都市公園法とパークマネジメント ── 作る段階から、使いこなす段階へ

この記事の要点
  • 都市公園は一度設けると廃止しにくい。土地の扱いにも制約がかかる
  • 公園施設の建築には面積の上限がある。特例で緩和される仕組みがある
  • 平成29年のPark-PFIにより、民間の投資を引き出す枠組みができた
  • いまの課題は作ることより、使いこなすことと維持すること

都市公園は、長く「整備する」対象でした。面積を確保し、数を増やすことが目標とされてきました。

いま、状況が変わっています。十分な面積が確保された一方で、老朽化した施設の更新と維持管理の費用が重くなっています。使われていない公園も少なくありません。

この記事では、都市公園法の仕組みと、管理をめぐる近年の動きを整理します。

都市公園の150年 ── 財源と管理の手法で読む
公園の歴史は、いかにして財源を確保し、公共空間を維持するかという課題との付き合い方の歴史でもある
時代
法的根拠
主な目的
財源と管理の手法
明治期
明治6年 太政官布達第16号
景勝地・社寺境内を
「万人偕楽ノ地」に
国の財源はなく、
園内の民間施設を含んだまま管理
戦前〜戦後
都市計画法、震災復興事業
防災拠点と
生活環境の改善
国と自治体による
公費の投入
20世紀後半
都市公園法(昭和31年)
量の拡大
(全国一律の整備)
公費負担の増大
維持管理の圧迫
現代
平成29年 都市公園法改正
質の向上と
ストックの有効活用
民間投資の誘導
官民連携による自立
出典:日本公園緑地協会「都市公園150年のあゆみ」、都市公園法より構成
図1 都市公園の150年 ── 財源と管理の手法

都市公園とは

都市公園法にいう都市公園は、地方公共団体または国が設置する公園・緑地のうち、一定のものを指します。

区分 内容
住区基幹公園 街区公園、近隣公園、地区公園
都市基幹公園 総合公園、運動公園
大規模公園 広域公園など
緩衝緑地等 特殊公園、緩衝緑地、都市緑地、緑道
「公園」と呼ばれていても、都市公園とは限らない

都市公園法の適用を受けるのは、同法に基づいて設置された公園です。

次のようなものは、名称に「公園」が付いていても都市公園ではありません。

  • 自然公園 自然公園法に基づく(国立公園、国定公園など)
  • 児童遊園 児童福祉法に基づくもの
  • 民間の公開空地 総合設計制度などによるもの
  • 神社の境内地、企業の緑地

根拠法が違えば、適用される規制も管理の仕組みも違います。調査の際は、どの法律に基づく公園かを確認してください。

公園という制度は、明治6年に始まった
明治6年(1873年)1月15日、太政官布達第16号
永ク萬人偕楽ノ地トシ公園ト可被相定
永く、国民がともに楽しむ「公園」として定めるべきこと
布達が対象としたもの
場所人の集まる地域にある
由緒ある景勝地、名所、旧跡
条件古くから人々が遊観の場とし、
国の所有または所管にあること
最初期の例上野恩賜公園、円山公園、
白山公園など
新たに土地を買って造ったのではなく、すでにあった場所を公園と定めるところから始まっている
図2 明治6年、公園という制度の始まり

設置と廃止

一度設けると、廃止しにくい

都市公園法には、公園の保存に関する規定があります。

公園管理者は、次のような場合を除き、都市公園の区域の全部または一部について都市公園を廃止してはならないとされています。

  • 都市計画事業により、公園に代わるべき公園が設置される場合
  • 公益上、特別の必要がある場合
  • 廃止される都市公園に代わるべき都市公園が設置される場合

公園として確保された空間を、簡単に他の用途に転用させないための規定です。

人口が減り、公園の利用が減った地域でも、単に「使われていないから廃止する」ということはできません。

都市計画公園と、そうでない公園

都市計画公園 都市計画によらない公園
位置づけ 都市計画で定められた都市施設 公園として設置されたもの
区域内の建築 都市計画法53条の建築制限がかかる
変更 都市計画の変更手続きが必要
計画決定だけで、まだ整備されていない区域がある

