや相談
熊本県消費生活センター 不動産契約に関する消費者側の疑問や不安
司法書士・弁護士 損害賠償や契約解除など法律的な対応

まとめ

  • 熊本でも「免責特約」は一般的に使用されている
  • ただし、売主が事実を隠していた場合は免責されない可能性がある
  • 現地での実務では、契約内容の確認とヒアリングが欠かせない
  • 困ったら、必ず専門機関や専門家に相談する

第8章 まとめ。誠実な対応が、トラブルを防ぐ最大の鍵

大切なのは、誠実さと正確な情報共有

不動産の契約では、法律や特約を知っているだけでは十分ではありません。どれだけ契約書を整えても、実際のトラブルを防ぐには、売主と買主の双方が誠実に情報を共有し、お互いに納得した上で契約を結ぶことが重要です。

免責特約は万能ではありません

免責特約とは、売主が契約不適合責任を負わないという条件を契約書に記載するものです。しかし、民法572条では、売主が契約不適合を知りながらそれを買主に伝えなかった場合、その免責は無効とされています。また、消費者契約法や宅建業法によっても、特に不動産業者が売主である場合には免責の制限が強くなります。

免責特約の限界

  • 売主が事実を知りながら隠していた場合は無効(民法572条)
  • 消費者契約法で消費者保護が優先される
  • 宅建業者は契約不適合責任を免除する特約ができない(宅建業法40条)

契約前の行動がカギになります

トラブルを未然に防ぐには、契約前に以下の点を意識して行動することが求められます。

契約時に重要な3つのポイント

  • 伝える。売主からの情報を買主に正確に伝える
  • 調べる。過去の修繕履歴、瑕疵の可能性などを丁寧に確認する
  • 確認する。契約書、現況説明書、重要事項説明書の内容をしっかりチェックする

法律の知識は、信頼される営業への第一歩

契約不適合責任は、単なるルールではありません。取引の相手に対して「安心して取引ができる」という信頼を支える土台です。法的な根拠を理解した上で誠実な対応を行うことで、関係者全員にとって納得のいく取引が実現できます。

補足。用語解説

契約不適合責任 売買された物件が契約内容と異なる場合に、売主が負う責任。民法第562条~第566条に規定。
免責特約 売主が契約不適合責任を負わないとする合意条項。ただし一部は無効になる可能性あり。

まとめ

  • 契約不適合責任は、単に条文を理解するだけでなく、信頼関係の構築と直結するテーマです
  • 免責特約を使うときは、法律の制限や相手の理解をしっかり踏まえることが必要です
  • 日頃から「伝える」「調べる」「確認する」の3つを徹底することで、大きなトラブルは避けられます

誠実な対応と基本の確認こそが、不動産取引の最大の防御策になります。

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株式会社三成開発
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土地家屋調査士行政書士 村上事務所
社名
株式会社三成開発

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熊本県土地家屋調査士会登録番号
第1248号

熊本県行政書士会登録番号
第04431128号

一般建設業熊本県知事許可
(般-5)第20080号

住所
〒862-0920
熊本県熊本市東区月出4丁目6−146

創業
2004年6月

保有資格
行政書士
宅地建物取引主任士
土地家屋調査士
ビル経営管理士
不動産コンサルティングマスター
マンション管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
2級土木施工管理技士
測量士
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