CHIOU / 株式会社地央

新築戸建ての約5割が長期優良住宅に ── 所管行政庁の認定事務はどう変わるか

この記事の要点
  • 新築戸建ての着工戸数のうち、長期優良住宅の認定取得割合が約5割に達した(令和7年度末時点)
  • 認定を行うのは所管行政庁。新築戸建ての二棟に一棟が認定事務の対象になる計算
  • 令和7年4月の建築基準法令改正で壁量基準等が見直され、認定基準もこれに合わせて変更されている

何が起きたか

国土交通省は2026年7月17日、長期優良住宅の認定状況(令和7年度末時点)を公表しました。全国の所管行政庁の令和7年度の認定実績をとりまとめたものです。

発表によれば、新築戸建ての着工戸数に対する認定取得割合が約5割に達しました。この割合は令和4年度が29.3%、令和5年度が31.3%、令和6年度が39.3%と推移しており、6年連続の増加となります。

いつから、誰に効くか

今回の発表は統計の公表であり、新たな制度改正ではありません。ただし、長期優良住宅の認定基準そのものは令和7年4月1日から見直されたものが適用されています。建築基準法令の改正に伴う壁量基準等の見直しが、認定基準にも反映されたためです。

影響が及ぶのは、認定事務を担う所管行政庁(都道府県知事または市町村長)、住宅を設計・施工する事業者、そして認定住宅の売買に関わる不動産事業者です。

実務への影響

認定事務が「例外」から「標準」になった

制度が始まった平成21年当時、長期優良住宅は一部の高性能住宅に限られた制度でした。それが令和4年度に3割、令和6年度に約4割、そして今回約5割です。新築戸建ての二棟に一棟が認定申請の対象になっている計算になります。

所管行政庁の窓口では、認定申請が例外的な案件ではなく、通常業務として恒常的に発生する状態になっています。審査体制、処理期間、住宅性能評価機関との連携。件数の増加を前提とした運用の見直しが必要な段階に入ったといえます。

令和7年4月以降の申請は基準が違う

建築基準法令の改正に伴い、壁量基準等の見直しが令和7年4月1日から施行されています。長期使用構造等の基準もこれに合わせて変更されました。改正前の基準で作成された計画書がそのまま提出される可能性があるため、申請受付時の確認が必要です。

不動産の取引でも説明事項になる

長期優良住宅の認定を受けた住宅には、住宅ローン減税の借入限度額の優遇、登録免許税・不動産取得税・固定資産税の特例といった措置が適用されます。

認定住宅が新築戸建ての半数を占めるということは、中古市場に出てくる住宅にも、今後この属性を持つものが増えていくということです。認定の有無は物件の価値と税制上の扱いに関わるため、調査と説明の対象になります。

認定住宅を扱うときの確認事項

認定を受けた住宅は、維持保全計画に従った点検と記録の保存が義務づけられています。所有者が変わる場合、この義務も引き継がれます。認定計画実施者の地位の承継について、所管行政庁への申請が必要になる点は見落とされやすいところです。

何をすればよいか

  • 令和7年度の認定件数を、自庁の実績と照らし合わせる
  • 令和7年4月施行の基準変更が、申請書の確認項目に反映されているか点検する
  • 認定住宅の売買相談では、維持保全の記録と地位の承継の有無を確認する
  • 件数の増加を前提に、審査の処理期間と体制を見直す

出典

この分野の研修をお探しですか。

都市計画法から建築基準法、開発許可、区画整理まで全14分野。自治体の職員研修、専門職団体の講習会としてお引き受けしています。

都市計画実践講座を見る
PAGE TOP