都市計画公園として決定されていても、まだ用地が取得されず、整備されていない区域があります。

この場合、その土地には都市計画法に基づく建築の制限がかかります。

  • 階数や構造に制限のある建築物しか建てられない
  • 許可が必要になる
  • 将来、事業により買収される可能性がある

長期にわたって未整備のまま残っている計画決定は、各地にあります。

調査の際は、都市計画図で公園の区域にかかっていないかを必ず確認してください。現地に公園がなくても、計画決定はされている場合があります。

災害と戦後復興が、公園を都市施設にした
「憩いの場」から「都市に必要なインフラ」へと、位置づけが変わっていく
1923年 関東大震災
避難地として、また延焼を防ぐ空地として、公園の役割が急に前に出た。復興事業では、小学校と組み合わせた小公園が数多く整備された
1956年 都市公園法
設置と管理の基準が、法律として全国に統一された。戦後復興と高度経済成長のなかで、公園の設置が本格的に進む
この時期に確立したのが、いまも続く「公費で作り、公費で維持する」という形量を増やすことが目標であり、増やせば増やすほど良いとされた
図3 災害と戦後復興が、位置づけを変えた

公園施設と建蔽率

都市公園の中に設けられる施設を公園施設といいます。

種類
園路・広場
修景施設 植栽、花壇、噴水
休養施設 ベンチ、休憩所
遊戯施設 ぶらんこ、すべり台
運動施設 野球場、体育館、プール
教養施設 植物園、動物園、野外劇場
便益施設 売店、飲食店、駐車場
管理施設 門、柵、管理事務所
建築面積には上限がある

公園施設として設ける建築物の面積には、都市公園の敷地面積に対する割合の上限が定められています。

公園が建物で埋まってしまわないようにするための規定です。

ただし、次のような場合には特例として緩和されます。

  • 屋根付きの運動施設
  • 景観や歴史的価値の観点から必要なもの
  • 後述する公募設置管理制度による施設

具体的な数値と特例の要件は、政令と、公園管理者の条例で定められています。計画を検討する際は必ず確認してください。

占用

公園施設以外のものを都市公園に設けるには、占用の許可が必要です。

占用の例 備考
電柱、電線、水道管、下水道管 公益的なもの
郵便差出箱、公衆電話所
広告塔、看板 要件が厳しい
仮設のもの 工事用施設、イベント用

占用できる物件の種類は法令で限定されています。何でも置けるわけではありません。

増やすことに成功した結果、支える力が細った
いまの課題は、量が足りないことではなく、増えた量を維持できないことにある
増えたもの
公園の数と面積。
整備された施設。目標は達成された
追いつかないもの
施設の老朽化への対応。
更新と維持管理の費用。予算は増えていない
起きること
一つあたりに
回せる額が減る。魅力が落ち、
使われなくなる
公費だけで支える形が、限界に近づいたここから、民間の投資をどう引き込むかという発想が出てくる。明治期に園内の営業を含んだまま管理していた形と、考え方の筋は通じている
公園を減らすという選択は取りにくい。廃止には法律上の制限があるためである
図4 公費だけで支える形の限界

管理の仕組み

指定管理者制度

地方自治法に基づき、公の施設の管理を民間事業者等に行わせる制度です。

内容
対象 管理運営の業務
期間 数年単位で更新されることが多い
課題 期間が短く、施設への投資を回収しにくい

管理はできても、事業者が資本を投じて施設を作ることは想定されていません。

Park-PFI(公募設置管理制度)

収益施設と、公園整備をセットにする

平成29年(2017年)の改正で創設された制度です。

民間事業者が公園内に収益施設を設置し、その収益を公園の整備に還元するという仕組みです。

内容
設置できるもの 飲食店、売店などの公募対象公園施設
併せて整備するもの 園路、広場など(特定公園施設)
設置管理の期間 指定管理者制度より長期に設定できる
建蔽率 特例により緩和される
占用物件 自転車駐車場など、一定のものが認められる

