開発許可と建築確認 ── どちらが先か
- 開発許可が先、建築確認が後。順序は動かせない
- 建築の工事に入れるのは、原則として工事完了公告の後(37条)
- 建築確認は建物の安全を、開発許可は土地の基盤を見ている。審査するものが違う
- 市街化調整区域では、43条の建築許可が建築確認の前に来る
「確認申請はいつ出せばいいですか」
設計事務所からよく受ける質問です。答えは案件によりますが、順序そのものは決まっています。ここを取り違えると、工程が根本から崩れます。
二つの許可は、別のものを見ている
| 開発許可 | 建築確認 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 都市計画法29条 | 建築基準法6条 |
| 対象 | 土地の区画形質の変更 | 建築物 |
| 見るもの | 道路・排水・防災など基盤 | 構造・防火・避難など建物の安全 |
| 出す先 | 許可権者(県・市) | 建築主事または指定確認検査機関 |
審査するものが違うので、どちらかが済めばもう一方が省ける、という関係ではありません。両方が必要な案件では、両方を通ります。
順序は、なぜ決まっているか
都市計画法37条は、工事完了の公告があるまで、開発区域内に建築物を建ててはならないと定めています。
理由は単純です。道路も排水もまだ無い土地に建物が建ってしまえば、後から基盤を入れることはできません。基盤を先に、建物を後に。これが開発許可制度の骨格です。
例外として、工事用の仮設建築物や、知事等が支障がないと認めたものはあります。しかし原則は「公告の後」です。
確認申請は、いつ出せるか
ここで混同されやすいのが、「建てられない」ことと「申請できない」ことの違いです。
37条が禁じているのは、建築物を建てることです。ただし実務では、建築確認の審査の中で都市計画法への適合も確かめられます。開発許可を要する土地であれば、その許可の状況を示す資料を求められます。
どの段階で確認申請を受け付けてもらえるかは、確認検査機関や特定行政庁の運用によります。
「公告の写しが出てから」とする扱いもあれば、事前に相談したうえで審査を進められる場合もあります。工程を組む前に、実際に出す先へ確かめてください。
設計事務所と行政書士のあいだで、ここの認識がずれていることがあります。打合せの早い段階で揃えておく項目です。
市街化調整区域では、もう一段ある
調整区域では、建てること自体に許可が要ります。したがって順序はこうなります。
- 造成を伴う場合 ── 開発許可(29条)→ 工事 → 完了検査 → 工事完了公告 → 建築確認 → 着工
- 造成を伴わない場合 ── 建築許可(43条) → 建築確認 → 着工
- 開発許可済みの区域で、予定と違うものを建てる ── 42条の許可 → 建築確認 → 着工
いずれも、都市計画法の側が先です。建築確認だけを先に取ろうとしても、適合が確かめられません。
農地が絡むと、さらに前がある
農地に建てる場合、都市計画法の手前に農地法があります。全体の順序はこうなります。
- 農振除外(農用地区域内の場合)
- 農地転用(4条・5条)
- 開発許可、または43条の建築許可
- 工事完了公告
- 建築確認
- 着工
いちばん上が、いちばん時間がかかります。建築確認から逆算すると、半年から一年以上を見込むことになります。
よくある取り違え
| 取り違え | 実際 |
|---|---|
| 開発許可が下りたので着工できる | 造成の着工はできる。建物はまだ |
| 建築確認が下りたので建てられる | 開発区域内なら、公告が先 |
| 調整区域でも造成しなければ確認だけでよい | 43条の建築許可が要る |
| 農地転用が済めば建てられる | 都市計画法の手続きが残っている |
私たちが工程表を作るとき、まず置くのが工事完了公告の予定日です。
そこから前に、完了検査・造成工期・許可・審査・協議を並べる。そこから後ろに、建築確認・建物の工期・引渡しを並べる。公告の日が、工程全体の分水嶺になります。
この一本を関係者で共有しておくと、「いつ着工できるのか」という問答が起きなくなります。
- 開発許可が要る土地かどうか確かめた
- 市街化調整区域なら、43条・42条の要否を確かめた
- 農地なら、農振除外・農地転用の順序を確かめた
- 工事完了公告まで建物を建てられないことを、関係者と共有した
- 確認申請をどの段階で受け付けてもらえるか、出す先に確かめた
- 設計事務所と、順序の認識を揃えた
- 工程表に工事完了公告の予定日を置いた
- 公告の前後で、進められる作業を切り分けた
- 仮設建築物を置く必要があるなら、その扱いを確かめた
- 引渡しの時期から逆算した工程を、依頼者に示した
誰が、どちらを担うか
開発許可と建築確認は、担う人も分かれます。分担があいまいだと、「相手がやっていると思っていた」が起きます。
| 主に担うところ | |
|---|---|
| 開発許可の申請 | 行政書士・設計事務所 |
| 造成の設計 | 設計事務所(土木) |
| 建築確認の申請 | 設計事務所(建築) |
| 工程の統合 | 抜けやすい。誰が全体を見るか決めておく |
土木と建築で設計者が分かれる案件では、造成の高さと建物の基礎の関係が宙に浮きやすくなります。造成の設計が固まる前に、建物の配置と高さを共有しておきます。
造成と建築を、別の会社が施工する場合
造成会社が土地を仕上げ、ハウスメーカーが建てる。分譲地ではよくある形です。ここで曖昧になりやすいのが、次の点です。
- 敷地内の最終的な整地の高さ ── 誰がどこまで仕上げるか
- 宅地内の排水桝の位置 ── 建物の配置が決まらないと定まらない
- 引込みの管(上水・下水・ガス)の位置と口径
- 境界杭の管理 ── 建築工事でも飛びます
造成の完了検査は通ったが、建物を建てる段になって桝の位置が使えない——という手戻りは、この境目で起きます。
公告の前にできること、できないこと
| 公告の前 | |
|---|---|
| 建物の着工 | できない(原則) |
| 建築の設計 | できる |
| 上下水道の引込みの手配 | できる |
| 分譲地の広告 | 宅地建物取引業法の広告開始時期の制限に注意 |
| 売買契約 | 同じく制限がある |
下二つは、開発許可を受けた後でなければ広告も契約もできない、という趣旨の制限です。造成に着手する前に売り始める、ということはできません。
まとめ
- 開発許可が先、建築確認が後。都市計画法の側が常に前に来る
- 建築の工事に入れるのは、原則として工事完了公告の後(37条)
- 確認申請をどの段階で受け付けてもらえるかは、出す先の運用による
- 市街化調整区域では、43条または42条の許可が建築確認の前に入る
- 農地が絡むと、農振除外・農地転用がさらに手前に来る
