工場が建つまでの大半は、
土地と制度の時間です。
候補地を三つ挙げてもらったが、そのうち二つは市街化調整区域の農用地区域だった。着工予定から逆算すると農振除外の手続きが間に合わない。──進出の相談で最も多いのが、この段階での躓きです。
土地は、地図の上では同じように見えます。違うのは、その土地にかかっている法律の層です。国土利用計画法が区分を与え、都市計画法が線を引き、農地法や建築基準法が個別に条件をつける。どの層で止まっているのかが分かれば、いつまでに何を動かせばよいかが決まります。
ここでは、その層を降りていく順に記事を並べました。すべて無料で読めます。
国土の縮尺から一筆の縮尺まで。進出の検討は、必ずこの順に降りてきます。飛ばした段は、あとで必ず戻ってくることになります。
どこに出るか
自治体が今後どこに人と機能を集めようとしているか。立地適正化計画と交通計画を先に読むと、地価だけでは見えない十年後が見えます。
その土地は使えるか
市街化調整区域か、農振農用地か。農振除外が必要なら、そこから年単位の時間が要ります。候補地選定と同時に確かめる項目です。
何の手続きが要るか
立地基準と技術基準のどちらで判断されるか。事前協議の段階で見通しが立つかどうかが、工程表の信頼度を決めます。
その土地は安全か
大型施設ほど、接道幅員と地盤支持層が計画を左右します。土壌汚染とPFASは、取得後に判明すると取り返しがつきません。
地元とどう合意するか
誰に、どの順で、何を説明するか。行政協議と住民説明の設計を誤ると、法的には問題のない計画でも動かなくなります。
どう組み立てるか
単独取得だけが道ではありません。区画整理、地区計画、PPP/PFI、公的不動産の活用。自治体側の枠組みに乗れる案件かどうかで、条件が変わります。
TSMCの熊本第1工場は2024年12月に量産を開始。第2工場は2025年10月に本格着工し、2027年12月の稼働開始を目指しています。2026年2月には、第2工場で国内初となる3ナノメートルの先端半導体を生産する計画が示されました。設備投資額は当初計画の122億ドルから170億ドル規模へ拡大し、国も追加支援の検討に入っています。
一方で、第1工場が手がける成熟プロセスについては当初想定ほどの需要が見込めていないとの報道があり、2025年末には第2工場の工事が一時停止していると伝えられました。サプライヤーに対しては、2026年は通年で新規設備が不要と通知されたとも報じられています。
つまり現在起きているのは、単純な拡大ではなく成熟プロセスの減速と、先端プロセスへの組み替えです。「半導体バブル」という言葉だけで判断すると、時期を誤ります。
ただし、用地と許認可にかかる時間はこの波とは別に進みます。農振除外に年単位、開発許可の事前協議に数ヶ月。需要が見えてから土地を探しはじめると、間に合いません。景気の判断はご自身で、土地と制度の準備は先に。それが実務の側から言えることです。
※ 出典:TSMC・経済産業省の公表内容および各種報道(2024年12月〜2026年2月)。最新の状況は一次情報をご確認ください。
「まだ社内で検討中」の段階が、いちばん手を入れる価値のある時期です。用地が決まってからでは、選べる手が減ります。
候補地ごとに、区域区分、用途地域、農振農用地の該否、接道、地盤、土壌の履歴を一覧化します。着工可能時期の見通しまで含めてお出しします。
事前協議から申請、許可まで。技術士・一級建築士・土地家屋調査士・行政書士の四資格を一つの窓口にまとめているため、分野をまたぐ手戻りが出ません。
県・市のどの部署に、どの順で、何を持って行くか。行政側にいた経験のある者が、協議の設計段階から関わります。
進出担当部署向けの勉強会から、案件期間を通じた顧問契約まで。制度の全体像を社内で共有できると、意思決定が速くなります。
社名を伏せたご相談でも構いません。まずは、どの段で止まっているかを一緒に確かめるところから。