地歴調査の教科書 ── 土壌汚染フェーズⅠの資料調査
掘る前に、資料で
分かることがある。
登記記録、旧土地台帳、閉鎖登記簿、航空写真、旧住宅地図、行政庁への照会。土に触れずに、その土地が何に使われてきたかを辿ります。資料調査は汚染の有無を証明するものではありません。どこまで確認でき、どこから先が分からないのか。それを資料の名前とともに記録する仕事です。
資料は、届く年代が違う。
一つの資料で全部は辿れません。新しい年代は写真と地図で、古い年代は台帳と登記簿で、そして裏取りは行政庁への照会で。層を分けて集め、最後に一本の年表へまとめます。
| 層 | 当たる資料 | そこで分かること |
|---|---|---|
| 一層目 | 航空写真・旧住宅地図 | 建物の形と屋号。目に見える形で年代を押さえる |
| 二層目 | 旧土地台帳・閉鎖登記簿 | 写真では届かない古い年代を、書面でさかのぼる |
| 三層目 | 行政庁への照会 | 一層目と二層目で挙がった疑いに、裏を取る |
どの層も、遡れる範囲に限りがあります。制度ができる前の年代は照会では埋まらず、写真の無い年代は書面で追うしかありません。報告書に書くのは、確認できた事実と、確認できなかった範囲の両方です。
地歴調査の体系。
各項目から、該当する記事にリンクしています。近い内容の記事には「参考」を付けました。資料調査は汚染の不存在を証明するものではありません。年度で動く数値は載せず、確かめるべき窓口を示すにとどめています。
制度いつ調査が要り、誰が担うのか
調査には、法が求めるものと、当事者が自分の判断のために行うものがあります。ここを取り違えると、頼む先ごと間違えます。
指定調査機関という枠
法が実施者を限っているのは、法が求める調査についてです。
資料の読み方どの資料に、どこまで当たれるか
問われるのは、資料の所在を知っていることと、書かれているものを読めることです。ここが仕事の中身にあたります。
地目の変遷
水面が消えた年、宅地が雑種地になった年。変換の時期そのものが情報です。
旧住宅地図
屋号に業種が入っています。登記に出ない借主の名前は、ここに出ます。
実務の落とし穴資料を集めたあとに、つまずくところ
資料がそろっても、読み違えれば報告書は使えません。落ちやすいところを三つ。
登記に出ない使用者
所有者がずっと同じでも、貸していれば別の者が使っています。
行政照会の読み方
「ありません」には、該当なしと保存年限経過と制度の対象外があります。
報告書の書き方
「汚染はない」とは書けません。書けるのは、調べた範囲と、その中で確認できたことです。
資料調査までを行います。
段階が分かれているので、担い手も分かれます。当方が行うのは、資料を集めて土地の履歴を組み立て、確認できたことと確認できなかったことを書き分けるところまでです。
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 行うこと | 登記記録・旧土地台帳・閉鎖登記簿の取得と読み取り/航空写真・旧住宅地図の収集/地形分類の確認/行政庁への照会/年表と報告書の作成 |
| 行わないこと | 土壌の採取と分析。浄化の設計と施工 |
| 受任しないもの | 法3条・4条・5条・16条に基づく法定の調査。指定調査機関に依頼していただきます |
| 対象の地域 | 熊本県内 |
土地の成り立ちごとに、どの資料から当たるか、どこで手が止まるかを類型として整理したものを、熊本の土地の成り立ちにまとめています。農地からの転用、工場や作業場の跡地、近世からの町場。ここでの資料の読み方を、実際の土地に当てる側の話です。
費用と期間は、対象地の筆数、遡る年代の幅、照会する先の数で変わります。一律の料金表は掲げていません。
土地の地歴調査、
お引き受けしています。
熊本県内の土地の地歴調査(土壌汚染フェーズⅠ)。法務局と市町村の窓口でしか確認できない資料を、現地で集めます。
株式会社地央(熊本市)が承っています。