完了検査と工事完了公告 ── 建てられるようになるまで
- 造成が終わっても、すぐには建てられない。工事完了公告が出て、はじめて建築の制限が解ける
- 順序は完了届 → 完了検査 → 検査済証 → 公告
- 公告の日の翌日に、新しく造った道路や公園は市町村の管理に移る
- そのために用地の分筆と所有権移転登記が要る。ここが遅れると公告も遅れる
造成工事が終わりました。整地され、道路が入り、擁壁も立っている。ここから建物を建てられるまでに、まだいくつかの段階があります。
この区間を短く見積もると、引渡しの時期が狂います。実際には、測量と登記の作業が挟まるためです。
順序
| 段階 | 中身 |
|---|---|
| ① 工事完了の届出 | 工事が終わったことを許可権者に届け出る |
| ② 完了検査 | 許可の内容どおりに施工されているかを現地で確認する |
| ③ 検査済証の交付 | 技術基準に適合していることの証明 |
| ④ 工事完了公告 | ここで37条の建築制限が解ける |
| ⑤ 建築確認・着工 | 建物の工事に入れる |
都市計画法37条は、工事完了の公告があるまで、開発区域内に建築物を建ててはならないと定めています。
例外は、工事用の仮設建築物と、知事等が支障がないと認めたものなど。原則は「公告の後」です。
「許可が下りた」を建築のゴーサインと取り違えると、資金計画も引渡しも崩れます。
完了検査で見られるもの
検査は書類だけではありません。現地で、実際に測られます。
- 道路の幅員・勾配・舗装の構成
- 擁壁の高さ、位置、水抜き穴
- 排水施設の管径・勾配・桝の位置
- のり面の勾配と保護
- 公園・緑地の面積と位置
- 境界杭の設置
検査で指摘されると、手直しをして再検査です。その分だけ公告が遅れます。
そこで、施工の各段階で許可図書と現場を照らし合わせておきます。とくに排水の勾配と、擁壁の水抜き穴は、埋め戻してからでは直せません。
写真の記録も、段階ごとに残します。見えなくなる部分ほど大事です。
公共施設は、公告の日に移る
開発行為で新しく設置された道路、公園、水路などの公共施設は、原則として工事完了公告の日の翌日に、市町村の管理に属します。
これは、造った側が管理し続けなくてよくなる、ということです。ただし、そのためには前提があります。
市町村に管理を移すには、その用地が独立した筆になっていて、所有権が移転できる状態でなければなりません。
つまり、確定測量 → 分筆登記 → 所有権移転登記という作業が挟まります。これは数週間から、権利関係によっては数か月かかります。
工事が終わってから測量に取りかかると、その分だけ公告が遅れます。造成工事と並行して段取りしておくべき作業です。
公告までの間にできること
公告を待つ間、まったく動けないわけではありません。
- 建築確認の準備 ── 図面を整え、事前の相談を進めておく
- 分譲する場合の販売準備(ただし宅地建物取引業法上の広告開始時期の制限に注意)
- 上下水道の引込みの手配
- 近隣への完成の報告
建築確認そのものは、公告の後に受けるのが原則です。ここも工程表に正しく置いてください。
完了検査を通らないと、どうなるか
検査済証が交付されなければ、公告も出ません。公告が出なければ、建築の制限が解けないまま、土地だけがある状態が続きます。
この状態で土地を売ると、買主は建てられません。造成地の売買では、公告が出ているかどうかが決定的です。売る側も買う側も、ここを確かめずに契約しないことです。
工事完了公告は、都道府県や市の公報に掲載されます。また、開発登録簿にも公告の年月日が記載されます。
過去の造成地を扱うときは、開発登録簿を閲覧して、許可の内容と公告の有無を確かめるのが確実です。
公告の後に残ること
公告で建築の制限は解けますが、開発許可に関する制限がすべて消えるわけではありません。
- 42条 ── 予定建築物以外のものを建てるには、あらためて許可が要る
- 41条 ── 用途地域の定めがない土地で、建蔽率などの制限が付されている場合がある
- 公共施設の管理は移っても、宅地部分の擁壁やのり面は、所有者が維持する
「公告が出たので、あとは自由」ではありません。造成地を買うときは、その土地にどんな制限が付いているかを開発登録簿で確かめます。
- 工事完了公告まで建物を建てられないことを、関係者と共有した
- 確定測量・分筆登記・所有権移転登記を、造成工事と並行して段取りした
- 施工の各段階で、許可図書と現場を突き合わせた
- 排水の勾配と擁壁の水抜き穴を、埋め戻す前に確認した
- 見えなくなる部分の写真を残した
- 境界杭の設置を確認した
- 建築確認の準備を、公告を待つ間に進めた
- 広告開始時期の制限を確かめた
- 公告の年月日を記録した
- 42条・41条による制限が付いていないか確かめた
指摘されやすいところ
完了検査での指摘は、いくつかの型に集まります。事前に潰せるものばかりです。
| 指摘 | いつ手当てするか |
|---|---|
| 排水の勾配が足りない | 埋め戻す前。後からでは直せない |
| 桝の位置が図面とずれている | 設置時に図面と照合する |
| 擁壁の水抜き穴が不足・詰まり | 背面の埋戻し前に確認する |
| 道路の幅員が部分的に足りない | 縁石を据える前。舗装後の手直しは高い |
| 境界杭がない・動いている | 工事の前後で確認する。重機で飛ばすことが多い |
| 公園の面積・施設が計画と違う | 植栽や遊具まで図面どおりか |
| のり面の保護が未了 | 種子吹付けは、時期によって発芽を待つ |
指摘の重さは、直すのに何を壊す必要があるかで決まります。
舗装の下に埋まった管、擁壁の背面、埋め戻した桝——ここを直すには、上のものを壊すことになります。だから、埋まる前に、その都度写真と実測で残す。
施工会社に任せきりにせず、節目ごとに立ち会う。造成工事では、これが結果としていちばん安く済みます。
境界杭という、小さくない問題
造成工事では、重機が動きます。境界杭は、しばしば飛びます。
飛ばしたことに気づかないまま工事を終えると、完了検査で指摘されるだけでなく、隣地との境界そのものが分からなくなります。復元するには、また立会いが要ります。
- 着工前に、境界杭の位置と状態を写真に残す
- 工事中に保護する(養生、控え杭)
- 完了時に、あらためて確認する
分譲地では、区画ごとの境界杭も設置します。買主が最初に確かめるのが、この杭です。
公告が出るまでの、事務の段取り
完了検査に合格してから公告までの間に、事務の作業が挟まります。ここを工程表に書いていない現場が多いところです。
- 確定測量の成果の整理
- 公共施設用地の分筆登記
- 所有権移転登記(市町村への引渡し)
- 移管に伴う書類(引継書、施設の図面、管理の申し送り)
権利関係が単純であれば数週間ですが、共有地や相続未登記が絡むと、月単位で延びます。造成工事の着手と同時に、登記の段取りを始めておくべき理由です。
まとめ
- 造成が終わっても、工事完了公告が出るまで建物は建てられない
- 順序は、完了届 → 完了検査 → 検査済証 → 公告
- 公告の日の翌日に、新設の公共施設は市町村の管理に移る
- そのために分筆登記と所有権移転登記が必要で、造成と並行して段取りする
- 公告後も、42条・41条の制限が残ることがある