長期の期間を設定できることで、事業者が投資を回収できるようになりました。

公園管理者にとっては、財政負担を抑えながら公園を再整備できるという利点があります。

成立の条件

どこでも成り立つわけではない

Park-PFIは、収益施設が成り立つことが前提です。

したがって、次の条件が揃わないと事業者が集まりません。

  • 一定の利用者数が見込める 立地と規模
  • 周辺に競合が少ない、または需要が大きい
  • アクセスと駐車場の条件
  • 公園の魅力そのもの

人口が少ない地域の小規模な公園では、応募がないことがあります。

すべての公園に適用できる万能の手法ではありません。その公園の条件を踏まえて、手法を選ぶ必要があります。

民間の収益が、公共空間の整備に回る
平成29年(2017年)の都市公園法改正で創設された公募設置管理制度の考え方
民間事業者
公募に応じて選定される
収益施設を建てて運営
飲食店や売店など
(公募対象公園施設)
その収益を公園に回す
園路や広場を整備する
(特定公園施設)
公園管理者に引き渡す
整備された施設が
公園の資産になる
成り立たせるために置かれた条件
長い設置管理の期間投資を回収できるだけの
期間を設定できる
建蔽率の特例公募対象公園施設について
上限が緩和される
占用物件の追加自転車駐車場など
一定のものが認められる
具体的な期間と建蔽率の数値は、法令および公園管理者の条例による。計画の前に必ず確認する
図5 公募設置管理制度(Park-PFI)の流れ

そのほかの制度

制度 内容
立体都市公園 公園の区域を立体的に定める。建物の屋上等を公園にできる
保育所等の設置 一定の要件のもと、都市公園内に設置できる
都市公園リノベーション 老朽化した施設の更新と再編

いまの課題

作る段階から、使いこなす段階へ

従来 これから
面積を確保する 使われる公園にする
数を増やす 再編・統廃合を含めて考える
行政が管理する 民間・地域と分担する
画一的な整備 地域の事情に応じた使い方

維持管理の負担

施設の老朽化が進み、更新の時期が集中しています。

遊具、トイレ、照明、排水施設。いずれも安全に関わるため、放置できません。

限られた予算の中で、どの公園にどれだけかけるかの判断が求められています。

地域との関係

日常の清掃や草刈りを、自治会や地域の団体が担っている公園が多くあります。

高齢化により、この担い手の確保が難しくなっています。管理の仕組みを見直す必要がある地域が増えています。

実務での確認

場面 確認すること
土地を調査する 都市計画公園の区域にかかっていないか
同上 かかっている場合、建築制限の内容
公園に隣接する 日照、通行、騒音などの関係
公園を活用したい 公園施設か占用か、どの手続きか
事業を提案する Park-PFIの対象となりうるか

窓口は、公園管理者(市町村の公園緑地担当課など)です。都市計画公園の区域については、都市計画課でも確認できます。

公園に関する確認
  • その公園がどの法律に基づくものか確認した都市公園法か、自然公園法か
  • 都市計画公園の区域にかかっていないか確認した
  • (かかる場合)建築制限の内容を確認した
  • (かかる場合)事業の予定を確認した買収の可能性
  • 未整備の計画決定が残っていないか確認した
  • (公園を活用)公園施設か占用かを整理した
  • (公園を活用)建築面積の上限と特例を確認した
  • (Park-PFI)収益施設が成り立つ条件があるか検討した
  • (Park-PFI)設置管理の期間と投資の回収を確認した
  • 維持管理の担い手と費用を検討した

まとめ

  • 「公園」と呼ばれていても都市公園とは限らない。根拠法を確認する。
  • 都市公園は一度設けると廃止しにくい。保存に関する規定がある。
  • 都市計画公園の区域には建築制限がかかる。未整備でも計画決定は生きている。
  • Park-PFIにより、長期の期間を設定して民間の投資を引き出せるようになった。
  • ただし収益施設が成り立つ立地が前提。すべての公園には適用できない。
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